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1章

two

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 「人いっぱいだな。」

「それな。」

今俺達はクラス分けの紙を見ようとしている。が、新入生が多すぎてなんも見えん。

ここ東京都立橘高校はスポーツの名門校として有名だ。昨年、サッカー部は全国大会優勝。男子バスケ、女子バスケ同時に全国大会優勝。バトミントン部全国大会優勝。美術部全国コンクール学年別金賞計3個。優秀賞4個。

と、あらゆる分野で良い成績を収めている凄い高校なのだ。

俺は兄達と同じ所には行きたくなかったが昴がそこに行くという理由と少しでもいい高校に行くという俺の願望の為に入学してしまった。

(これは、もう無理だな。)

そう思って昴に「戻ろう」って声を掛けようとして、隣を向くが、·········いない。

(はぁ?この短時間でどこ行った!?)

昴を見渡せる範囲で探していると、

「おーい!朔!俺ら2組だって!」

「おーまじか。····って昴!?」

「?良かったな同じクラスだぜ!」

「はぁ·····うん。」

「?」

まじかコイツ。流石としか言い様がない。まぁ、昴は中学からスポーツ万能で頭の良い奴。特にサッカーでは推薦の声が絶えなかった。


あぁ。やだやだ。こういう奴見てると自分が惨めに見える。

「昴行こうぜ。」

「おう!」

今回1年は4クラスに分かれていて、1クラス大体40人だ。

1年2組ねぇ、····なんか嫌な予感しかしない。

(ま、そんな訳ないか。)

「俺の席は····ここか。」

「朔~!席遠いな!」

「そりゃアイウエオ順だろ?」 

「あ、そっか」

(いやいやいや。俺廊下側の1番前って!)

最悪すぎだろ。

「うお。人集まってきたな。」

「だなー。」

「あれ?今からって入学式?」

「多分······。」

(そうだぁー!入学式だった。)

*****       ※とびます。

「本校は文武両道を目標に全員が力を発揮できるよう先生生徒が共に協力していきます。_____________________。」

(ふぁ~。眠い。)



校長先生による話が終わり、クラスに戻る事になった。

(しっかし、やっぱ昴はでかいな。)

あいつは中学の頃から背が高い方だ。
身長は175cm以上あるという。

はぁ。俺なんて165cmだぞ。ふざけんな。


席につき担任が来るのを待つ。

「担任誰なんだろうねぇ?」

「入学式に居たあのイケメン先生が良い!」

と、隣の女子達が話をしている。

(イケメンねぇ·······ほら、やっぱ嫌な感じしかしない。)


ガラガラガラ

「えー、遅れてすまん。」

そう言って教壇に上がったのは·······

「俺は1年2組担任の水澄珀だ。よろしく。」


(ほ······ほらぁ!言わんこっちゃない!)

珀兄はおれの8つ上の兄だ。

「わかんない事は聞け。以上。」

「めっちゃイケメンじゃん。」

「やば。惚れる。」

(ウソ······最悪。どういう事だよ。)

女子がきゃあきゃあ言っているのを気にも留めずにひとり悲しむ。

「あ、そうそう。学級委員を2人男女で決めたいんだが、やりたい奴いるか?」

(学級委員ねぇ····そんな面倒臭い事やりたくないし。)

まぁ、みんなやりたくない訳で···。

「誰も居ないのか?じゃあ、俺が決めるけど良いか?」

(それが1番手っ取り早いんじゃね?)

「じゃあ、今日は8日なので、女子は8番の奴。誰だ?」

「はーい!私でーす。」

(うわ、可愛い。)

あの子は入学式当時から注目を集めていた女子だ。いい匂いがして凄かった。

(可愛い子とならやっても良いかな。
······なんてな、絶対やだ。)

「じゃあ、男子は·····」

珀兄はニヤッと笑ってから、こう言った。

「朔。お前やれ。」

「···········え?」

(ぉぉぉぉぉぉい!ふざけんな!)

「嫌です。」

「ダメ。やれ。」

「嫌。」

すると、耳元で

(((ボソ 後でケーキ買ってやるから。

「やります。」

(まぁ?ケーキの為だし?頑張る。)




そんな感じで最悪な高校1年生1日目だった。
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