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復帰

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次の日、昨日貰った制服を身につけ鏡を見る。

「なんか少し上着大きくないか?」

手の半分ぐらい隠してる服の袖を見ながら裕太に聞いてみる。

「萌え要素を入れたかったんだろ?知らんけど」

「ふぅん、裕太的にどう?これ」

「良いっすねぇ…」

「うわ、犯罪者予備軍のロリコン裕太にロックオンされてしまった。」

「逃がさんぞ!」

「もしもし警察ですか?」

スマホを耳に当てる。

「こちらロリコンな警察です。」

それを見た裕太は笑いながらそんなことを言ってくれる。

「だめだ、警察もロリコンだった。おわた。」

そんなばかなことをしながら身だしなみを整え2人して学校へ出発した。

「この時間に登校すんの久しぶりだな」

「だな。最初はまず校長室に行くぞ?その後教室だ」

「了。裕太の教室かね?」

「そこは知らん。だが多分そうなると俺は思ってるぞ」

「だろうな。」

そして数分後、

「お、見えてきた。」

「由紀、めっちゃ目立ってんな」

周りを見てみると確かにみんなが自分を見ていた。

「あ、由紀と裕太じゃん、おはよぉ」

「智也おはよ。ってか眠そうだな?」

「寝るの遅かったのか?」

後ろをむく前に智也に頭を撫でられる。

「…智也?恥ずいんだが」

「智也お前…」

隣にいる裕太を見るとジト目で智也を見ていた。

「いやぁ眠気覚ましにとこのサラサラな髪をな?分かるだろ?」

「分かるが…」

「分かるのかよ」

「だが時と場合を考えろ」

「すません」

「やめるっていう方向性はないのか?」

撫でられていると裕太も撫でてきた。

「撫でてくる手が増えた。」

「歩きにくそうだな」

「確かに」

「なら撫でるのやめてくれ…」

「「断る」」

「ハモるなよ…」

そうして校門前にいた先生に呼び止められた。

「由紀…君?」

「ふにゃ!?あ、先生!こんにちは」

「「うわっ驚きかた可愛いかよ!」」

2人を無視し先生と話をする。

「…先生おはようございます。」

「言い直した?」

「気のせいです。」

後ろから「言い直したよな?」っと言う声が2つ聞こえるが無視する。

「そう?それにしても由紀さんほんとに可愛くなったね」

「自分でも最初驚きましたよ」

先生と笑い合ったあと別れた。

「んじゃ俺先に教室行ってるわ」

「おう、またな」

「んー」

智也と別れ、校長室の前まで来る。

「じゃあ俺も教室行くから」

「またな」

そうして裕太とも別れて校長室に入ると中では校長先生がスタンバっていた。

「…何やってるんですか校長先生」

「声が聞こえたので待ってました。」

少し見つめ合ってから席に座り、どういう立場で生徒として学校に通うかなどの話になった。

「転校生として通うか、性転換したと言って通うか…どっちにする?」

「性転換でいいですよ?」

そういうと少し、校長の顔が険しくなる。

「私もそれで良いのは思うのだがそうなると君に対しての接し方が分からなくなってしまったり男女の壁なく君に接する生徒が出るかもしれないのだよ」

「あー、なるほど。確かに中身男なので女子生徒たちは接し方に困りますし男子生徒は下心とか丸出しで話したり接したりしてきそうですね…」

1拍置いて、

「まぁ、裕太や智也がいるのでなんかあったら2人に助けてもらいますよ」

「そうか?…なんかあったら私たちにも言うんだぞ、問題になったら嫌だし大切な生徒の1人だしね」

「ありがとうございます。」

そして校長先生と話している時、担任の先生が入ってきたので教室に向かうことになった。

教室前、

「緊張する?」

「いえ、なんか転校生になった気分で少し面白いなって感じてる」

「ははっ、そうか。私が呼んだら入ってきて」

「分かりました。」

先生が教室に入っていき数分、入ってきなさい、と声が聞こえたので教室に入る。

「え、あの子がほんとに由紀なのか…?」「うそ…可愛い…」「まじか…」「ふぉぉ!!」「や、やばいな…」「由紀が…尊い存在に…ぐふっ」「ぐへへ…か、可愛いですな…どぅふふ…」

なんか最後らへん変なのが聞こえたが気のせいだ…。

「えっとだな…性転換でこうなったがまぁその、よろしく。」

「お前たち?中身男だからって変なことしたりするなよ?特に男ども!下心で関わるな?女子も気をつけてくれ。」

そう先生が言うとみんなは「はい」と言って静かになった。

「由紀の席は裕太の隣だ」

「はい」

確かに裕太の隣の席が空いていた。前の自分の席は確か真ん中の前の席だったのだが…多分先生の気ずかいだろうと考えて有難く思った。

「由紀、これからもよろしくな」

「ん、よろ」

それから授業が始まる。今は二限で数学だ、

「由紀、ここってどうなるんだ?」

「ん?どこだ?…あぁここかここは…ほい、こんな感じでやると解きやすいぞ」

「なるほど…ありがとな」

「どいたま(どういたしまして」

そうして何事もなくお昼になった。

「にしても由紀、前の席で良かったな」

「ほんとそれな!じゃなかったら俺絶対に前見えてなかったぞ」

裕太の席は窓側の1番前の席だった。なのでその隣に座れたのはとてもありがたかった。

「それじゃゆk」

「なぁほんとにお前由紀なのか!?」

「っ!?え、えぇと…」

裕太と話してると後ろから大きな声がした。それにビクつきながらもそちらを見ると何人かの男子生徒がこちらを見ていた。

「そ、そうだが…?」

「…。」

そっと裕太が傍に寄ってきてくれる。

「ま、マジでか…こんな美少女に…な、なぁ少しだけ…少しだけでいいから頭撫でていいか!?」

その人の目は小動物に向ける目をしていた。多分純粋にこの男子生徒は可愛い物に目がないのだろう。だが危険なことがひとつあった。

「俺も触りてぇな」

「男同士のスキンシップなんだし慣れてんだろ?」

その子の後ろにいる男子生徒たちだ、下心が見え見えで全身に寒気が走った。

「っ…ゆ、裕太…」

「先生も言ってただろうが、あんま由紀を困らせないでやってくれ」

そう言って裕太は俺の頭を撫で、ゆっくりと自分の後ろに移動させる。

「は?何言ってんだ誰も下心なんて持ってねぇぞ?」

「そうだ、ただ触りたいだけだ」

「その時点でアウトだろうが…はぁ」

ほんとです。ダウトのアウトだ!

「ダウトのアウト…」

「由紀…確かにそうなんだが、なんか言葉としておかしくね?」

ダウトのアウト、暴いてのだめとする。

「確かに意味が分かりにくいな…」

裕太と智也にだめだしされてしまった。

「ってか智也も助けろ」

「そうだなぁ…よし、お前たち!少し向こうでO・HA・NA・SIしようか?」

凄い良い笑顔で男子生徒達を教室の外へと連れて行ってしまった。

「…えっと、後でお礼しとこ」

「そうだな」

男子生徒達と智也のお話で由紀のファン連合なるものが作られたのはまだ2人は知らない。

そうして少しのトラブルがあったものの他は何事もなくお昼が終わり午後の授業が始まった。

放課後…

「うへぇ…疲れた…」

「溶けてる…」

家に帰ってきた由紀はソファで溶け、それを見た裕太は苦笑いをしていた。

「そりゃ女子の対応疲れるわ…とりあえず智也がまた助けてくれたけど…」

「そうだな、今度何かしらお礼しないとだな」

そうなんだよな…っと考えていると1つ閃いた。

「そうだ!今度智也家に呼んで手作り料理食べさせよう!」

「お、良いなそれ。なら明日空いてる日がないか聞かねぇとな?」

「そうだな!」

お礼も決まり、少し楽しみになってきた由紀は隣で本を読む裕太の両肩に両足を置く

「…由紀?なんだこの足」

「いやぁ…肩車」

少し睨んできた裕太に笑いながらそう言った。

「良いだろう…そい!」

「うわぁ!?」

いきなりの事で落ちそうになる。

「こ、怖かった…」

「仕返しだ。ご飯作るか」

そのまま台所に向かう裕太、

「え?ちょ裕太!?こ、怖ぇ!」

「HAHAHA」

お前はどこのアメリカ人だ!っと思いながら裕太の頭にへばりつく、

「いや前見えんて」

「落ちるのやだから仕方ない」

その後裕太に降ろしてもらい2人でご飯を作る。

「ロールキャベツで良いか?」

「大丈夫」

こうしてご飯を食べお風呂を入り寝るのだった。

「なぁ由紀、今日はどうだった?」

「んぅ?…楽しかった。」

「そうか」

「あぁ、疲れることもあったけど…やっぱり裕太たちと一緒にいた方が楽しいわ」

「そりゃ良かった。…おやすみ」

「ん、おやすみ」

そう言い合って眠りにつく、

「…。(あ、そういやあいつらと合わなかったな…?休んでたのか?…ま、明日見に行けば良いか)」

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