たたかうお医者様 〜病弱で無能医者と蔑まれましたが生まれつき最強治癒魔法《全再生》を持っていて医者としての人生勝ち組でした〜

文字の大きさ
28 / 31

28話 魔法とは

しおりを挟む

「君、ちょっといいかな」

彼は俺に対して話しかけてきた。

「ダイスくんの知り合い?」

「いや、違うかな」

イズとカナが戸惑っていると、彼はある提案をしてきた。

「実はね。僕、死んだ時の記憶が残ってて、僕の記憶と僕がやってる魔法書店に来てくれれば何か新しい情報が見つからないかと思ってね。」

控えめに言ってかなりいい提案だった。

「悪くはないんじゃないかな?」

「私は、全然良いと思うよ!」

「わ、私もいいと思います!」

 カナが言うと、それに続いてイズも言った。

「お! じゃあ決まりだね。うちにおいで。」

 俺たちは、魔法書店にお邪魔することになった。
 彼は、すぐそばの店まで丁寧に案内をしてくれて悪い人には見えなかった。

「さあ、どうぞ」

 彼が、店の戸を開け先を譲ってくれた。

「お邪魔します。」

 店の中は、外とは一風変わった薄暗い雰囲気で、ギリギリ周りを見渡せるくらいの明るさだった。ぜんまいで動く人形のようなものがたくさん動いており、不気味な雰囲気を醸し出していた。

 彼はすぐにお茶を用意してくれ、役に立ちそうな魔法書をいくつか持ってきてくれた。

「そういえば、お名前なんて言うんですか?」

「僕の自己紹介をしてなかったね。僕は、ペーズ。一般的な国民でこの魔法書店を経営している。よろしくね。」

 ペーズの自己紹介で少しだけ周りの雰囲気が軽くなったような気がした。

「この2冊が、魔法の歴史に関する本で、こっちが魔法について詳しく書かれてる本だよ。まぁ、自由に見てよ。」

 ペーズが本を紹介している中、イズは緊張で持っているお茶がこぼれそうなくらい手が震えていた。

「じゃあ、僕は向こうの部屋にいるから。何かあったらいつでも呼んでね」

 ペーズは本の説明をするとすぐ隣の部屋に行ってしまった。一瞬、不安な気持ちが頭をよぎったが気にせず、3人は本を開いた。

 本の内容は気になるものばかりだった。すると、歴史の本を読んでいたイズがある昔話を話し始めた。

「魔法は、大昔の手品師が自分の手品に自信を持てず、余計に練習してしまった結果、誕生したと言われている。だって」

「作り話みたいな誕生の仕方だな!」

 俺が笑いながらそう言うと、隣の部屋にいたペーズの声が聞こえてきた。

「その話は本物だよ」

「そ、そうなんですか?」

 俺たちが驚いていると、ペーズは続きを話してくれた。

「あぁ。 大昔に自分の手品に自信が持てない手品師がいたんだ。その手品師は何度も練習を積み重ねたが、自信を持つことはできなかった。そんな時、師匠がこんなことを言ったんだ。」

「手品はタネが予想できるから楽しい」

「その言葉に、手品師は驚いた反応をした。なぜかと言うと、その手品師はタネがバレたら手品師失格というプライドを持っていたからだ。そのせいで、さらに練習の量は増してしまった。その結果が、この魔法の誕生になったと言われてる」

 3人は、ペーズの話に入り込んでいた。

「その手品師は、どうなったんですか?」

「それは、手品は上手になったが、師匠に見捨てられた」

「ど、とうして! 上手になったのに」

「その師匠は、最後にこの言葉を伝えその場を去った」

「手品と魔法は違う。魔法とは、想像するものを全て現実世界に実現できる。そんなもの、俺は手品師として認められない。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活

仙道
ファンタジー
 ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。  彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

前世で薬漬けだったおっさん、エルフに転生して自由を得る

がい
ファンタジー
ある日突然世界的に流行した病気。 その治療薬『メシア』の副作用により薬漬けになってしまった森野宏人(35)は、療養として母方の祖父の家で暮らしいた。 爺ちゃんと山に狩りの手伝いに行く事が楽しみになった宏人だったが、田舎のコミュニティは狭く、宏人の良くない噂が広まってしまった。 爺ちゃんとの狩りに行けなくなった宏人は、勢いでピルケースに入っているメシアを全て口に放り込み、そのまま意識を失ってしまう。 『私の名前は女神メシア。貴方には二つ選択肢がございます。』 人として輪廻の輪に戻るか、別の世界に行くか悩む宏人だったが、女神様にエルフになれると言われ、新たな人生、いや、エルフ生を楽しむ事を決める宏人。 『せっかくエルフになれたんだ!自由に冒険や旅を楽しむぞ!』 諸事情により不定期更新になります。 完結まで頑張る!

処理中です...