未来からの降霊

ジャメヴ

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  翌日、私は朝6時50分に家を出て右向かいのマンションを見ていた。7時を過ぎても茶髪の青年の姿は無い。スマホを確認し、7時5分になる寸前に茶髪の青年が玄関から出てきた。今日も鍵を閉めずに茶髪の青年は階段へ向かった。私は茶髪の青年が1階の出入口を出るのを確認して階段へ向かう。階段を降り、右向かいのマンションへ歩く。こちらのマンションに入るのは初めてだったが、ちょうど鏡に写したかのように全く同じ造りだ。階段を上り、3階の廊下を歩く。誰にも会わず角部屋まで来た。308室……茶髪の青年の家の前だ。インターホンを押し、直ぐに私はドアを開け、家の中に入り、ドアを閉めた。
「すみませ~ん」
小さめの声で言った。返事は無いし、人の気配も無い。玄関には男性物の靴やサンダルが置いてあるだけだ。私の左手にはラッピングされた蕎麦が袋に入れられた物を持っている。何の為かって?  それは、もし、誰かが居た時に、4階に引っ越して来たと誤魔化す為だ。もちろん、そんな訳は無いし、そもそも、この小道具は使わないのが理想だ。
  靴を脱ぎ、部屋へ入る。
「すみませ~ん」
反応は無い。私は最初から誰も居ないと予想しているが、確信に変わりつつあった。だからと言って、最悪の事態の想定はしておかなければならない。私は、誤魔化す方法を引っ越しとしていだが、大きな物音がしたから心配になったという理由に切り替えた。「すみませ~ん」と言いながら部屋を見て回る。鼓動が速くなるのを感じながら、全ての部屋を見終えた。誰も居ない。
  私はテレビを点け、ソファーに腰掛けた。
「おいおい!  何をくつろいでいるんだ?」と突っ込みたくなるだろうが、別に私は空き巣をしに来た訳では無い。給料はソコソコ良く、ボーナスもかなり多い。浪費癖も無く、金に困ったりはしていない。「じゃあ、何をしに来たんだ?」と思うのは当然だろう。私はスリルを味わいに来たのだ。
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