100 / 102
第4章:温かい家庭
100.最後の一手
しおりを挟む
私が振り下ろす金色の剣は、見事にシュネーヴァイス山脈を貫いていた。
幅二百メートルに及ぶかという道が、山脈の南北を貫通している。
長さは地図で見る限り、百キロに及ぶはずだ。
んー、自分で言っておいてなんだけど。
本当にできるとは思わなかった。
……やはり古代魔法、反則では?
レブナント軍から、進軍の合図であるラッパが吹き鳴らされた。
南北の守護軍から構成される二万人の兵士たちが、次々と行軍していく。
今は十一月。もう間もなく、この一帯は雪に閉ざされる。
それまでに急いで、山脈を通過しなければならない。
この軍の総司令官は、北方守護のブラウンシュヴァイク辺境伯だ。
彼も私のそばまで馬を寄せた。
「エドラウス侯爵の魔法が、ここまですさまじいものだとはな。
話には聞いていたが、この目で見ても信じられん」
私は微笑で応える。
「私も、ここまで巧く行くとは思いませんでした。
――では帝国国略の最後の一手、よろしくお願いしますね」
ブラウンシュヴァイク辺境伯がしっかりとうなずいた。
「ああ、来年の雪解けでまた会おう!」
そういうと彼は馬を操り、軍の戦闘へ戻っていった。
『雪解けでまた会おう』か。
レブナントに何かあっても、王国軍が救援に駆けつける道はない。
それまでは、私がこの国を守り切ってみせる!
私も早く王宮に戻って、各地に睨みを聞かせなければいけない。
ジュリアスと一緒に馬車に乗りこみ、レブナント王都へ急がせた。
****
王太子執務室で、私はジュリアスと執務に明け暮れていた。
王宮にはもう、連絡に使える魔法銀の鏡が残っていない。
最後のひとつはカストナー侯爵と共に、北進するレブナント軍の元にある。
情報を知りたくても、知る方法はない。
私たちは帝国に攻め入った彼らを信じ、日々の執務をこなしていくだけだ。
フランツ殿下の声が聞こえる。
「ヒルデガルト、ちょっといいか」
目を上げると、殿下が深刻な顔で書類を手に近寄ってきた。
「なにかありましたか?」
「西方国家の一部が、南方国家に攻め込んだらしい」
私は頭を抱えながら応える。
「小賢しい国もあったものね。
そんな力があるなら、西方連合軍に尽くしなさいよ……」
フランツ殿下がフッと笑った。
「まったくだ。
――レブナントは南方に助勢する同盟を結んでいる。
俺とノルベルトは、二千の兵を連れてちょっと鎮圧に行ってくる」
私はフランツ殿下の顔を見て尋ねる。
「二千で足りるんですか?」
「ああ、あちらも大差ない。
しかも半数以上が、民間人を徴用した即席の軍隊らしい。
南方国家でも防戦は出来てるみたいだが、追い返す力が足りないそうだ。
俺たちが行けば、すぐに片が付くだろう。それまで王都を頼む」
私はうなずいて応える。
「わかりました。お任せください」
フランツ殿下は、ひらひらと手を振りながら、のんきに部屋を出て行った。
……嫌な予感の通り、動きを見せる西方国家が居たか。
動くのが一国だけとは限らない。
次に動く国家が出た場合、私が鎮圧に向かわないと。
ジュリアスがぽつりと告げる。
「ここから南方国家に行って敵軍を鎮圧するまで、一か月といったところですか。
民兵が相手なら、もう少し早く帰ってこれるかもしれませんが。
それまで王都の守りは一千の一般兵士です。守り切れますか?」
私は書類に目を落としながら応える。
「問題ないわ。
私が出て行けば、すぐに終わる話だもの。
ジュリアスこそ、無理はしないでね」
ジュリアスが肩をすくめて応える。
「どの口が言うんですか?
いつも無茶をするのは、あなたの方でしょうに」
「子供たちを孤児にしちゃだめ。
それだけは約束して。
私に何かあっても、あなたはマリーとサイモンを守って」
ジュリアスがしばらく沈黙した。
「……俺たちが居なくても、義父上が居ます。
孤児ということにはなりませんよ」
私は顔を上げてジュリアスを見た。
「もう! 酷い父親ね!
子供たちの気持ちも考えてよ」
ジュリアスは珍しく、ニコリと微笑んだ。
「では、夫婦無事に家に戻りましょう。
あなたは俺が必ず守る。
この命に代えてもね」
本当に、言うことが滅茶苦茶なんだから!
私はため息をついて告げる。
「レブナントに攻めてくる、無謀な国が居るかしら」
いくら今はガラ空きと言っても、春になれば王国軍が帰ってくる。
その時に報復されるだけだと思うんだけど。
レブナント全軍で四万、これに勝てる国は、西方国家に存在しない。
しかも『対帝国共同戦線』の中で背反行為を起こすことになる。
西方連合軍を率いるドレアニアン王の面目を潰す行為だ。
孤立した西方国家は、レブナント王国軍と西方連合軍に押しつぶされるだけ。
ジュリアスが小さく息をついて応える。
「居ないと思いますけどね。
最悪でも、我が国は王族を保護すればいい。
王家を維持できれば、春に全てが終わります」
そのはず、だよね。
****
フランツ殿下が王宮を出発してから、一週間後。
私たちが居る王太子執務室に、文官が慌てて駆けこんできた。
「敵襲です! 西方から一万の兵が、まっすぐ王都を目指しています!」
私の手から、持っていたペンがこぼれ落ちた。
すぐに冷静になり、文官に告げる。
「わかりました。
残った兵士は陛下の周辺を守らせてください。
私が敵に対応します」
文官は短く返答し、下がっていった。
一万もの兵を隠してる国が居たか。
いや、おそらく半数以上は民間人を徴用した軍だろうけど。
それにしても数が多い。
そもそも、狙いがわからない。
一時的に占領しても、帰ってきた王国軍に殲滅されるだけ。
「ジュリアスはこの局面、どう見る?」
横を見ると、ジュリアスは難しい顔をしていた。
「……何があろうと、あなたの身は俺が守ります」
それだけ言うと、彼は書類仕事を再開していた。
ジュリアスにも、何が起こっているのかわからない、か。
考えてもわからないことは、考えを保留するに限る。
今はただ、敵軍の到着を待つことにするか。
****
五日後、王都の前には一万の西方国家群が展開していた。
様子を見る限り、民兵じゃない。
正規兵による一個師団か、小賢しい!
外に対応に出ようとする私に、陛下が告げる。
「せめて少しは兵を付けなさい」
「ですが、この数の差では焼け石に水ですよ?」
「弓から君を守る盾にはなるだろう。
いいから、言うことを聞いてくれ」
陛下の顔は、真剣そのものだった。
「……わかりました。
では百名、お借りします」
私はジュリアスと兵士百名を連れ、展開している敵軍の前に向かった。
王都の前に展開する敵軍にはまだ、こちらに攻め入る気配はない。
一万の軍隊か。
フランツ殿下が率いる二千の兵も、これじゃあ帰ってこれないな。
逆に『殿下が死地から逃れている』と考えれば、王家の存続は安泰だ。
あとはノルベルトに護衛を任せ、私がこの場を何とかすればいい。
敵軍から伝令がやってきて、書状を読み上げ始める。
「レブナントに告ぐ!
帰国に在籍する筆頭宮廷魔導士、ヒルデガルト・フォン・ファルケンシュタインの投稿を要求する!
この要求が飲まれなかった場合、我が軍は王都の蹂躙を開始する!」
そう言い終わると、伝令は自軍に帰っていった。
狙いは私、か。
私が人間相手に権能を使えないことを知ってるのかな。
妙に強気な態度だ。
少なくとも『空を駆け、大地をえぐる』と噂される魔導士を相手にしている緊張感はない。
しかも王都の住民を人質に取るあたり、私のことをよく調査してるみたいだ。
私の周囲に居る兵士たちが動揺していた。
ここに居るのは一般兵士であって、騎士じゃない。
害獣退治くらいは経験してるだろうけど、戦争なんて未経験の兵ばかり。
一万人の敵軍を前に、『威圧されるな』という方が無理だろう。
この場に居るのは百名、陛下のところに九百名。
一万を相手にするには、不足が過ぎる。
――ここに居られても、足手まといだな。
私は小さく息をついて告げる。
「あなたたち、ここはいいから陛下のところへ戻りなさい。
あの馬鹿どもは、私が何とかします」
兵士たちは驚いていたけど、この場から逃げられることに安心したようだ。
駆け出すように王宮の中に戻っていった。
ジュリアスは黙って敵軍の様子を窺っている。
その手には――フルート? なんでこんな場所に?
何か有効な魔術を考えてたのかな。
だけどいくらジュリアスでも、一万人を相手に魔術を使うことはできない。
彼の厳しい表情が、それを物語っていた。
振り返ると、王都から活気を感じない。
民衆は息をひそめて居るみたいだ。
私は敵軍を睨み付け、ため息をついた。
これはあんまりやりたくなかったんだけど……しょうがないか。
私はイングヴェイに祈りを捧げ、手元に集まる魔力を確認していた。
幅二百メートルに及ぶかという道が、山脈の南北を貫通している。
長さは地図で見る限り、百キロに及ぶはずだ。
んー、自分で言っておいてなんだけど。
本当にできるとは思わなかった。
……やはり古代魔法、反則では?
レブナント軍から、進軍の合図であるラッパが吹き鳴らされた。
南北の守護軍から構成される二万人の兵士たちが、次々と行軍していく。
今は十一月。もう間もなく、この一帯は雪に閉ざされる。
それまでに急いで、山脈を通過しなければならない。
この軍の総司令官は、北方守護のブラウンシュヴァイク辺境伯だ。
彼も私のそばまで馬を寄せた。
「エドラウス侯爵の魔法が、ここまですさまじいものだとはな。
話には聞いていたが、この目で見ても信じられん」
私は微笑で応える。
「私も、ここまで巧く行くとは思いませんでした。
――では帝国国略の最後の一手、よろしくお願いしますね」
ブラウンシュヴァイク辺境伯がしっかりとうなずいた。
「ああ、来年の雪解けでまた会おう!」
そういうと彼は馬を操り、軍の戦闘へ戻っていった。
『雪解けでまた会おう』か。
レブナントに何かあっても、王国軍が救援に駆けつける道はない。
それまでは、私がこの国を守り切ってみせる!
私も早く王宮に戻って、各地に睨みを聞かせなければいけない。
ジュリアスと一緒に馬車に乗りこみ、レブナント王都へ急がせた。
****
王太子執務室で、私はジュリアスと執務に明け暮れていた。
王宮にはもう、連絡に使える魔法銀の鏡が残っていない。
最後のひとつはカストナー侯爵と共に、北進するレブナント軍の元にある。
情報を知りたくても、知る方法はない。
私たちは帝国に攻め入った彼らを信じ、日々の執務をこなしていくだけだ。
フランツ殿下の声が聞こえる。
「ヒルデガルト、ちょっといいか」
目を上げると、殿下が深刻な顔で書類を手に近寄ってきた。
「なにかありましたか?」
「西方国家の一部が、南方国家に攻め込んだらしい」
私は頭を抱えながら応える。
「小賢しい国もあったものね。
そんな力があるなら、西方連合軍に尽くしなさいよ……」
フランツ殿下がフッと笑った。
「まったくだ。
――レブナントは南方に助勢する同盟を結んでいる。
俺とノルベルトは、二千の兵を連れてちょっと鎮圧に行ってくる」
私はフランツ殿下の顔を見て尋ねる。
「二千で足りるんですか?」
「ああ、あちらも大差ない。
しかも半数以上が、民間人を徴用した即席の軍隊らしい。
南方国家でも防戦は出来てるみたいだが、追い返す力が足りないそうだ。
俺たちが行けば、すぐに片が付くだろう。それまで王都を頼む」
私はうなずいて応える。
「わかりました。お任せください」
フランツ殿下は、ひらひらと手を振りながら、のんきに部屋を出て行った。
……嫌な予感の通り、動きを見せる西方国家が居たか。
動くのが一国だけとは限らない。
次に動く国家が出た場合、私が鎮圧に向かわないと。
ジュリアスがぽつりと告げる。
「ここから南方国家に行って敵軍を鎮圧するまで、一か月といったところですか。
民兵が相手なら、もう少し早く帰ってこれるかもしれませんが。
それまで王都の守りは一千の一般兵士です。守り切れますか?」
私は書類に目を落としながら応える。
「問題ないわ。
私が出て行けば、すぐに終わる話だもの。
ジュリアスこそ、無理はしないでね」
ジュリアスが肩をすくめて応える。
「どの口が言うんですか?
いつも無茶をするのは、あなたの方でしょうに」
「子供たちを孤児にしちゃだめ。
それだけは約束して。
私に何かあっても、あなたはマリーとサイモンを守って」
ジュリアスがしばらく沈黙した。
「……俺たちが居なくても、義父上が居ます。
孤児ということにはなりませんよ」
私は顔を上げてジュリアスを見た。
「もう! 酷い父親ね!
子供たちの気持ちも考えてよ」
ジュリアスは珍しく、ニコリと微笑んだ。
「では、夫婦無事に家に戻りましょう。
あなたは俺が必ず守る。
この命に代えてもね」
本当に、言うことが滅茶苦茶なんだから!
私はため息をついて告げる。
「レブナントに攻めてくる、無謀な国が居るかしら」
いくら今はガラ空きと言っても、春になれば王国軍が帰ってくる。
その時に報復されるだけだと思うんだけど。
レブナント全軍で四万、これに勝てる国は、西方国家に存在しない。
しかも『対帝国共同戦線』の中で背反行為を起こすことになる。
西方連合軍を率いるドレアニアン王の面目を潰す行為だ。
孤立した西方国家は、レブナント王国軍と西方連合軍に押しつぶされるだけ。
ジュリアスが小さく息をついて応える。
「居ないと思いますけどね。
最悪でも、我が国は王族を保護すればいい。
王家を維持できれば、春に全てが終わります」
そのはず、だよね。
****
フランツ殿下が王宮を出発してから、一週間後。
私たちが居る王太子執務室に、文官が慌てて駆けこんできた。
「敵襲です! 西方から一万の兵が、まっすぐ王都を目指しています!」
私の手から、持っていたペンがこぼれ落ちた。
すぐに冷静になり、文官に告げる。
「わかりました。
残った兵士は陛下の周辺を守らせてください。
私が敵に対応します」
文官は短く返答し、下がっていった。
一万もの兵を隠してる国が居たか。
いや、おそらく半数以上は民間人を徴用した軍だろうけど。
それにしても数が多い。
そもそも、狙いがわからない。
一時的に占領しても、帰ってきた王国軍に殲滅されるだけ。
「ジュリアスはこの局面、どう見る?」
横を見ると、ジュリアスは難しい顔をしていた。
「……何があろうと、あなたの身は俺が守ります」
それだけ言うと、彼は書類仕事を再開していた。
ジュリアスにも、何が起こっているのかわからない、か。
考えてもわからないことは、考えを保留するに限る。
今はただ、敵軍の到着を待つことにするか。
****
五日後、王都の前には一万の西方国家群が展開していた。
様子を見る限り、民兵じゃない。
正規兵による一個師団か、小賢しい!
外に対応に出ようとする私に、陛下が告げる。
「せめて少しは兵を付けなさい」
「ですが、この数の差では焼け石に水ですよ?」
「弓から君を守る盾にはなるだろう。
いいから、言うことを聞いてくれ」
陛下の顔は、真剣そのものだった。
「……わかりました。
では百名、お借りします」
私はジュリアスと兵士百名を連れ、展開している敵軍の前に向かった。
王都の前に展開する敵軍にはまだ、こちらに攻め入る気配はない。
一万の軍隊か。
フランツ殿下が率いる二千の兵も、これじゃあ帰ってこれないな。
逆に『殿下が死地から逃れている』と考えれば、王家の存続は安泰だ。
あとはノルベルトに護衛を任せ、私がこの場を何とかすればいい。
敵軍から伝令がやってきて、書状を読み上げ始める。
「レブナントに告ぐ!
帰国に在籍する筆頭宮廷魔導士、ヒルデガルト・フォン・ファルケンシュタインの投稿を要求する!
この要求が飲まれなかった場合、我が軍は王都の蹂躙を開始する!」
そう言い終わると、伝令は自軍に帰っていった。
狙いは私、か。
私が人間相手に権能を使えないことを知ってるのかな。
妙に強気な態度だ。
少なくとも『空を駆け、大地をえぐる』と噂される魔導士を相手にしている緊張感はない。
しかも王都の住民を人質に取るあたり、私のことをよく調査してるみたいだ。
私の周囲に居る兵士たちが動揺していた。
ここに居るのは一般兵士であって、騎士じゃない。
害獣退治くらいは経験してるだろうけど、戦争なんて未経験の兵ばかり。
一万人の敵軍を前に、『威圧されるな』という方が無理だろう。
この場に居るのは百名、陛下のところに九百名。
一万を相手にするには、不足が過ぎる。
――ここに居られても、足手まといだな。
私は小さく息をついて告げる。
「あなたたち、ここはいいから陛下のところへ戻りなさい。
あの馬鹿どもは、私が何とかします」
兵士たちは驚いていたけど、この場から逃げられることに安心したようだ。
駆け出すように王宮の中に戻っていった。
ジュリアスは黙って敵軍の様子を窺っている。
その手には――フルート? なんでこんな場所に?
何か有効な魔術を考えてたのかな。
だけどいくらジュリアスでも、一万人を相手に魔術を使うことはできない。
彼の厳しい表情が、それを物語っていた。
振り返ると、王都から活気を感じない。
民衆は息をひそめて居るみたいだ。
私は敵軍を睨み付け、ため息をついた。
これはあんまりやりたくなかったんだけど……しょうがないか。
私はイングヴェイに祈りを捧げ、手元に集まる魔力を確認していた。
10
あなたにおすすめの小説
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」
公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。
死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」
目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。
「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」
隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。
そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……?
「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」
資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】
iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる