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2章
twelve
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兄弟side(弦目線)
カナダへ留学しはや7年。
現年齢は22。水澄家の三男としてそれなりに頑張ってきた。
俺、水澄弦は今日本に帰ってきた。
カナダでの生活に不便はなく、ホストファミリーの人達とも仲良く生活し充実していた。
だが、どうしても兄弟に会いたかった。
特に朔とは会う機会があまりなく、朔が俺を覚えているのかも分からない。
(今頃、何してんのかな。)
戯言を考えながら家へ向かった。
(····やっと、やっとだ。)
ドアを開けて、リビングへ向かう。
「ただいま。」
そこには珀、秋を含めた俺以外の兄弟が居た。
「あ、弦···おかえり。」
(········あれ?)
「おかえり。弦。」
「疲れただろ。風呂沸かしてあるから入ってこい。」
「·····ちょ、ちょっと待って!」
なんかおかしくない?え?俺の扱い雑すぎじゃね!?
頭を抱えながらも、当たりを見渡す。
(·············え)
違和感を感じた。
「おい、朔は?」
俺のその言葉に部屋が凍りついた。
「どっか、出掛けてんの?」
誰も何も言わない。
「おい。珀?」
聞くと珀の顔は真っ青になっていた。
続けて、秋も。葵も。尚も。楓も。來も。
「それが·······」
そうして、珀は話し始めた。
朔が高校生になった事。
誕生日を迎えたこと。
朔の身長が伸びたこと。
そして、
朔がいきなり居なくなったこと。
正直、直ぐに理解が追いつかなかった。
「それ、本気で言ってんのか?」
怒りが生まれた。
「·····あぁ。」
「心当たりは?」
珀に聞くも首を横に振る。
「無いんだ。心当たりなんて。······昨日までは一緒に楽しくいたんだ。」
「·········」
朔に会えないことに対して悲しみや怒りがあって気分は最悪だった。
すると、尚が口を開いた。
「探す。」
「······何処にいるのか分かってるのか?」
「分からないけど。」
「なら、少しかん··「じゃあ!どうすればいいんだよ!?朔が誘拐されてたら?何処かで苦しんでたら?······朔がいない生活は嫌なんだ······」」
尚のその言葉に胸がキュッとなった。
それもそうだ。
俺らにとって朔という存在は居なければならない存在。
それは、俺ら兄弟が朔の事を愛しているから。
それに加えもう1つ理由がある。
朔はこの世界で、珍しい血統の持ち主だ。
朔の血統はRh nill型といい、61種類あるRh抗原をひとつも持たない型で、世界中で約10人未満しか確認されていない。
3億数千万人に1人の血液型で、さらにO型なら誰にでも輸血できる「黄金の血液」と呼ばれ、この世に2人だけ。
朔はその2人のうちの1人なのだ。
血液に関して、生まれてから戸籍に書かれるが、朔の場合親の問題があり戸籍登録はされているものの、血液に関しては書かれていない。
その血を欲するものは多く、この世界は同性妊娠が可能なため将来に娶る為、とうい理由で狙うものも多い。
俺らはそんな朔を守るために生きてきた。
(·····何、肝心なとこで守れてないんだよっ!!)
自分が憎くて、情けない。
(なぁ、朔。何処にいるんだよ·······。)
カナダへ留学しはや7年。
現年齢は22。水澄家の三男としてそれなりに頑張ってきた。
俺、水澄弦は今日本に帰ってきた。
カナダでの生活に不便はなく、ホストファミリーの人達とも仲良く生活し充実していた。
だが、どうしても兄弟に会いたかった。
特に朔とは会う機会があまりなく、朔が俺を覚えているのかも分からない。
(今頃、何してんのかな。)
戯言を考えながら家へ向かった。
(····やっと、やっとだ。)
ドアを開けて、リビングへ向かう。
「ただいま。」
そこには珀、秋を含めた俺以外の兄弟が居た。
「あ、弦···おかえり。」
(········あれ?)
「おかえり。弦。」
「疲れただろ。風呂沸かしてあるから入ってこい。」
「·····ちょ、ちょっと待って!」
なんかおかしくない?え?俺の扱い雑すぎじゃね!?
頭を抱えながらも、当たりを見渡す。
(·············え)
違和感を感じた。
「おい、朔は?」
俺のその言葉に部屋が凍りついた。
「どっか、出掛けてんの?」
誰も何も言わない。
「おい。珀?」
聞くと珀の顔は真っ青になっていた。
続けて、秋も。葵も。尚も。楓も。來も。
「それが·······」
そうして、珀は話し始めた。
朔が高校生になった事。
誕生日を迎えたこと。
朔の身長が伸びたこと。
そして、
朔がいきなり居なくなったこと。
正直、直ぐに理解が追いつかなかった。
「それ、本気で言ってんのか?」
怒りが生まれた。
「·····あぁ。」
「心当たりは?」
珀に聞くも首を横に振る。
「無いんだ。心当たりなんて。······昨日までは一緒に楽しくいたんだ。」
「·········」
朔に会えないことに対して悲しみや怒りがあって気分は最悪だった。
すると、尚が口を開いた。
「探す。」
「······何処にいるのか分かってるのか?」
「分からないけど。」
「なら、少しかん··「じゃあ!どうすればいいんだよ!?朔が誘拐されてたら?何処かで苦しんでたら?······朔がいない生活は嫌なんだ······」」
尚のその言葉に胸がキュッとなった。
それもそうだ。
俺らにとって朔という存在は居なければならない存在。
それは、俺ら兄弟が朔の事を愛しているから。
それに加えもう1つ理由がある。
朔はこの世界で、珍しい血統の持ち主だ。
朔の血統はRh nill型といい、61種類あるRh抗原をひとつも持たない型で、世界中で約10人未満しか確認されていない。
3億数千万人に1人の血液型で、さらにO型なら誰にでも輸血できる「黄金の血液」と呼ばれ、この世に2人だけ。
朔はその2人のうちの1人なのだ。
血液に関して、生まれてから戸籍に書かれるが、朔の場合親の問題があり戸籍登録はされているものの、血液に関しては書かれていない。
その血を欲するものは多く、この世界は同性妊娠が可能なため将来に娶る為、とうい理由で狙うものも多い。
俺らはそんな朔を守るために生きてきた。
(·····何、肝心なとこで守れてないんだよっ!!)
自分が憎くて、情けない。
(なぁ、朔。何処にいるんだよ·······。)
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