願いを叶えてくれる悪魔

ジャメヴ

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人間を操る能力

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「で、何だっけ?」
「その悪魔に会いに行かないか?」
「何でだよ!  悪魔の存在を認めちゃいないけど、危険な場所に行く理由が無いだろ」
「まあ、そうだな……」
「因みに、その悪魔はどんな悪さをするって話なんだ?」
「いや、何もしない」
「それ悪魔じゃないだろ。ただの婆さんだよ」
「まあ、この町の古い言い伝えだからな。俺達みたいに若い奴には教えないようにしているのか、同世代では知っている奴はいないと思う。でも実際、あの洋館には化け物みたいに醜い生き物が住みついているって噂だしな」
「ふ~ん……えっ!  まさか……」
俺は中村が何を言いたいのかを理解した。中村は俺の様子を見て無言でうなずいた。
「俺の両親が醜い姿に変えられて、その洋館に住んでいるって言うのか?!」
「もちろん、可能性があるって話な。一応辻褄は合うだろ?」
確かに、何か願い事があって醜い姿に変えられたのなら、普通には生活出来ないから、人里離れた洋館に隠れて住むってのは辻褄が合う。だからと言って、非科学的な話を鵜呑みには出来ない。
「実は、この町では他にも何件か失踪事件があったんだ。未だに見つかっていない。俺は悪魔が関係していると思う」
「確かに、ちょっと確認しに行きたいけど、悪魔の話が嘘なら行く意味が無いし、本当なら危険すぎるから、どっちにしても行けない気がするけど……」
「いや、一応大丈夫の筈だ。さっき狩野が言ったように、どちらかと言えば神様に近いのかも知れない。向こうから攻撃はしてこないって話だから。願いを叶えてくれる代償が酷いから悪魔って呼んでいるけど、俺達人間側と悪魔側の要求が一致したWin-Winの関係だ」
「Win-Winって、悪魔は一体何が目的なんだ?」
「どうやら、人間からマイナスのエネルギーを吸収する為って聞いたような気がする。醜い姿に変えられればネガティブ思考に成らざるを得ないしな」
「なるほど……」
「悪魔は婆さんの身体を乗っ取っているから何も出来ないんだろうな」
「乗っ取る?  俺達も乗っ取られたらどうするんだ?」
「心がすさんでいる相当な悪人しか、悪魔は身体を乗っ取れないらしい。そもそも、誰にでもそんな事が出来るなら、この町なんて廃墟に出来るしな」
「まあ、そうだな……」
「ただ、1つ気を付けないといけないのは、人間を操る能力があるって話だ」
「それは中々ヤバいな……」
「ただ、長時間は無理らしい。長くても30分とか」
「悪魔に弱点は無いのか?」
「人間を醜くする術は相当体力を使うらしい。そのタイミングで聖水をぶっかければ死ぬっていう記憶がある。どうする?  やめとくか?」
「……いや、行く」
「えっ?!  本気か?」
「ああ。取り敢えず、父さんと母さんが本当に居そうなのか、状況だけでも確認したい」
「じゃあ、明日行くか?  もちろん俺もついていく」
「ありがとう」
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