感染源

ジャメヴ

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新田龍馬

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「御協力ありがとうございました」

 献血を終えた私は、駅へ向かいました。初めて来た場所なのでスマホのナビを見ながら歩いていると……。
「美優、何してるんだ?」
左から聞き覚えのある声が聞こえたんです。見ると、予想通り、幼馴染みの同級生、新田龍馬にったりょうまでした。
  龍馬はハッキリとした理系。数学と化学と物理は、ほぼ満点だけど、他の科目は全て赤点ギリギリ。サッカー部のエースストライカーです。冬だというのに褐色の肌で、白い歯が映えて見えます。180センチ弱の高身長にしては、足が長いというイメージは無いです。足が太い為だと思います。顔立ちは整っていますが、髪の毛はボサボサで私服はいつもジャージ。ファッションに興味が無いんだと思います。今日は、真新しいスポーツブランドのビニールバッグを左肩に掛けています。何か買い物でもしてたのかな?

「ちょっと献血してたの。龍馬は?」
「ああ、シューズが壊れたから新しいやつを買いに来た」
「そうなんだ」
大造たいぞうさん、スポーツ店も経営してくれたらいいのに」

  大造さんというのは、私達が住んでいる島の地主、森岡大造さんの事です。60歳ぐらいで7,3に分けた真っ黒な髪、背は低めでポッチャリして、いつもニコニコしています。かわいい狸って感じです。私達の島は、大造さんが経営するアミューズメント施設、「フラワーランド」が島の北側のほとんどを占め、南側は島民の住宅地になっています。島民は約100人。大人のほぼ全員が「フラワーランド」のスタッフなんです。だから、島民は大造さんに頭が上がりません。普通、大金持ちの地主さんって嫌な人が多いイメージですけど、大造さんは凄く良い人で、お金にも汚く無く、島民なら無利子で大金を貸してくれます。ほとんどの島民家族がお金を借りているんじゃ無いかな?  みんな幸せに暮らしています。

「龍馬も電車で帰るのよね?」
「ああ、一緒に帰るか」
少し濡れた横断歩道を、滑らないように気を付けながら、龍馬と並んで駅へ向かう途中、宝くじ売り場が見えたので、私は昨日のニュースを思い出し、話し掛けます。
「そう言えば、宝くじ売り場の店員さんが日本全国全て AI に変わったんだってね」
「そうなのか?  まあ、ここの売り場は5年ぐらい前から AI 化されてたしな」
「『フラワーランド』も AI 化が進んでるもんね」
「まあ、着ぐるみも AI が増えてるけど、やっぱり人気のスタッフは AI に負けてないからね」
夏場等は、特に熱中症の問題が有り、AI 化が進んでいるんですけど、まだまだ AI では人間の表現力に及ばないです。
「龍馬は最近気になるニュースあった?」
「ああ、中国の病院で、医者と看護師が原因不明で何人も亡くなってるんだ。バイオテロかもしれない」
「そうなんだ、知らなかった……」
私は、流石は理系男子だなと思いながら、龍馬の後に続き、改札を抜けました。
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