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火種 7
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草をかき分ける音だけが、耳に入ります。
ぼんやりする頭を、なんとか奮い立たせて歩いているせいか、足取りはいつもより遅くなっています。でも後ろから、文句は飛んできませんでした。
「なんでミタマが殴られなきゃいけなかったの」
サラの声が震えていました。見ると、彼女の目から涙がぽろぽろとこぼれています。潤んだ瞳は、まっすぐミタマを見ています。
ミタマは小さく笑いました。
「子どもが死んだら悲しいだろ。助けてやれなかった自分を、きっとあいつらは責めていた。その怒りのやり場にちょうど良かったんだよ、俺が」
サラは顔をしかめました。
「あなたもあなただわ、なんでそんなことされて平気なのよ! 怒りなさいよ! あの人たちを恨みなさいよ! そうしたって当然だわ! 恨まれて当然なのよ、あの人たちは!」
「そう言われてもなあ、それが難しいんだ」
サラは口をつぐんでしまいました。
不意に草むらが揺れたかと思うと、国人が現れました。
「おっ息子ぉ、試し斬りできた? 何人斬った?」
にこやかに笑う国人を見て、ミタマは気が緩んだのを感じました。
途端、意識が遠のいていきます。
「ミタマ!」
その声だけが、やけにはっきりと聞こえたことは覚えています。
ぼんやりする頭を、なんとか奮い立たせて歩いているせいか、足取りはいつもより遅くなっています。でも後ろから、文句は飛んできませんでした。
「なんでミタマが殴られなきゃいけなかったの」
サラの声が震えていました。見ると、彼女の目から涙がぽろぽろとこぼれています。潤んだ瞳は、まっすぐミタマを見ています。
ミタマは小さく笑いました。
「子どもが死んだら悲しいだろ。助けてやれなかった自分を、きっとあいつらは責めていた。その怒りのやり場にちょうど良かったんだよ、俺が」
サラは顔をしかめました。
「あなたもあなただわ、なんでそんなことされて平気なのよ! 怒りなさいよ! あの人たちを恨みなさいよ! そうしたって当然だわ! 恨まれて当然なのよ、あの人たちは!」
「そう言われてもなあ、それが難しいんだ」
サラは口をつぐんでしまいました。
不意に草むらが揺れたかと思うと、国人が現れました。
「おっ息子ぉ、試し斬りできた? 何人斬った?」
にこやかに笑う国人を見て、ミタマは気が緩んだのを感じました。
途端、意識が遠のいていきます。
「ミタマ!」
その声だけが、やけにはっきりと聞こえたことは覚えています。
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