純白のガンブレイダー 〜TSアルビノ美少女、産廃職でエンジョイプレイします〜

神無フム

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変わらない心

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 午後に今日から追加された〈ディバイン・ワールド〉の歴史と、戦闘に関する基礎的な講座を受けた。
 担当の女教師いわく、来月には実技も行うらしい。

 授業でゲームをするなんて素晴らしい。
 クラスの皆その話題で持ち切りとなって、自分も来月が楽しみでワクワクした。

 そしてホームルームを終えて下校の時刻。
 女の子になった事はバレず、ボクは安心して二人と帰ろうとしたのだが──

「ふぅ、やっと学校から出られた」

 教室を出てから実に30分が経過した後、ようやく二人と校舎を脱出できた。
 もはや精神的に疲れ果て、誰の目から見ても分かる程度にボクはぐったりしている。

 理由は沢山の女生徒達に呼び止められ、告白を全て断ったから。
 ちなみに断る際に何故かいつも「冷たい目で言ってほしい」と懇願こんがんされる。

 これはもはや首を縦に振ってもらう事ではなく、ボクに断られるのが目的ではないか。
 今後を不安に思いながら、小さな溜息を吐く。

 友人達はそんなボクを見て、隣で苦笑していた。

「……巻き込んで本っ当にごめん。今日はなんか、いつもよりメチャクチャやばかったよ」

「そ、それは眼鏡なし星空が、いつもより魅力的に見えたからじゃない?」

「オレも今日は何度か、周囲を警戒する星空が怯えるハムスターに見えて庇護欲ひごよくがヤバかったな……」

 二人とも、なんで動揺しているんだろう。

 まさか女の子になった事がバレたのか?

 しかし自分の身体を見ても大きな変化はなく、外見だけでは分からない。
 もしかしたら女性になったことで、そういう女性フェロモンでも分泌しているのか。

 思い出せば普段より、優奈が校内で抱きついてくる回数が増えていた気がする。
 ヒヤヒヤさせられたけど、ガードしていたからバレないはずだが。

(うーん、でもずっと隠してるのは良くないよね)

 冷静に考えて男性から女性になった事は、いずれ必ずバレると理解している。
 二人を信頼してるのならば、ここは正直に話した方が良い。

 だけど頭の中で何度もシミュレーションしているのに、一向に決心がつかない。
 ……怖い。信頼している相手なのに、女性になった事を告げるのが怖くてたまらないのだ。

 中等部の時に女装を暴露ばくろした時とは、比べ物にならない恐怖が身体を支配する。
 何せ身体が物理的に変化している。
 人によっては気味が悪いと思われるのが普通だ。

 信頼しているのに、自分を見る目が変わる事を想像すると怖気づいてしまう。
 情けないほどにボクは、心が弱いと思った。

「星空?」

「おい、どうしたんだ?」

 ふと足が止まった事で、二人から怪訝けげんな顔をされてしまう。
 そこでふと、奇跡的に周りに人がいない事に気付く。

 ──今日一日中抱えていた秘密。

 伝えるのなら、今が最後のチャンスなのかも知れない。


 腹をくくれ──睦月星空ッ!


 パンっと両頬を思いっきり両手で叩く。

 ジンジンと痛む頬、間違いなく白い肌は赤くなっていると思う。
 気合を入れたボクは前を見る。
 優奈と龍華は、突然の行動にビックリして固まっていた。

 びっくりしたか、びっくりしただろう。

 悪いけどこれから二人には、もっと驚いてもらう。
 心を奮い立たせ、ありったけの勇気を振り絞って口を開いた。

「聞いてほしい事があるんだ」

「……お、おう」

「……う、うん」

 二人は目を丸くして頷いた。
 ボクは勢いに身を任せて話を続けた。

「世界がこんな事になって、信じられない事が沢山起きてさ。……正直すっごく混乱してるんだけど」

 極度の緊張で上手くしゃべる事ができない。

 ドクンドクンと、心臓の鼓動がうるさい。

 自分が何を言っているのかすら、聞こえなくなりそうだった。

 だけど親友達に隠し事をしたくない。

 そんな思い一つだけで向かい合い、絞り出すように白状した。

「黙ってて、ごめん…………実は朝起きたら身体が、男からになってたんだ。ウソみたいな話だけど、二人は信じてくれる………かな……」

 普通ならウソだと一蹴される話。
 でも世界が変わっているのだから、性別が変わっても不思議じゃないはず。

 故に聞いた二人は、大きく目を見張ったまま全く動かなくなった。
 ずっと顔を見ていられなくなり、ボクはうつむいて視線を地面に固定する。

 必ずしも受け入れられるとは限らない。

 気持ち悪いと拒絶されたらどうしよう。

 今すぐこの場から逃げだしたい。

 急に弱気な思いが胸の内側を占める。

 頬を強打した痛みも合わさり、涙が込み上げてくる。

 それでも歯を食いしばり、この場に留まり続けた。
 逃げてしまうと、二度と向き合うことができなくなりそうだったから。

 二人は無言で、こちらに近づいてくる。
 そして優しくボクの肩に手を置いた。

 彼女達はため息を吐いた後、小さな声でこう言った。

「知ってたよ」

「知ってたわ」

「え……」

 驚いて顔を上げる。
 龍華は半分呆れた様子で、優奈はいつもと変わらない優しい笑みを浮かべていた。

「毎日おまえを見てるんだ。胸を隠しながら歩いてたから、その可能性が高そうだなって優奈と話してたんだ」

「ごめんなさい。抱きしめたときに必要以上に胸を守ってたから、私は九割くらい確信してたわ」

「龍華……優奈……」

 顔を上げると二人は優しい笑みで、ボクの不安を払拭ふっしょくする為に思いを告げた。

「でも性別なんて関係ない。男だろうが女だろうが、一番オマエを好きなのはオレだ」

「なにキメ顔で告白してるのよ、バカ龍華。あと言っておくけど、星空を好きな気持ちで私に勝てると思ってるの?」

「〈ディバイン・ワールド〉でどっちが上か決めるか、バーサクヒーラーさんよ」

「脳筋女騎士が、ベータで私に負け越してること覚えてる?」

「──ちょ、ちょっと二人とも、こんな道のど真ん中でケンカしないで」

 睨み合う二人の間に、慌てて割り込む。
 龍華と優奈は火花を散らすのを止めて、同時にそっぽを向いた。

 まったく、初等部の頃から彼女達はこんな感じだ。

 あの時は同時に一目惚れだと告白をしてきて、どちらも丁重に断った事を今も覚えている。
 大抵断られた者達は一時退却する。しかし彼女達はそれなら友達になろうと、諦めず距離を縮めてきた。

 以降は親友として、ずっと側にいてくれている。
 ただ仲は良くない。だからこうして張り合ってケンカするのは、もはや日常風景だった。

 周囲の学生達から「またかアイツ等」みたいな目を向けられる程に。
 でもそのやり取りによって、先程までの暗い気持ちは大きく軽減された。

「……ボクは二人が同じくらい大切だよ。だから、こうやってケンカするのは良くないと思う」

「悪い、ちょっと興奮し過ぎた。女になったって聞いて、少し冷静さを失っちまった」

「ご、ごめんなさい。私もいつもより自分を抑えきれなくて興奮しちゃったわ」

 少々不穏なワードは、聞かなかった事にする。
 それ以上に変わらない態度で接してくれる事が、泣きたくなるほどに有り難かったから。

 いけない、気を緩めると涙が出る。
 頑張って泣くのを我慢している中、二人はボクに対して自身の考えを口にした。

「……まぁ、こんな良く分からん世界になったんだ、性別の一つや二つくらい変わってもおかしくないだろ。
 むしろ一緒に風呂に入れるようになった事を喜ぼうぜ。こんど身体の隅々までじっくり丁寧に洗わせて欲しぐふぉ!?」

 やや暴走気味の龍華に、優奈の肘が脇腹に突き刺さった。
 膝をつく少女を見下しながら、彼女は呆れた顔をする。

「まったく、アンタは自分の欲望に忠実すぎるわ。……星空、今後学校では私達が全力でサポートするから安心して」

「……さ、流石にバレると面倒そうだからな。校内にいる時は、オレ達がガードマンになるぞ」

「二人とも、ありがとう……」

 友人として変わらない心が胸に染み入る。
 改めて彼女達が自分の友人で良かったと、ボクは心の底から思った。
 
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