私はあなたを好きじゃない

陽紫葵

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私はあなたを好きじゃない

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金曜日、いつものようにバーに行った。
敷さんも吉元さんも来ていなかった。
一人カウンターで飲んでいたら、10時頃に吉元さんが来た。
「仕事遅くなっちゃってさ」
「そうなんですか」
「あのさぁ、玲衣ちゃん。知り合いの人が絵画の個展やってるんだけど、一緒に行かない?」
「絵画?」
「色彩がすごく綺麗でさ、玲衣ちゃんの仕事にも役立つと思うんだ」
「えぇ、いいですねぇ」
「2週間しかやってなくて、来週は都合悪いし、急だけど、明日、どうかなぁ?」
「明日ですか・・・?」
「都合悪かったらしょうがないけど」
「ううん、大丈夫です」
「じゃあ、明日、昼から2時でどう?」
「はい」
「家の前まで迎えに行くね」
「ありがとうございます」
「じゃあ、一応、連絡先交換しよう」
と言って、ケータイ番号を交換した。
家に帰ってから考えていた。
急に決まってしまったけど、これって?
吉元さんと2人で出かける。これって、デート?
私、敷さんの事が好き。
でも、吉元さんの事も好き。
こんなんでいいのだろうか?
土曜日、早めにお昼を食べ、出かける用意をした。
敷さんと出かける時に、他にも洋服を買っていた。
仕事には着て行けないような派手目なワンピースも。
今日はこれを着て行こう。
2時過ぎた頃、着いたと吉元さんから電話があり、家を出た。
敷さんの車は赤のスポーツカータイプだった。
吉元さんはシルバーのワゴンタイプの軽自動車だった。
「宙夢みたいにかっこいい車じゃなくてごめんね」
「え?」
「この前見たんだろ?」
「あぁ」
「どうした?」
そうだ、この前、コンビニで見かけたのは知っている。でも、映画に行った事は話していない。秘密にするつもりはないけど。
「ううん」
すぐに車を走らせ、20分程で個展の場所のビルに着いた。
横の駐車場に車を停めた。
「じゃ、行こうか」
エレベーターで3階まで上がり、入り口で受付を済ませて中に入った。
吉元さんが言った通り、色彩が綺麗で、見とれてしまった。
途中、吉元さんは誰かと話していた。
「ごめんね。知り合いの知り合いってゆうのかな」
「そうなんですか」
一通り見てから、
「まだ夕飯には早いし、お茶して帰ろうか」
「うん」
もう?ってゆう思いと、少しほっとした思いもあった。
やましいわけじゃないのに、何だか落ち着かない。
車を停めたまま、ビルの5階の喫茶店に入った。
「どうだった?」
「うん、素敵でした」
「そう?よかった」
コーヒーとケーキを食べ、一息してから、帰った。
駐車場から出たところで、敷さんを見かけた。
隣には女性もいた。
私はつい、目を逸らすように下を向いた。
「気になる?」
「え?」
「宙夢の事」
「いえ、別に、私は」
「そうなの?ならいいけど」
ん?ならいいって、どうゆう事?
そのまま車を走らせ、家の前まで送ってもらい、
「今日はありがとね」
「いえ、こちらこそ」
と車から降りた。
家に帰ってから、あれこれ考えてた。
敷さんの事。隣の女性は誰?
吉元さんが言った事。
考えても、考えるほど、頭ん中がぐちゃぐちゃになった。
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