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1章 パズルの神子と神様

2話 神様の世界

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目が覚める。

僕は取り敢えず辺りを見渡して、
違和感が無い違和感に苛まれる。

世界が歪んで…ない?

「ここは、どこなのだろう。」

周りは水平線が無限に広がっていて、
夕暮れ?朝焼け?
何とも言えないノスタルジックな橙色と、
取って付けたような雲に囲われていて、

地面?
透明な床?
水の上に佇む妖精みたいだ。

段々思い出してくる。
飛び降りて、
飛び降りた後?
精神世界?
わかんないわかんない。


「やぁ、起きたみたいだね。」


青めの黒髪男が喋りかけてきた。
 
…てか、
いつからいたんだろうこの人。

「ここは、どこでしょうか?あ、あの、初めまして、自分は縁田 正輝っていい…」

遮るように、黒髪男は喋りだす。

「ようこそ、神の世界へ。私は…そうだなぁ、ロサと呼んでくれれば良いね。」

ロサ、と名乗り出した男は、
勢いそのままに色々説明を始めた。

ここは神の世界と呼ばれる場所で、
神々が各々の世界を作り、
管理している場所。

そして僕はロサの作り出した世界の住人であり、
所謂抜け落ちたピースだということ。

またロサの作る世界は、
他の神様にはあまりウケが良くないこと。

「大体解ってきたかな?」

ロサの問いかけに、

「まぁ、はい。」

正直わからないことだらけだなぁ、
と思いながら何となく応じる。


「流石は、パズルの天才だ。」

とロサは嬉しそうに僕を見る。

パズルの、天才?
いやまぁ、
そうだとは思うけど…。
少しだけ曇った顔、僕。

そんな顔を見てロサは、

「あぁ、改めて言うと、君は天才なんだよ。ことその才能でいったら神をも凌ぐ存在なんだ。」

神を凌ぐ?
神って何となく凄いと思ってたのに、
そうでもないのかな…?

「因みに、ここでいう天才ってのはさ、相対的な才能じゃなくて、絶対的な才能を指す訳。それは神の世界も例外じゃない。どこの誰よりも才能があるってことさ。」

…なるほど、
話を聞いて、僕は真っ先に何とも言えない孤独感に苛まれる。

あぁ、誰も僕の気持ちは解らないんだ。


「ん~、まぁ話ばかりでは混乱するよね。少し、私の作った世界を見てみるかい?」

ロサは少し恥ずかしそうに、
またかなり緊張した面持ちで、
あの違和感と歪みに溢れた世界を見せようと仕掛けた。

この時、
僕は歪んだ世界を作った張本人に対して、
ようやくあの違和感と歪みを正しく否定できる機会がきて高揚した。

反面、
正しいと思う事を言って、
またあの時と同じ孤独を味わうのかと思うと、

あぁ、
足取りは軽いものじゃないなぁって、

行き場のない気持ちと共にロサの後を追った。
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