心の色が見える男

ジャメヴ

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何も書かない

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  何と、男は何も書かずに早川を呼んだ。後ろで見ている誰かが早川へ答えを送っていると考えたのだろう。
  早川は戻ってくるなり直ぐ言う。
「紫ですね」
何と、早川は答えた。日吉の興味は早川の回答から男の応答に移る。男は罠に掛けてやったという態度から一変した。
「……正解」
「おおお!」「スゲー!」「当たったのか?!」

  本物だ!  凄い!  この男も嫌なやつだと思ったが、当たったら正直に言った。嘘をつく事も出来たのに。
  早川は自慢気に話す。
「じゃあ、最後の1人にしましょう。では、あなたに……」
早川は、女性にペンとメモ帳がついたボードを渡し、「好きな食べ物を書いてください」と告げ、部屋を出ていく。日吉は女性の後ろに回り、覗き見る。女性は『目玉焼きハンバーグ』と書いたようだ。
  早川は戻って来て言う。
「すみません、分かりません」
日吉は度肝を抜かれた。もちろん、日吉以外の全員が呆気あっけにとられる。いや、分からなくて普通なのだが、この展開で分からないという回答とは予想出来ない。
「すみません、急に見えなくなってしまいました」
「大丈夫!」「 面白かった!」「凄かったよ!」
皆が拍手で早川を称賛する中、早川は真剣な顔になり、ある男性を指差して言う。
「そんな事より、その人が殺人を犯しているのが見えました」
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