サヨウナラからはじまる恋

桜 詩

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朝の邂逅

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早朝、ジョージアナは気晴らしの乗馬をしていた。それほど乗馬が大好きという訳ではないが、それでも朝の空気に運動をすると気持ちが洗われるような心地がしてとても良い。

ウィンスレット公爵家の乗馬コースは広大な邸の敷地内なので、心置きなく過ごせる。

ジョージアナの馬は鹿毛の小柄な雌馬。気性も穏やかで御しやすく乗りやすい。遠出のコースを進んで行くと、小さな舘があるところまで行き着いた。
そこは休憩所のようになっていて、ジョージアナはその屋根の下で、帽子を脱いでそしてブーツも脱いで素足となり、寛いだ。

誰も来ないはずだったからだ。
バルコニーにある大きなクッションを引っ張ってきて、そこにもたれ掛かるように寝転がる。

エリザベスが見れば目くじらをたてそうな、令嬢らしからぬはしたない姿だ。
体が心地よいよう思いのまま、自由気ままな一時、この時のジョージアナはあくまで自然体を体感できたのだ。

知っている貴族もおらず、侍る使用人もいないジョージアナただ一人の時間…。


「…あれ?ジョージアナ?」
そう声がかかり、ジョージアナは自分がうたた寝をしていた事に気がついた。
「お兄様?」
起き上がってぼんやりと見ると、次第にはっきりしていく視界が目の前の人物を脳に認識させる…フェリクスとそして…フレデリック…。

二人の目線で、今の姿を思いだし、あわてて起き上がった。
「やだっ!もぅ」
慌ててブーツとそして帽子をもって舘に飛び込んだ。
ジョージアナはブーツを履いて帽子を身に付けた。

フェリクスはともかく、フレデリックに寛いでいた姿を見られるなんて、これほどの失態はかつてない…。最近立て続けにフレデリックには恥ずかしい所ばかり見られていて本当に嫌になる。

よく考えてみれば、フェリクスが友人と乗馬を楽しむためにこの場に来ても何らおかしい事はなかったのだ…。

身だしなみを整えて外に再び出ると、フェリクスは苦笑してジョージアナを見たし、フレデリックは普段通りの笑みを浮かべていた。
「おはようございます、お兄様、フレデリック」
さも今会いましたよ、という風に挨拶をする。

休息をとっていた愛馬の手綱を取ると、ジョージアナは騎乗しようとする。しかし、踏み台のないこの場所では乗るのに苦労をする。しかもフレデリックの前で、悪戦苦闘するのは矜持が許さないが仕方ない。
「ジョージアナ」
フレデリックが近寄り、あっさりとジョージアナの腰を持ち上げて、鞍に座らせてくれる。
「ありがとうフレデリック」
ジョージアナが言うと、
「どういたしまして」
とにこやかに返した。ジョージアナは一足先に帰る事にして馬を走らせた。

まったく…どうしてこんな偶然会うのかしら?乗馬コースなんていくつかあるのに…。ジョージアナもまたどうして今日に限って乗馬をしようと思ったのだ!そして遠出のコースを選ぶなんて…よりにもよって同じ時間にフェリクスがフレデリックと共にやって来るだなんて…。

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