赤い糸がほどけた

陽紫葵

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赤い糸がほどけた

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 乎汰くんとキスをした。体中が熱くなった。
やっぱ、大好きだよ。
うっとりしているのを、邪魔するようにケータイの着信音が鳴り響く。
誰?
「お母さんだ」
私は、ボタンを押し、
「もしもし」
「香都巴、今何処?」
「え、乎汰くんのとこ。お母さんは?」
「可乃ちゃんとこよ」
「え、もう来たの?」
「うん」
「じゃあ、私も行く」
乎汰くんと一緒に向かった。
「結婚式は?」
「今始まった頃かしらね」
「お母さんは行かなかったの?」
「うん。だって、行きたくないもの」
「お父さんは?」
「お父さんは出てるわよ。お父さんには、相手の事、香都巴との事も話してないから。言いうとややこしくなるからね」
「そっか。お父さんは、今日、ホテル?」
「そうね。お母さん、今日はここに泊めてもらうけど、香都巴は?」
「私は・・・」
乎汰くんの方を見てから、
「乎汰くんのとこ」
「そうなの?」
「私・・・」
「いいんじゃない?」
何もかも、察している感じだ。
しばらく4人で話していると、お母さんのケータイに着信があった。
お父さんからだ。
お母さんは少し離れて話していた。
「もう式終わったのかなぁ?」
「かもな」
話し終え、
「お父さん、ホテル泊まらないでこっち来るって。もう向かってるからって。迎えに行かなきゃ」
「じゃあ、俺、車出すよ」
「うん、ありがとう」
乎汰くんはこっちを見たが、
「私は、ここにいる」
2人が出って行ってから、
「香都巴ちゃんも行かなくてよかったの?」
「うん。なんか、お父さんの話聞きたくなくて・・・」
「そっか」
「あの、結ちゃんの事・・・」
「あぁ、おばあちゃんのとこ行ったのね」
「私、今日まで知らなくて」
「そうだったのね」
「私、力になりたいって思ってたのに、中途半端な形で」
「しょうがないわよ。香都巴ちゃんだって、自分の事でいっぱいだったんでしょ?」
「うん、でも・・・」
「乎汰もね、意固地になってたとこあったけど、何が正解とかないし、いいんじゃない?これで。少し休んだらいいのよ」
「乎汰くん、頑張ってたもんね」
「そうね」
「私、こんな時に、乎汰くんに甘えていいのかなぁ?」
「ん?あ、そうね。乎汰に何て言われたか知らないけど、香都巴ちゃんの気持ちに、素直になればいいのよ」
「素直に?」
「あ、そう言えばねぇ、思い出しちゃった」
「何?」
「あのね、香都巴ちゃんが1歳かな?2歳になる前だったかな?うちで預かってたのね。その日、咲ちゃんが帰って来る日で、駅まで送って行くことになってたのね。なのに、乎汰は香都巴ちゃんから離れなくて、抱きかかえようとしたらさ、『ダメ!香都巴は僕のモノだもん』って言うのよ」
「え~!」
想像しただけでドキッとする。
「泰平さんに頭コツンってされて、泣き出しちゃったけど。泰平さんが香都巴ちゃんを先に車に乗せて、私は晋を抱きかかえて、乎汰の手を引っ張るように連れて行ったけどね」
「なんか、可愛い、乎汰くん」
「そうなのよ。自分の子供だけど、可愛かったわぁ」
「私は、その頃から、乎汰くんに守られてたのね」
「そうゆうことになるわね」
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