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1.ストッキング ❤︎
しおりを挟む私、伊角 温子は入浴剤メーカーに研究員として勤めている。
この度、同じ会社の営業部の水川 誠二と恋人となった。
以前までは水川のことを嫌いな後輩としてしか見ていなかったが、ひょんなことから混浴温泉を楽しむ仲となり、晴れてお付き合いをすることに。
仕事終わりにデートをしたり、休日にスーパー銭湯や温泉を楽しめて、毎日が楽しい!
ちょっと物足りないのは、……夜のこと。裸を見たことも見せたこともある仲ではあるが、キスはまだ、そしてもちろん最後までいったことはない。混浴温泉でとても近いところまではいったんだけど。
水川はしたくないのか?
まぁ……そりゃあ……私にそんなに魅力無いよね……
◆◆◆◆
金曜日の仕事帰りのデートが定番になってきたが、本日は足湯をしながらご飯が食べれる足湯居酒屋にやってきた。
半個室に掘りごたつのようになったテーブルの下には常に温かいお湯が循環するようになっているのだ。淡い照明が照らし雰囲気も抜群。
あぁ、足はポカポカ、ご飯も美味しい。最高!
「温子さん、またよく見つけましたね、足湯居酒屋なんて」
「常に情報収集してるから」
「さすがです。でも良いこと知ったなぁ。足湯居酒屋さんに入浴剤売るのも良さそう」
「もう、仕事から離れなさいよ」
そうですね、と言いながら水川はきっと頭の中で営業をいつしようかと考えているだろう。エースはさすがだ。
◆◆◆◆
「今日は珍しくスカートだなぁと思ってましたけど、まさか足湯居酒屋のためだったとは」
「そりゃあもちろん。パンツスーツじゃ捲りにくいし」
そう、普段の私はパンツスーツに白衣。しかし今日は膝丈のフレアスカートを着ている。タイトめにデザインされたパンツスーツは、捲ることが難しい。
「……さっき足湯につかるときにストッキングを脱いでましたけど、僕以外の人がいるときはやめて下さい」
席に着いてすぐに、行儀が悪いとは思いつつ化粧室に行くのも面倒で、テーブルの影になって見えないところでスカートの中に手を入れてストッキングを脱いだ。
「…ごめん、行儀わるかったね」
あぁズボラだと思われてしまった。しょぼんと少し目を落とすと、思いがけない返答がきた。
「違いますよ。その……色っぽい仕草だったから、僕以外の男には見せないで欲しいってことです」
ごほっごほっ
色っぽい!?
「色っぽいって何が!?ズボラなだけでしょ!?」
「少し恥ずかしそうにごそごそしている姿とか、腰をくねらせながら爪先からストッキングを取るあたりが……」
「ばっ、、ばっかじゃないの!!」
何を小っ恥ずかしいことを言っているのだ。
水川は更に「この生脚をあんまり他の人には見せないでって意味です」と言いながら、もぞもぞとし始める。
すると私の足に水川の足が当たった。
そしてツツツと撫で上げられる。
ぞわぞわっ
器用な足の動きに、思わずピクッと反応してしまう。
水川と私はテーブルに向かい合ってではなく、90度の角度の位置に座っていたため、足が触れ合う位置だった。
ふくらはぎを下から上に、上から下へと撫でられる。
「ん……っ」
やだ、感じちゃう…っ
「ちょっと、やめてってば」
「はい、ごめんなさい」
水川はすぐに足を引っ込めた。
…………こういう物分かりの良いところが水川の良いところだが、少し物足りない。
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