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第2章
38.王都招集
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オリネアの隣にある宿場町に到着し、俺たちは飯を食いに大きな食堂へ入っていった。
とはいえ、食うのに時間もかけて居られない。
店員には具材を挟んだパンを全員分注文した。
料理が届くのを待つ間、俺は黙ってアヤメを観察していた。
今までと変わった様子は見られない。
結婚したことを忘れてるのか、意識していないのか。
そんな俺の視線に気づいたアヤメが、俺に向かって大人びた微笑みを浮かべた。
『何を心配しておるのじゃ? 君は間違いなく妾の夫、忘れるわけがあるまいて』
「……なんだか、心を読まれた気がしたんだが」
『夫の心がわからずに、妻が務まるかえ?
その程度はできて当然じゃ』
なんとなく、アヤメの言ってることが理解できてしまう。
どうやらすっかり妻気取り、といったところか。
料理が到着すると、俺たちはパンにかじりついて水で流し込んでいく。
アヤメとセイランオウだけは、味わいながら食べているようだった。
王族だし、せかすのも酷か。
先に食い終わったテッシンが、俺に告げる。
『護衛の数はこれだけなのか』
奴の視線が周囲を見回した。その視線が、店内に居る三人の護衛でとまる。
「護衛の事なら、これで充分だろ。
積み荷を見張る人数が居れば、それでいい。
俺とテッシンが居て、困ることなんざない」
そもそも、最近のオリネア近郊は治安が良くなってる。
この辺りで野盗はまず出没しない。
王都までの道も、ワサビブーム以降は整備が進んでると聞く。
商人や貴族たちだって、貴重なワサビを野盗程度に奪われる訳にもいかないからな。
たとえ襲われても五百人までなら、俺とテッシンで相手ができるだろう。
通訳を介して、テッシンも納得しているようだった。
****
食事を済ませた俺たちは再び馬車に乗り、馬車は王都を目指して北上していく。
セイランオウが楽し気な笑みで俺に告げる。
『”五百人までなら相手ができる”か。ずいぶんと控えめな戦力評価だな』
通訳を介した言葉に、俺はセイランオウをジロリと見つめて告げる。
「戦力の過大評価は命を落とす。
状況次第で被害が出るような、甘い見積もりはせん。
地の利を利用できる場所なら、もっと相手どれるかもしれん。
だがあんたらを守りながらでは、それも活かしきれないかもしれん。
そんな曖昧な判断で、相手を見る前に見積もれるのは五百人が限界だ」
キューブがあきれるように告げる。
「旦那様、『どんな状況でも五百人までなら、お二人で被害を出さずに切り伏せられる』と言い切る非常識さ、少しはご自覚くださいね」
「ケッ! 何言ってやがる。お前やフランチェスカ、ゲッカがアヤメやセイランオウを守ることが前提だ。
充分お前らも戦力に入ってるんだよ。オフェンスを俺とテッシンで務めるというだけの話だ。
一人頭で二百人ちょっと。その程度は不思議でもなんでもないだろーが」
フランチェスカがため息交じりで告げる。
「普通、三人に囲まれれば命を落とす覚悟をします。
それを遥かに上回る数を、どうやって切り伏せるというのですか」
俺はあきれ返しながら応える。
「どうもこうもねーだろ。殺られる前に殺る。シンプルな話じゃねーか。
コルジーナで百人切り伏せてみせただろ? あれと変わらん」
セイランオウが楽し気に笑い声を上げる。
『クハハ! 実に頼もしいではないか!
余は鉄心一人でも五百人は相手取れると見ているが、確かに状況次第では難しい局面もあるだろう。
そちは実に冷徹に己を評価するのだな。それが過小評価の原因かもしれぬ』
アヤメがニヤニヤと俺を見ながら告げる。
『なに、いざとなれば妾が何万人でも消し飛ばしてくれようぞ。
恐れる物など、なにも有りはせぬわ』
俺は鋭くアヤメを睨みながら告げる。
「だから、嬢ちゃんは力を使うんじゃねぇ! それは最後の手段だ!」
アヤメがニコリと微笑んだ。
「はーい! ……ところで、妻を『嬢ちゃん』って呼ぶの、そろそろ止めない?」
――なんて呼べば満足なんだよ?!
俺が苦虫を噛み潰したような気分で目をそらすと、フランチェスカが俺に声をかける。
「ヴァルターさん、いつからセイラン語を理解できるようになったんですか?」
「あー? 理解なんざできねーよ。何言ってんだ」
「でも……今、通訳されていない殿下のセイラン語を理解して返事なさいましたよね?」
「あー、勘だよ、勘。話の流れと表情で、だいたいわかるだろう? 嬢ちゃんが言いそうな事なんぞ」
アヤメがニコニコと笑顔で告げる。
「やっぱり愛だよね! 愛!」
「違うつってんだろ! いい加減に理解しろ!」
アヤメがニタリと意味深に笑った。
「ふーん? 妻を愛してないって、そう言い切るの?」
――くっ、そういや結婚したんだった。
いくらはめられたとは言え、結婚したのは事実。
妻を愛してない夫なんて存在、俺は認める気もねぇ。
「……好きに受け取れ! 畜生!」
「わーい! ヴァルターが私への愛を認めたー!」
俺はげんなりとしながら、窓枠に寄り掛かって馬車に揺られていた。
****
道中は何事もなく過ぎていく。
俺の領地を過ぎても、道が荒れて馬車が暴れるなんてこともない。
どうやら他の領地も、経済的に盛り返して戦後復興に力を入れてるみたいだな。
時折、哨戒する領地の私兵たちともすれ違った。
港町から王都までの道を、ああして警備している訳だ。
途中で立ち寄る宿場町も、活気があって町の人間には笑顔が浮かんでいる。
聞こえてくる喧騒も、景気の良い話が聞き取れた。
港町オリネアが起点となって、このキュステンブルク王国全体が盛り返している印象を受ける。
王都に到着し、馬車は王宮へと向かう。
王都の様子は他の町より活況で、商店の賑わいがそれを裏付けている。
王都は国王や宰相が直轄してる町でもある。
宰相が差配して、町の経済政策に失敗する訳がねぇか。
王宮に馬車が到着し、俺たちは馬車から降りて行く。
俺は衛兵たちに声を上げる。
「陛下への献上品を持ってきた! 丁重に中に運べ!」
俺は後ろの馬車から小さな革袋を二つ掴み取ると、王宮の中へと進んでいった。
****
通された応接間でしばらく待っていると、シュルツ侯爵を引き連れて国王が姿を現した。
国王が俺に穏やかな笑顔で告げる。
「よく来てくれた、シャッテンヴァイデ伯爵。
貴公の働き、実に見事だ。
このキュステンブルク王国は、二度も貴公に救ってもらった」
俺はソファに腰かけながら応える。
「大袈裟だよ。ちょっと運よく領地経営が巧く行っただけだ。
それを利用して経済政策を打ったのはシュルツ侯爵で、俺じゃない。
――ああ、聞いてると思うが、献上品として青嵐瑠璃とワサビをいくらか持ってきた。
あまり量はないが、受け取っておいてくれ」
国王が笑顔で俺の向かいに腰を下ろして告げる。
「馬車一台分のワサビと木箱ひとつ分の青嵐瑠璃が、『あまり量はない』か。
それが今、どれほどの価値を持つか、知らぬわけでもあるまい。
今や私が手配しても、ワサビは中々手に入らぬ貴重品。
青嵐瑠璃も、知名度が上がりつつある珍重される宝石だ」
俺は手で国王の笑顔を追い払うように告げる。
「大量入荷したからな。臣下としてこのぐらいは当然だろ」
シュルツ侯爵がいつもの何か企んでいる笑顔で告げる。
「実に羨ましい話だね。私が手を回しても、ワサビは早々手に入らないというのに。
だがそれで市民に活況が戻るなら、私も満足さ」
俺は手元の革袋二つを、シュルツ侯爵の前のテーブルに置いた。
「やせ我慢するなよ、あんたの分もちゃんとある。わずかだがな」
革袋を手に取り、中を見たシュルツ侯爵の顔がばら色に染まった。
「――ワサビじゃないか! それにこちらは、青嵐瑠璃か!
ありがたい、さっそく今夜、味わわせてもらおう」
俺は喜んでいる様子の二人に告げる。
「あんたら、忘れてるかもしれないが、今日の俺は客人を同伴してる。
――こっちがセイランオウ、セイラン国の国王だ。
あとは通訳と、護衛だな」
セイランオウが珍しく嬉しそうな笑顔で告げる。
『我が国の特産品、喜んでいるようだな。実に感慨深い。
今後とも、この国とは良い関係を結んでいきたいと願う』
通訳を介し、国王が頷いた。
「我が国も、セイラン国とは良い関係を結べればと思っている。
しかしセイランオウは、今回なにをしに我が国へやってきたのだ?」
通訳を介し、セイランオウがフッと笑った。
『娘の祝言を見届けにな。
ヴァルターは先日、無事に綾女の夫となった。
この国の法は知らぬが、我が国では公式に二人は夫婦だ』
通訳を介し、国王たちは目が飛び出るほど驚いていた。
……嘘ばっかりつきやがる。最初はアヤメを止めに来たくせに。
俺は割って入るようにシュルツ侯爵に告げる。
「それはともかく、俺たちを呼びだした用件を手短に言ってくれ。
どうせ、ろくでもない話なんだろう?」
ハッとした様子の国王が、シュルツ侯爵と顔を見合わせた。
シュルツ侯爵が人払いをしてから、懐から畳まれた紙を取り出した――地図、か?
テーブルの上に広げられた地図に、シュルツ侯爵は駒をいくつか置いて行く。
「これが現在の状況だ」
俺はその盤面を見て、素早く頭を回転させていった。
とはいえ、食うのに時間もかけて居られない。
店員には具材を挟んだパンを全員分注文した。
料理が届くのを待つ間、俺は黙ってアヤメを観察していた。
今までと変わった様子は見られない。
結婚したことを忘れてるのか、意識していないのか。
そんな俺の視線に気づいたアヤメが、俺に向かって大人びた微笑みを浮かべた。
『何を心配しておるのじゃ? 君は間違いなく妾の夫、忘れるわけがあるまいて』
「……なんだか、心を読まれた気がしたんだが」
『夫の心がわからずに、妻が務まるかえ?
その程度はできて当然じゃ』
なんとなく、アヤメの言ってることが理解できてしまう。
どうやらすっかり妻気取り、といったところか。
料理が到着すると、俺たちはパンにかじりついて水で流し込んでいく。
アヤメとセイランオウだけは、味わいながら食べているようだった。
王族だし、せかすのも酷か。
先に食い終わったテッシンが、俺に告げる。
『護衛の数はこれだけなのか』
奴の視線が周囲を見回した。その視線が、店内に居る三人の護衛でとまる。
「護衛の事なら、これで充分だろ。
積み荷を見張る人数が居れば、それでいい。
俺とテッシンが居て、困ることなんざない」
そもそも、最近のオリネア近郊は治安が良くなってる。
この辺りで野盗はまず出没しない。
王都までの道も、ワサビブーム以降は整備が進んでると聞く。
商人や貴族たちだって、貴重なワサビを野盗程度に奪われる訳にもいかないからな。
たとえ襲われても五百人までなら、俺とテッシンで相手ができるだろう。
通訳を介して、テッシンも納得しているようだった。
****
食事を済ませた俺たちは再び馬車に乗り、馬車は王都を目指して北上していく。
セイランオウが楽し気な笑みで俺に告げる。
『”五百人までなら相手ができる”か。ずいぶんと控えめな戦力評価だな』
通訳を介した言葉に、俺はセイランオウをジロリと見つめて告げる。
「戦力の過大評価は命を落とす。
状況次第で被害が出るような、甘い見積もりはせん。
地の利を利用できる場所なら、もっと相手どれるかもしれん。
だがあんたらを守りながらでは、それも活かしきれないかもしれん。
そんな曖昧な判断で、相手を見る前に見積もれるのは五百人が限界だ」
キューブがあきれるように告げる。
「旦那様、『どんな状況でも五百人までなら、お二人で被害を出さずに切り伏せられる』と言い切る非常識さ、少しはご自覚くださいね」
「ケッ! 何言ってやがる。お前やフランチェスカ、ゲッカがアヤメやセイランオウを守ることが前提だ。
充分お前らも戦力に入ってるんだよ。オフェンスを俺とテッシンで務めるというだけの話だ。
一人頭で二百人ちょっと。その程度は不思議でもなんでもないだろーが」
フランチェスカがため息交じりで告げる。
「普通、三人に囲まれれば命を落とす覚悟をします。
それを遥かに上回る数を、どうやって切り伏せるというのですか」
俺はあきれ返しながら応える。
「どうもこうもねーだろ。殺られる前に殺る。シンプルな話じゃねーか。
コルジーナで百人切り伏せてみせただろ? あれと変わらん」
セイランオウが楽し気に笑い声を上げる。
『クハハ! 実に頼もしいではないか!
余は鉄心一人でも五百人は相手取れると見ているが、確かに状況次第では難しい局面もあるだろう。
そちは実に冷徹に己を評価するのだな。それが過小評価の原因かもしれぬ』
アヤメがニヤニヤと俺を見ながら告げる。
『なに、いざとなれば妾が何万人でも消し飛ばしてくれようぞ。
恐れる物など、なにも有りはせぬわ』
俺は鋭くアヤメを睨みながら告げる。
「だから、嬢ちゃんは力を使うんじゃねぇ! それは最後の手段だ!」
アヤメがニコリと微笑んだ。
「はーい! ……ところで、妻を『嬢ちゃん』って呼ぶの、そろそろ止めない?」
――なんて呼べば満足なんだよ?!
俺が苦虫を噛み潰したような気分で目をそらすと、フランチェスカが俺に声をかける。
「ヴァルターさん、いつからセイラン語を理解できるようになったんですか?」
「あー? 理解なんざできねーよ。何言ってんだ」
「でも……今、通訳されていない殿下のセイラン語を理解して返事なさいましたよね?」
「あー、勘だよ、勘。話の流れと表情で、だいたいわかるだろう? 嬢ちゃんが言いそうな事なんぞ」
アヤメがニコニコと笑顔で告げる。
「やっぱり愛だよね! 愛!」
「違うつってんだろ! いい加減に理解しろ!」
アヤメがニタリと意味深に笑った。
「ふーん? 妻を愛してないって、そう言い切るの?」
――くっ、そういや結婚したんだった。
いくらはめられたとは言え、結婚したのは事実。
妻を愛してない夫なんて存在、俺は認める気もねぇ。
「……好きに受け取れ! 畜生!」
「わーい! ヴァルターが私への愛を認めたー!」
俺はげんなりとしながら、窓枠に寄り掛かって馬車に揺られていた。
****
道中は何事もなく過ぎていく。
俺の領地を過ぎても、道が荒れて馬車が暴れるなんてこともない。
どうやら他の領地も、経済的に盛り返して戦後復興に力を入れてるみたいだな。
時折、哨戒する領地の私兵たちともすれ違った。
港町から王都までの道を、ああして警備している訳だ。
途中で立ち寄る宿場町も、活気があって町の人間には笑顔が浮かんでいる。
聞こえてくる喧騒も、景気の良い話が聞き取れた。
港町オリネアが起点となって、このキュステンブルク王国全体が盛り返している印象を受ける。
王都に到着し、馬車は王宮へと向かう。
王都の様子は他の町より活況で、商店の賑わいがそれを裏付けている。
王都は国王や宰相が直轄してる町でもある。
宰相が差配して、町の経済政策に失敗する訳がねぇか。
王宮に馬車が到着し、俺たちは馬車から降りて行く。
俺は衛兵たちに声を上げる。
「陛下への献上品を持ってきた! 丁重に中に運べ!」
俺は後ろの馬車から小さな革袋を二つ掴み取ると、王宮の中へと進んでいった。
****
通された応接間でしばらく待っていると、シュルツ侯爵を引き連れて国王が姿を現した。
国王が俺に穏やかな笑顔で告げる。
「よく来てくれた、シャッテンヴァイデ伯爵。
貴公の働き、実に見事だ。
このキュステンブルク王国は、二度も貴公に救ってもらった」
俺はソファに腰かけながら応える。
「大袈裟だよ。ちょっと運よく領地経営が巧く行っただけだ。
それを利用して経済政策を打ったのはシュルツ侯爵で、俺じゃない。
――ああ、聞いてると思うが、献上品として青嵐瑠璃とワサビをいくらか持ってきた。
あまり量はないが、受け取っておいてくれ」
国王が笑顔で俺の向かいに腰を下ろして告げる。
「馬車一台分のワサビと木箱ひとつ分の青嵐瑠璃が、『あまり量はない』か。
それが今、どれほどの価値を持つか、知らぬわけでもあるまい。
今や私が手配しても、ワサビは中々手に入らぬ貴重品。
青嵐瑠璃も、知名度が上がりつつある珍重される宝石だ」
俺は手で国王の笑顔を追い払うように告げる。
「大量入荷したからな。臣下としてこのぐらいは当然だろ」
シュルツ侯爵がいつもの何か企んでいる笑顔で告げる。
「実に羨ましい話だね。私が手を回しても、ワサビは早々手に入らないというのに。
だがそれで市民に活況が戻るなら、私も満足さ」
俺は手元の革袋二つを、シュルツ侯爵の前のテーブルに置いた。
「やせ我慢するなよ、あんたの分もちゃんとある。わずかだがな」
革袋を手に取り、中を見たシュルツ侯爵の顔がばら色に染まった。
「――ワサビじゃないか! それにこちらは、青嵐瑠璃か!
ありがたい、さっそく今夜、味わわせてもらおう」
俺は喜んでいる様子の二人に告げる。
「あんたら、忘れてるかもしれないが、今日の俺は客人を同伴してる。
――こっちがセイランオウ、セイラン国の国王だ。
あとは通訳と、護衛だな」
セイランオウが珍しく嬉しそうな笑顔で告げる。
『我が国の特産品、喜んでいるようだな。実に感慨深い。
今後とも、この国とは良い関係を結んでいきたいと願う』
通訳を介し、国王が頷いた。
「我が国も、セイラン国とは良い関係を結べればと思っている。
しかしセイランオウは、今回なにをしに我が国へやってきたのだ?」
通訳を介し、セイランオウがフッと笑った。
『娘の祝言を見届けにな。
ヴァルターは先日、無事に綾女の夫となった。
この国の法は知らぬが、我が国では公式に二人は夫婦だ』
通訳を介し、国王たちは目が飛び出るほど驚いていた。
……嘘ばっかりつきやがる。最初はアヤメを止めに来たくせに。
俺は割って入るようにシュルツ侯爵に告げる。
「それはともかく、俺たちを呼びだした用件を手短に言ってくれ。
どうせ、ろくでもない話なんだろう?」
ハッとした様子の国王が、シュルツ侯爵と顔を見合わせた。
シュルツ侯爵が人払いをしてから、懐から畳まれた紙を取り出した――地図、か?
テーブルの上に広げられた地図に、シュルツ侯爵は駒をいくつか置いて行く。
「これが現在の状況だ」
俺はその盤面を見て、素早く頭を回転させていった。
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