兄弟がイケメンな件について。

どらやき

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2章

three

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「はぁ、はぁ、はぁ······何なんだ。」

学校から帰ってる最中に俺より高い男に声をかけられた。

男は少し派手目な格好をしていて髪は金に近い茶髪だった。

(はぁ·····家に帰ろう。)

重たい足を1歩ずつ家へ向かわせる。

「ただいまー。」

シーン

(ん?あれ?)

何か可笑しい。いつもなら煩いくらいに兄達が迎えるのに今日は誰1人玄関に来ない。

(もしかして、誰もいない?)

普通なら、普通の高校生ならよろこぶだろう。だが、俺は喜べない。

理由は簡単だ。

*****

俺が水澄家に引き取られ、2ヶ月が経った時。その日家には誰も居なくて、小学校帰りの俺のみだった。

兄達は相変わらず忙しく1人で過ごすことの方が多かった。

元々両親の虐待が原因で施設送りにされた俺。そこで優しさを教えてくれた水澄の両親。

俺は幸せ者なんだと心底感じた。

でも、その幸せも2ヶ月と約2週間で危機に迫った。

俺しか家にいない日、インターホンが鳴った。

出るとそこには今で言うセクシーな女性が1人。

俺を連れ出すように車に乗せた。

(ここはどこ?貴方はだぁれ?)

小学生だった俺には理解が出来ず、その場から動けなかった。

そして、ある家へ連れていかれ部屋に閉じ込められた。

(真っ暗だ。····ねぇ?誰かいないの?)

平常心を保とうと必死でその日から声が出なくなった。この感覚には覚えがある。

そう、両親から虐待を受けていた時も同じ事をされた。

震えながら、凍えながら涙を流す。その時、ドア越しに女の声と複数人の男の声を聞いた。

「この坊主どうしますか姉御。」

「水澄家の人間だから結構役に立つ。殺しはしない。これで水澄家から大量の金とこの坊主をあたいのもんにする。」

付け足しで、

「この坊主を殺さない程度に痛ぶれ。」

「え?良いんすか?まだガキっすよ?」

「良いんだよ。あのガキ私を引っ掻いてきたしな。」

「了解っす。」

その言葉通り俺は殴られ、蹴られ·····。
古い痣が消える前に新しい痣が着けられた。

それから1週間。同じことをされた。

汚らしい俺が水澄家で幸せになろうなんて思って神様が怒ったんだ·····そう思った。

その時だった。

外から男の人の声が、荒い声が聞こえた。

ドアをこじ開けて入ってきたのは兄達だった。俺はまだ兄達に心を開けていない。

ましてや、こんな事をされた後だ。

「一緒に家に帰ろう。」

優しく声をかけてくれる。俺なんかに気を使ってくれてとても嬉しかった。

だから限られた間だけでもこの人達と一緒にいたい。どうせ離れるんだ。このくらい神様だって許してくれるでしょ?

_______
_______

から数日後。またあの女が俺の前に姿を現した。そして、

「お前が高3になったらお前を迎えに来る。一緒にあたいと来るんだ。水澄家を守りたいなら、な。」

そう言い残して帰っていった。

俺のタイムリミットはあと2年。

それから俺は1人を恐れるようになった。

*****

思い出して突然涙が溢れた。

「ウッ·····オエッ··うぅ、···グスッ···」

吐き気と、頭痛が俺を襲う。

ガチャ

ドアが開いた。

するとそこにはあの外国人の姿があった。
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