私の風呂敷は青いあいつのよりもちょっとだけいい

しろこねこ

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実家からの依頼

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「次の依頼だが……子爵家の屋敷を調査するものだ。」

ライルがギルドで受け取った依頼書を差し出してきた。

「……ちょっと待って。子爵家って、私の実家のことじゃない?」

「その通りだ。」

「なにそれ!? どうして実家が依頼出してるの?」

私は唖然として尋ねた。

「内容を見ろ。『幽霊の目撃情報が相次ぐため、調査および解決を依頼』とある。」

「幽霊!? ……いや、あの屋敷で幽霊なんて出るはずないよ! あの冷血な家族がいるだけで十分怖いんだから!」

「ともかく、報酬は金貨100枚だ。やるのか、やらないのか。」

「100枚!? ……やる!」

金貨の魔力に勝てず、私は即答してしまった。



数年ぶりに子爵家の屋敷を訪れると、昔と変わらない重々しい雰囲気に胸がざわついた。

「やっぱり嫌な場所だなぁ……」

門番に依頼書を見せて屋敷に入ると、そこにはかつての家族が待ち構えていた。

「リリィ……お前なのか?」

兄のエリオットが驚きの表情で私を見つめている。

「久しぶり、エリオット兄さん。」

私は軽く手を振った。

「まさか、幽霊調査の冒険者が……お前とはな。」

兄は困惑しながらも、どこかホッとしたような顔をしている。

「そりゃ私も働かないと生きていけないしね。」

「まあいい、とにかく依頼の件を説明する。」



「屋敷の西翼で毎晩、不気味な音と人影が見えるんだ。」

兄が説明する間も、私は心の中でツッコミを入れ続けていた。

(どうせ誰かの悪戯か何かでしょ……この屋敷に幽霊なんて似合わないし!)

「リリィ、お前が逃げ出したあの夜以来、屋敷には妙なことが起こり始めた。」

「え、私が原因みたいに言わないでよ!」

兄の話によると、幽霊騒動は私が家を飛び出してから始まったらしい。



夜中、ライルと一緒に西翼の廊下を歩きながら調査を開始した。

「ここ、本当に幽霊出るのかな……」

「怖いのか?」

「こ、怖くないし!」

そう言いつつ、物音がするたびにびくびくしてしまう私。

すると、突然、廊下の奥から白い影が現れた!

「ぎゃあああああ!」

私は反射的に風呂敷を取り出し、影に投げつけた。

すると、影の正体が明らかになった。

「……猫?」

「どうやら誰かが飼い猫に布を被せて遊んでいたようだな。」

「もう、紛らわしいことしないでよ!」

一件落着かと思いきや、さらに奥から今度は本物の人影が現れた。



その人影を追うと、西翼の奥に隠し部屋を見つけた。

「こんな場所、昔はなかったはず!」

中に入ると、大量の書類や古い日記が置かれていた。その中には、驚くべき内容が記されていた。

「……私の名前が書かれてる?」

日記には、私が生まれる前から家族がある計画を進めていたことが書かれていた。

「リリィの出生により、家が再び栄光を取り戻すことを願う」

「どういうこと? 私、何かの鍵なの?」

ライルが冷静に書類を読み解く。

「どうやら、お前の力を利用して一族の没落を防ごうとしていたらしいな。」

「最低……!」

家族への怒りが沸き上がる。



翌朝、私は家族全員を前にして問い詰めた。

「これ、どういうことなの! 私を利用するつもりだったの?」

父と母は顔を引きつらせ、兄は言葉を失っていた。

「リリィ、これは……違うんだ。」

父がしどろもどろに弁解を始めたが、私はそれを遮った。

「違わないでしょ! あんな部屋に私の名前が出てるんだから!」

「……お前がいなくなってから、家の財政がさらに悪化したんだ。」

母が悔しそうに言った。

「だからって、私を犠牲にするなんて許せない!」

その時、ライルが静かに口を開いた。

「リリィ、これ以上ここにいても意味はない。俺たちの依頼は終わった。」

「……そうだね。」

私は家族に背を向け、屋敷を後にした。



屋敷を出ると、私は大きく深呼吸をした。

「はぁー、やっぱり外の空気が一番!」

「すっきりしたか?」

「まあね! 家族のことはスッキリしないけど……でも、これで前に進める気がする。」

ライルは無言で頷き、私たちは次の目的地へと向かった。

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