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実家

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俺は車から降りる。

「んぅ…はぁ、疲れた。」

実家を見ながら俺は背伸びをしながらそう言葉をこぼす。すると運転していた裕太が俺の頭を撫でながら、

「あんなにはしゃいでたらそりゃ疲れるわな、じゃ行くか」

「仕方ないだろ?サービスエリアにいたマスコットがあんなに大きかったらそりゃはしゃぎますわ!」

そうなのだ。高速道路を使い、休憩のためサービスエリアに寄ったのだが、そこでそこの地元のマスコットキャラクターさんがいたのだが、俺は興味が惹かれ近くに行ってみると凄く大きかった、

「由紀が小さいだけだ」

なんか裕太が言ってるが無視だな、

「そんなことより、行くぞ」

裕太はそのまま実家へと歩いていく

「あ、待って俺より先に行くなって!」

そう言いながら裕太の後ろについて行った。

━━━

「ただいまー!」

「お邪魔します。」

扉を開けるとリビングの方からお母さんの声と妹の声が聞こえてきた。

「あら?この声は裕太君かしら?」

「え?裕太君?って事はお兄ちゃんが久しぶりに帰還したんだね!」

何故、裕太が来る=イコール俺が居るが帰ってきたになるのか…?確かに高確率で裕太と一緒に帰ってくるが…

足音が大きくなってくる。

「裕太君いらっしゃい!…あれ?お兄ちゃんは?あとその子は…」

妹こと咲希さきが頭にハテナを浮かべながらこちらに向かってきた。

「お邪魔します。あぁ、由紀?それこいつ」

そう言って俺の頭を撫でてくる。

「うわ、ちょ、やめろ!」

「なるほど!おかえりにお兄ちゃん!」

「咲希少しは疑え!」

「あ!女の子になったしお姉ちゃんか!」

「適応力凄まじいな!?」

「いらっしゃい裕太君、あら咲希?由紀は?」

「この子」

そう言って俺を抱きしめる咲希、
咲希がおかしいだけでお母さんは多分疑ってくれるだろう…そうだろ?

「まぁ!由紀可愛らしくなっちゃって!お母さん嬉しいわ!!」

「あんたもかい!」

「ぶふ…」

お母さんの反応に突っ込んでしまった。
それに対して遂に裕太が笑いを抑えることが出来なくなり吹き出してしまった。

「それにしても今日火曜日なのに学校行かなくてもいかったの?」

っと咲希が言ってくる。

「俺の場合はこのなりだしな…あ、裕太は違うよな?大丈夫なのか?」

「大丈夫だ。先生も非常事態だからって事でまぁ先生公認で休ませてもらった。」

そりゃ安心だなっと思い、今度は咲希に質問をする。

「それを言ったら咲希もじゃないのか?学校」

「昨日学校で行事事があったの、それで今日は休みなのよ」

「そゆこと!」

「なるほど」

そうして俺は実家へと帰ってきた。

━━━

「ふーん、それで由紀は女の子に…」

「お兄ちゃんがお姉ちゃん…いや、妹かぁ…」

「「とりあえず、神様グッジョブ!!」」

「やめい!」

2人の頭をチョップしようとしたが届かなくて諦めた…。すると玄関から男性の声が聞こえてきた。

「ただいまー」

「「「おかえりー」」」

お父さんだ!時計を見るともう7時を過ぎていた。

「疲れたー、ん?裕太君いらっしゃい」

「お邪魔してます。」

お父さんはそう言うと辺りを見回して

「由紀は自室か?」

っと言った。

「いえここよ」

「ここに居るよー」

「ここにいますよ」

みんなして僕を撫でてそう言う

「…由紀なのか?」

「由紀なのだ」

「…お父さんの好きな物は?」

「少女」

「誰がロリコンだ…うん、由紀おかえり」

「たらいまー」

どうやら納得してくれたみたいだ。そうそうこういうやつだよ。…え?会話がおかしい?気にするな。

「相変わらずの会話ね」

「見れば分かるのにねー」

「いやわからんだろ」

俺は父さんの言葉に頷く、隣にいる裕太も頷いていた。

「んじゃそろそろご飯にしましょ?咲希、大きいの運ぶから手伝ってちょうだい」

「あいさー」

「あ、俺もt」

「由紀の今の力だと食器運びがやっとだろ」

「確かにその姿ならそれぐらいか?」

「むー、俺だって重いものぐらい持てるぞ!?」

「あぁ、持ててたな…数秒だけだが」

「う…」

「ははは!数秒ならだめだな。」

お父さんは笑いながらソファに座った。

━━━

「そうだ由紀」

ご飯を食べ終えた後、お風呂に入り終わりリビングでくつろいでいるとお父さんがスマホ片手に名前を呼んできた。

「んー?なにぃ…?」

「眠そうだな…、」

「正直眠い、んで?なに?」

うとうとと舟をこいでいるとお父さんが、

「このまま一人暮らしをするのか?それともこっちに戻ってくるか?」

っと聞いてきた。

「んー、一人暮らしの方が何かと良いし現状維持かな?」

配信もあるしと、小声ながらに言う

「そうか…だが心配だな、」

「大丈夫…裕太が一緒に住んでくれるから一人暮らしではないよぉ…」

「ほぅ?」

そろそろ限界で、由紀は薄らとする視界の中にはお父さんの少し怖い笑みが見えた気がした。

━━━

俺は裕太の車に乗り込む

「んじゃマメに電話ちょうだいね?」

「りょ!」

俺はお母さんとの話をする。妹はまだ寝てたりする。まぁなんかあったら連絡来ると思う。昨日家族と連絡ができるように交換をしたから、

「裕太くん?くれぐれも…分かってるね?」

「ははい、大丈夫です。」

お父さんはと言うと裕太の肩に両手を置き何かを言っており、それに対して裕太はなんか顔が青ざめていた。体悪いのかな?

「それではお邪魔しました。」

「また来るー」

「おう、何時でもおいで」

「事前に連絡してね?」

「分かった。」

そして俺たちは自宅へと向かった。

赤信号…

「…由紀のお父さん、怖いんだな…」

「…?そうか?優しいと思うけが?」

「だろうな…」

「??」

裕太はため息をつきながらちらっと俺を見てそう言った。

「親バカってやつか…」

「俺が女になったのが原因の可能性があるだろ?」

「いや、あれは元が親バカでそれが悪化した感じだな…」

「そうなん?」

「あぁ、そうだな」

俺は若干疲れているような顔をする裕太の頭を撫でる。

「なぜ?」

「疲れ飛ぶかなって?まぁいつもの仕返しでもあったりする」

「そうか」

そして信号が青になり車が動き出す。
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