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3.神の声
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エイミーと一緒にお母様の部屋に向かう。
ドアをノックしてからエイミーが告げる。
「奥様、ミレーヌお嬢様がお目覚めです」
少しして、ドアが中から開かれた。
エイミーが私の背中を押して、一緒に中に入っていく。
お母様はベッドの上で横になって、私に向かって微笑んでいた。
「よかった、ミレーヌ。熱が下がったのね」
その弱々しい声に、私は胸が詰まる思いがした。
だけど精一杯元気な声で応える。
「はい! 今朝はとても元気になりました!
お母様にも、この元気を分けて差し上げようかと!」
ベッドサイトに行き、お母様のやせ細った手を握る。
そのまま私は聖神様へのお祈りを『クラリス』の記憶通りに真似をしてみた。
――聖神様、どうかお母様に治癒の奇跡をお願いします。
だけど、なんだか『クラリス』の記憶と感触が違う。
祈りが届いてる気がしない――そんな気がした。
まるで私の祈りを聖神様が拒絶してるかのような、そんな感触だ。
――まさか、私が『邪神の巫女』だから力を貸せないってこと?!
呆然とする私に、お母様が優しい声で告げる。
「ありがとうミレーヌ。おかげでお母さん、とっても元気になっちゃった」
弱々しい声で微笑むお母様を見る私の目から涙がこぼれ落ちていく。
お母様を死なせちゃいけない!
こんな優しい人を失うなんて、あっていいはずがない!
私は必死に聖神様へのお祈りを繰り返した。
だけどやっぱり、祈りが届く気配がない。
――そうか、そういこと。聖神様は心が狭い神様なんだな。
それなら! 『邪神の巫女』が取る方法は一つだけ!
私は『クラリス』が死後に会った、邪神ゴルディーナへと祈りの先を変えた。
――邪神ゴルディーナ! 聞こえているなら願いを聞いて! お母様の病気を治癒して!
私の中から、とても強い力が湧いて出てきた。
その力がどこか遠くへと流れつき、『届いた』感触がした。
まさかと思い目を開けると、お母様の体を金色の光が包み込んでいた。
――これは、聖神様の奇跡じゃない。
聖神様の奇跡は銀色の輝きをまとって発動する。
こんな金色に光る現象は、見たことがなかった。
お母様の血色が見る間に良くなっていき、肉付きも戻っていく。
――え。そこまで健康になるの? サービス良過ぎじゃない?
唖然とするお母様から金色の輝きが霧散すると、部屋の中は水を打ったように静まり返っていた。
私はおずおずとお母様に尋ねる。
「あの……どうでしょうか、お母様。
まだどこか苦しい所はありますか?」
「……まったく苦しくないわ。
何がどうなってしまったの?
ねぇミレーヌ、あなたは何をしたの?」
お母様の戸惑う眼差しを、私も戸惑いながら見つめ返した。
****
お父様が部屋にやってきて、侍女たちに告げる。
「今見たことは決して他言しないように。
そして人払いをしてくれ」
侍女たちが辞去しながら部屋を出ていく。
全員が部屋の外に出るとドアが閉まり、お父様が私に振り向いた。
「なぁミレーヌ、自分が何をしたか覚えているかい?」
私は小さく頷いた。
「その……邪神に『お母様の病気が治りますように』とお願いをしました……」
お父様は頷くと、お母様に近づいてその顔色を確かめていった。
「どうだオリビア、体におかしなところを感じないか」
お母様はまだ戸惑った様子で応える。
「それが、本当にどこも苦しくないの。
ねぇヴィンセント、いったい何が起こったというの?」
お父様が考えこむように少し黙った。
「……邪神。聖神と敵対する神だ。
伝承では姉妹神とも言われている。
もしミレーヌが邪神の奇跡をつかえると知られると、聖教会に追われる身となる」
――え?! ああ! そうか!
邪神は聖教会の敵対者、信奉する神の敵だもん。
そりゃあ『邪神の巫女』が目覚めたって聞いたら、討伐に来るよね……。
お父様が私に振り向いて告げる。
「ミレーヌ、その力は今後、許可なく使ってはいけない。
聖教会に知られると厄介だからね。
私の方でも、邪神伝承を詳しく調べてみる。
何かわかると良いんだが……」
「はい、お父様……。
勝手なことをしてごめんなさい」
頭を下げる私の肩に、お父様が手を置いた。
「謝る必要はない。
いくら求めても聖女を寄越さない聖教会と違い、ミレーヌは母親の命を救って見せた。
お前がお前の力でオリビアを救ったんだ。
もっと胸を張るといい」
その優しい声に、私も涙をこぼしながらお父様に抱き着いた。
「良かった! お母様が助かって本当に良かった!」
私は鳴き声を上げながら、家族三人でお母様の快癒を喜んだ。
****
その日は朝食の後、公爵家の礼拝堂に向かった。
本来は聖神様を祀る場所だけど、別に聖神様に祈るためじゃない。
ここならなんとなく、邪神様にも声が届くような気がしたからだ。
私はひとりで祭壇の前に座りこみ、邪神様に祈りを捧げる。
――邪神ゴルディーナ様、お母様を癒してくれてありがとう。
『どういたしまして。
今度はどうやら、巧くいったみたいね』
返事が返ってきた。やっぱりここは、神と交信しやすい場所なんだな。
――なんで声が聞こえるんでしょうか。聖神様は声を聞かせてくれたことはないんですが。
『あの子は意地悪だからね。
人間を見下してる神よ。
私は別に見下してないから、話ぐらいはしてあげるってだけ』
やっぱり、聖神様は意地悪なのか……。
『クラリス』が長年信仰してきた神が意地悪とか、ちょっとショックだ。
あ、そういえば今は現役聖女が奇跡をつかえない時期だ。
ということは、邪神様の封印も弱まってる?
――もしかして、今なら邪神様を復活できたりするんですか?
『うーん、大掛かりな儀式を行えば可能だけど。
今は止めておきなさい。時期が悪いわ。
今私を復活させると、あなたが討伐されてしまうもの』
なんだか『邪神』なのに優しい神様だな。
――どうしてそんなに優しいんですか? 邪神ですよね?
『聖神だ邪神だなんて、勝者が敗者に張るラベルでしかないわ。
私は妹との争いに敗れ封印された神。それだけが真実よ。
私を信仰していた人間たちは邪教徒として殺されていった。
人間の歴史なんて、その程度のものよ』
――悔しいとか思わないんですか?
『そんな感情、思ったこともないわね。
”しょうがない妹よね”とは思うけど。
だからあなたも、私のことを気にするのはお止めなさい』
――はい、わかりました。ところで、邪神様の奇跡はいつまで使えるんですか?
これは大事なことだ。『クラリス』が封印の強化をするようになったら使えなくなるかもしれないし。
『声はそのうち届かなくなるけど、奇跡の力は届けてあげられるわ。
でも人を蘇生させるような大奇跡は、相応の儀式が必要よ。
あなたは前の”ミレーヌ”のような間違いは起こさないようにね』
――やっぱり、無理があったんですね。じゃあ、今の『クラリス』ってどうなってるんですか?
私の中にクラリスの魂が入っているなら、今のクラリスの魂は誰のものなんだろう?
『その疑問は考えない方が良いわよ?
人間の頭で理解することはできないわ。
ただ”同じもの”が宿ってるとだけ思っておきなさい』
『クラリス』にも同じ魂が宿ってるってことかな?
考えるなって言うんだから、答えが出る話じゃないんだろう。
エイミーが背後から私におずおずと声をかけてくる。
「お嬢様、そろそろお体に障ります。
病み上がりだということをお忘れなきよう」
私は目を開けて頷いた。
「ええ、わかってますわ。エイミー」
立ち上がった私は、エイミーの手を取って礼拝堂を後にした。
ドアをノックしてからエイミーが告げる。
「奥様、ミレーヌお嬢様がお目覚めです」
少しして、ドアが中から開かれた。
エイミーが私の背中を押して、一緒に中に入っていく。
お母様はベッドの上で横になって、私に向かって微笑んでいた。
「よかった、ミレーヌ。熱が下がったのね」
その弱々しい声に、私は胸が詰まる思いがした。
だけど精一杯元気な声で応える。
「はい! 今朝はとても元気になりました!
お母様にも、この元気を分けて差し上げようかと!」
ベッドサイトに行き、お母様のやせ細った手を握る。
そのまま私は聖神様へのお祈りを『クラリス』の記憶通りに真似をしてみた。
――聖神様、どうかお母様に治癒の奇跡をお願いします。
だけど、なんだか『クラリス』の記憶と感触が違う。
祈りが届いてる気がしない――そんな気がした。
まるで私の祈りを聖神様が拒絶してるかのような、そんな感触だ。
――まさか、私が『邪神の巫女』だから力を貸せないってこと?!
呆然とする私に、お母様が優しい声で告げる。
「ありがとうミレーヌ。おかげでお母さん、とっても元気になっちゃった」
弱々しい声で微笑むお母様を見る私の目から涙がこぼれ落ちていく。
お母様を死なせちゃいけない!
こんな優しい人を失うなんて、あっていいはずがない!
私は必死に聖神様へのお祈りを繰り返した。
だけどやっぱり、祈りが届く気配がない。
――そうか、そういこと。聖神様は心が狭い神様なんだな。
それなら! 『邪神の巫女』が取る方法は一つだけ!
私は『クラリス』が死後に会った、邪神ゴルディーナへと祈りの先を変えた。
――邪神ゴルディーナ! 聞こえているなら願いを聞いて! お母様の病気を治癒して!
私の中から、とても強い力が湧いて出てきた。
その力がどこか遠くへと流れつき、『届いた』感触がした。
まさかと思い目を開けると、お母様の体を金色の光が包み込んでいた。
――これは、聖神様の奇跡じゃない。
聖神様の奇跡は銀色の輝きをまとって発動する。
こんな金色に光る現象は、見たことがなかった。
お母様の血色が見る間に良くなっていき、肉付きも戻っていく。
――え。そこまで健康になるの? サービス良過ぎじゃない?
唖然とするお母様から金色の輝きが霧散すると、部屋の中は水を打ったように静まり返っていた。
私はおずおずとお母様に尋ねる。
「あの……どうでしょうか、お母様。
まだどこか苦しい所はありますか?」
「……まったく苦しくないわ。
何がどうなってしまったの?
ねぇミレーヌ、あなたは何をしたの?」
お母様の戸惑う眼差しを、私も戸惑いながら見つめ返した。
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お父様が部屋にやってきて、侍女たちに告げる。
「今見たことは決して他言しないように。
そして人払いをしてくれ」
侍女たちが辞去しながら部屋を出ていく。
全員が部屋の外に出るとドアが閉まり、お父様が私に振り向いた。
「なぁミレーヌ、自分が何をしたか覚えているかい?」
私は小さく頷いた。
「その……邪神に『お母様の病気が治りますように』とお願いをしました……」
お父様は頷くと、お母様に近づいてその顔色を確かめていった。
「どうだオリビア、体におかしなところを感じないか」
お母様はまだ戸惑った様子で応える。
「それが、本当にどこも苦しくないの。
ねぇヴィンセント、いったい何が起こったというの?」
お父様が考えこむように少し黙った。
「……邪神。聖神と敵対する神だ。
伝承では姉妹神とも言われている。
もしミレーヌが邪神の奇跡をつかえると知られると、聖教会に追われる身となる」
――え?! ああ! そうか!
邪神は聖教会の敵対者、信奉する神の敵だもん。
そりゃあ『邪神の巫女』が目覚めたって聞いたら、討伐に来るよね……。
お父様が私に振り向いて告げる。
「ミレーヌ、その力は今後、許可なく使ってはいけない。
聖教会に知られると厄介だからね。
私の方でも、邪神伝承を詳しく調べてみる。
何かわかると良いんだが……」
「はい、お父様……。
勝手なことをしてごめんなさい」
頭を下げる私の肩に、お父様が手を置いた。
「謝る必要はない。
いくら求めても聖女を寄越さない聖教会と違い、ミレーヌは母親の命を救って見せた。
お前がお前の力でオリビアを救ったんだ。
もっと胸を張るといい」
その優しい声に、私も涙をこぼしながらお父様に抱き着いた。
「良かった! お母様が助かって本当に良かった!」
私は鳴き声を上げながら、家族三人でお母様の快癒を喜んだ。
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その日は朝食の後、公爵家の礼拝堂に向かった。
本来は聖神様を祀る場所だけど、別に聖神様に祈るためじゃない。
ここならなんとなく、邪神様にも声が届くような気がしたからだ。
私はひとりで祭壇の前に座りこみ、邪神様に祈りを捧げる。
――邪神ゴルディーナ様、お母様を癒してくれてありがとう。
『どういたしまして。
今度はどうやら、巧くいったみたいね』
返事が返ってきた。やっぱりここは、神と交信しやすい場所なんだな。
――なんで声が聞こえるんでしょうか。聖神様は声を聞かせてくれたことはないんですが。
『あの子は意地悪だからね。
人間を見下してる神よ。
私は別に見下してないから、話ぐらいはしてあげるってだけ』
やっぱり、聖神様は意地悪なのか……。
『クラリス』が長年信仰してきた神が意地悪とか、ちょっとショックだ。
あ、そういえば今は現役聖女が奇跡をつかえない時期だ。
ということは、邪神様の封印も弱まってる?
――もしかして、今なら邪神様を復活できたりするんですか?
『うーん、大掛かりな儀式を行えば可能だけど。
今は止めておきなさい。時期が悪いわ。
今私を復活させると、あなたが討伐されてしまうもの』
なんだか『邪神』なのに優しい神様だな。
――どうしてそんなに優しいんですか? 邪神ですよね?
『聖神だ邪神だなんて、勝者が敗者に張るラベルでしかないわ。
私は妹との争いに敗れ封印された神。それだけが真実よ。
私を信仰していた人間たちは邪教徒として殺されていった。
人間の歴史なんて、その程度のものよ』
――悔しいとか思わないんですか?
『そんな感情、思ったこともないわね。
”しょうがない妹よね”とは思うけど。
だからあなたも、私のことを気にするのはお止めなさい』
――はい、わかりました。ところで、邪神様の奇跡はいつまで使えるんですか?
これは大事なことだ。『クラリス』が封印の強化をするようになったら使えなくなるかもしれないし。
『声はそのうち届かなくなるけど、奇跡の力は届けてあげられるわ。
でも人を蘇生させるような大奇跡は、相応の儀式が必要よ。
あなたは前の”ミレーヌ”のような間違いは起こさないようにね』
――やっぱり、無理があったんですね。じゃあ、今の『クラリス』ってどうなってるんですか?
私の中にクラリスの魂が入っているなら、今のクラリスの魂は誰のものなんだろう?
『その疑問は考えない方が良いわよ?
人間の頭で理解することはできないわ。
ただ”同じもの”が宿ってるとだけ思っておきなさい』
『クラリス』にも同じ魂が宿ってるってことかな?
考えるなって言うんだから、答えが出る話じゃないんだろう。
エイミーが背後から私におずおずと声をかけてくる。
「お嬢様、そろそろお体に障ります。
病み上がりだということをお忘れなきよう」
私は目を開けて頷いた。
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