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第一章
11話 特訓②
しおりを挟む特訓を始めてから1週間が経とうとしていた。
身体強化の体にも慣れ、刀もある程度は振れるようになってきていた。
「ダイスくん覚え早いね。まだ1週間だよ」
「まぁ基本が早くできるようになったなら後はそれを極めるだけだ」
「流石! でも無理はしちゃダメだよ」
「わかった」
俺はひたすら刀を振り続けた。やがて気づくと、刀を振ったときの波動が出るようになっていた。
もしかしてこの波動に魔力を乗せれば、刀で遠距離攻撃ができるかもしれない。
俺は試しに魔力を乗せた波動を近くにあった木に向かって打ってみた。すると驚くほどに綺麗に真っ二つになった。
「キタァァァァァァァ! これだぁぁぁぁぁ!」
俺はまるで自分の存在価値を見つけたの如く喜んだ。
「ダイス! どうしたの?」
「たまたま出てた刀を振ったときの波動に魔力を乗せたらあんなに綺麗に木が切れたんだ」
「お! すごいねこれ! ヤスリいらないくらいツルツルだよ」
ただこんなに切れ味が良すぎては実戦で使えない。もう少しコントロール出来ないだろうか。
俺は課題を1つずつ作り特訓を続けた。
……転入試験まで残り2週間……
「ダイス! 今日で試験まで残り2週間だよ!」
「おう! 張り切っていかないとな!」
「そうなんだけど、私も実は結構特訓しててね」
「うん」
「手合わせとして2人で戦ってみない?」
「2人って、俺 対 カナ?」
「そう! それでお互いの実力を試すの!」
「いいだろう! 絶対負けないからな!」
「私も絶対負けない!」
俺はカナが急に仕掛けてきた戦闘に挑む事にした。カナは魔法を俺にバンバンと打ってくる。それを避けることで精一杯な俺に刀を振る余裕などなかった。
「うわ! カナ、ちょっと魔法控えめにしてくれない?」
「やだよ。私、魔法の特訓しかしてないから負けちゃう」
俺は情けながらもカナに魔法を手加減してもらうよう要求したが無理だった。10戦中8敗した俺は、もう動けない状態になり地べたに寝転んだ。
カナの魔法は確実にレベルアップしている。俺の勝った2勝は俺が倒したわけではなくカナ自身の魔力切れだった。
俺はこのまま試験を迎えるわけにはいかない。もっと素早く刀を振れるようになり、相手の隙を見定めそこに波動を打ち込む。これができるようにならなければ、
試験は受からない。
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