未来からの降霊

ジャメヴ

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翌週の金曜日、朝7時

  私は、先週の火曜から毎日、平日の朝は知らない茶髪の青年の家で1時間寛いでから会社へ出勤するようになった。既に9日目ともなるとスリルも薄れてきている。私は、そろそろ飽きを感じ始めてきた。例えば、テレビや部屋の電気をつけっぱなしにしたらどうなるだろう?  冷蔵庫の飲み物を勝手に飲んだらどうなるだろう?  と更なる刺激を欲するようになってきていたが、流石にそこまではしていない。油断大敵という言葉もある。次のステップに行くのはまだ早い。自分の気持ちで緊張感を持続すれば、今のところは変わらずスリルを味わう事が出来ている。
  今日も茶髪の青年が1階の出入り口を出ていくのを確認してから彼の部屋へ向かう。初日と全く同じローテーションで玄関のチャイムを押した後、部屋へ入り、「すみませ~ん」と小声で言う。もちろん、引っ越し挨拶用の蕎麦も持っている。誰も居ないのは、ほぼ間違いないが、親が泊まりに来ていたり、恋人や友達を泊めていたりする可能性はゼロでは無い。緊張感を持続出来ている。全ての部屋を確認し、いつものように、リビングのテレビのリモコンを持とうとした時だった。
  ベランダに女性がいたのだ!  窓越しだが、完全に目が合った後、私は一目散に部屋を飛び出した。5秒前であれば、「大きな音が鳴ったので心配になって見に来ました。大丈夫ですか?」と冷静に対応出来た筈だが、リモコンを持とうとした時には緊張の糸が切れている。まさに、油断大敵だったのだ。いったい誰だ?  彼女か?  私は咄嗟の事で逃げ出してしまった。驚きと全力疾走による動悸で痛む左胸を左手で押さえながら階段を下りる。幸い、蕎麦の入った袋は持っている。まあ、仮に部屋に置きっぱなしにしていたところで、身元が判明するような物ではないが、持って帰った方が良いのは間違いない。今からどう行動すれば良いのかを考えなければならない。警察に連絡してるだろうか?  もし、自分の部屋に戻る姿を見られたりしたら、完全に身元が分かってしまう。同じ理由で会社へも行けない。
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