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ミノタウロス戦
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セカンドエリアに円を描くように点在するビル。
その一つにボク達はやってきた。
これはサブダンジョンといって、常に位置が固定されているダンジョンだ。
ビルの頂上に中ボス〈ミノタウロス〉が、挑戦者たるプレイヤーの来訪を待っている。
一日の挑戦権は一人一回まで、倒された後は一時間後にリポップする仕様。
アイテムをドロップするのは初回だけ。
クリアするとダンジョンクリアボーナス──DPを『5ポイント』もくれる。
DPは各階層ごとに、50ポイントまで獲得できる。
それ以上は入手できないので、周回が終ったら用済みとなってしまう悲しき場所だ。
ベータ版の時、友人達と挑戦した思い出深き最初の強敵。
シース姉さんの手は一切借りず、ボクはメタちゃんと二人だけの力で塔の内部を徘徊するモンスター達を蹴散らし、30分くらいで最上階に至った。
「久しぶりだね、ミノタウロス君」
体育館みたいに広いボスフロア。
中心には機械的な台座が設置されている。
アレは都市の莫大なエネルギーを利用し、台座にインプットされている魔法陣からモンスターを召喚する装置。
中ボスである大牛人〈ミノタウロス〉は台座の上で膝まづき、大戦斧を片手に待機していた
。
フロアに入ると、ボスが動き出す仕組みとなっている。
範囲外のここから攻撃したらノーリスクで倒せそうだが、あの状態ではダメージは一切入らない。
更に一度入ると結界がフロアを遮断する為、残念ながら範囲外から支援する事も出来なくなる。
シース姉さんはフロアに入る一歩手前で止まり、傍らにいるボクを見下ろした。
「ミノタウロスの適正レベルは20、レベル14だというのにソロで勝てるのか?」
「一人じゃないよ、メタちゃんがいるからね」
「メタ!」
やる気満々といった感じで、相棒は片手を上げる。
可愛らしくも勇ましい威勢に、シース姉さんはくすりと笑った。
次いでボクの肩に乗るメタちゃんの頭を撫で、思いを託す言葉を投げかける。
「そうか、それならばシエルの事をよろしく頼むぞ」
「メッター!」
任せて、と応じる相棒は更に闘志を燃やす。
勢いそのままに、ボク達はフロアに大きな一歩で入った。
敵を感知した〈ミノタウロス〉が起き上がるのと同時、背後のシース姉さんと自分の間に全てを無効化する強力な結界が展開される。
これでピンチになっても、従姉に助けてもらうことは一切できなくなった。
深呼吸を一つする。
フロア中心に立つ怪物、リアリティを追及したその口からは荒い息遣いが見て取れた。
今まで相手してきた小さいモンスター達よりも、その存在感は確かな命を感じさせた。
肌に突き刺さる殺意は強く、今から自分を殺すという意思を持って怪物は咆哮する。
『グオオオオオオオオオオオオオオオオオ』
気を引き締め、これから始まる戦いに身構える。
ガンソードを手にした自分は、一気に五回トリガーを引いて最大強化を付与した。
──セラフ・ブレット〈フュンフ・ブースト〉。
STRとAGIが『50』プラスされ、速度は元のステータスと合わせ『100』にまで達する。
目前の敵を排除せんと〈ミノタウロス〉が大戦斧を手に猛烈な速度で迫って来る。
地面を強く蹴ったボクは、振り下ろされた大戦斧で真っ二つにされる前に横ステップで避ける。
「う……っ!?」
今までと違ってスキルを使っていないのに、急激な加速に危うくバランスを崩しそうになった。
先程までいた場所には、大戦斧が深々と突き刺さる。
剛腕から生じた衝撃波は中々に大きく、小さな地震が発生したような感覚だった。
「ぶっつけ本番は不味かったかな、ここから慣れていかないと──ッ!?」
地面に叩き付けた後、ノーモーションで横薙ぎ払いが迫ってくる。
脊髄反射で奇跡的に反応した自分は、とっさにしゃがむ事で回避した。
明らかにベータ版の時より、攻撃速度が上がっている。
頭の中のデータを更新。一回転してから再度放たれる二回目の斬撃を、メタちゃんにガードしてもらった。
「メッタメター!」
『ガアアアアアア!?』
大振りの攻撃をガードされた事で、敵は一時的なスタン状態となる。
これをチャンスと判断し、前に出たボクは近接の〈セラフィック・スキル〉を発動した。
「五連撃──〈セラフ・フュンフソード〉!」
右上から左下に掛けて刃を一閃、〈ミノタウロスは〉ノックバックして行動がキャンセルされる。
一時的な硬直時間に入ったのを見逃さず、そこから続けて斬撃を四回連続で叩き込む。
この時点で〈ミノタウロス〉のHPは、四割ほど削れて残り六割まで減少。
第一層の〈エアスト・ガンソード〉だったら、恐らく一割削るのでやっとだろう。
スタンから立ち直った敵は反撃に、下段から地面を削りながら大戦斧を振り上げてくる。
冷静に右斜め後ろに〈ソニックダッシュ〉して回避したボクは、大きく距離を取って仕切り直した。
「長期戦は不利だ、短期決戦で行くよメタちゃん!」
残り六割ならば一気に決着をつける。
覚悟をボクは回転式弾倉に風属性の弾丸を装填。
トリガーを引いて五発一気に消費、風属性を自身に付与して身体に風を纏った。
切っ先に生成したのは風の弾丸、風の刻印を展開させて狙いを〈ミノタウロス〉に定める。
──自身を倒すに足る大技が来る。
恐らくそう察した大牛は、技が完成する前に止めようと右足を大きく振り上げる。
踵落としをするようなモーション。
足を地面に叩きつけ〈スタンウェーブ〉を発動した。
このタイミングでの広範囲攻撃。
しかも〈ホーンオックス〉と比較して、まるで壁のような衝撃波が迫って来る。
どう考えても回避は無理、直撃を受けたらスタン状態になって敗北は必至となるが。
「メタちゃん、お願い!」
「メタアアアアアアア!」
前方に〈メタモルフォーゼ〉で壁となったメタちゃんは、衝撃を受け流す為に以前教えた逆Vの字となって防ぐ。
敵の猛攻は止まらず、更に壁を叩き壊さんと地面を蹴って迫って来る。
──だがもう遅い。
変形を解除してもらい、ボクは正確に狙いをつけてガンソードのトリガーを引き絞る。
刻印が緑色のスキルエフェクトに輝き、脅威を討ち払う烈風を解き放つ。
「偉大なる風の元素を司る天使よ、我が前に立ち塞がる邪悪を撃ち抜け──〈エレメント・ストームブレット〉!」
最大五連射した風弾が大戦斧のガードを弾き飛ばし、次々に〈ミノタウロス〉の巨体を穿っていく。
一発被弾する度に大きく削れるHP。
そのまま一気に最後まで削り切ると、大牛人は身体が崩壊しながらも手を伸ばす。
逃げ出したくなる程の強い執念。
崩壊しながらも衰える事のない殺意に、身体が強張ってしまう。
でも正々堂々と戦った結末を見届ける為、ボクは逃げずに正面から受け止める。
身体が半分以上崩壊した大牛人は、指先が軽く触れた辺りで完全に光の粒子となって散った。
その一つにボク達はやってきた。
これはサブダンジョンといって、常に位置が固定されているダンジョンだ。
ビルの頂上に中ボス〈ミノタウロス〉が、挑戦者たるプレイヤーの来訪を待っている。
一日の挑戦権は一人一回まで、倒された後は一時間後にリポップする仕様。
アイテムをドロップするのは初回だけ。
クリアするとダンジョンクリアボーナス──DPを『5ポイント』もくれる。
DPは各階層ごとに、50ポイントまで獲得できる。
それ以上は入手できないので、周回が終ったら用済みとなってしまう悲しき場所だ。
ベータ版の時、友人達と挑戦した思い出深き最初の強敵。
シース姉さんの手は一切借りず、ボクはメタちゃんと二人だけの力で塔の内部を徘徊するモンスター達を蹴散らし、30分くらいで最上階に至った。
「久しぶりだね、ミノタウロス君」
体育館みたいに広いボスフロア。
中心には機械的な台座が設置されている。
アレは都市の莫大なエネルギーを利用し、台座にインプットされている魔法陣からモンスターを召喚する装置。
中ボスである大牛人〈ミノタウロス〉は台座の上で膝まづき、大戦斧を片手に待機していた
。
フロアに入ると、ボスが動き出す仕組みとなっている。
範囲外のここから攻撃したらノーリスクで倒せそうだが、あの状態ではダメージは一切入らない。
更に一度入ると結界がフロアを遮断する為、残念ながら範囲外から支援する事も出来なくなる。
シース姉さんはフロアに入る一歩手前で止まり、傍らにいるボクを見下ろした。
「ミノタウロスの適正レベルは20、レベル14だというのにソロで勝てるのか?」
「一人じゃないよ、メタちゃんがいるからね」
「メタ!」
やる気満々といった感じで、相棒は片手を上げる。
可愛らしくも勇ましい威勢に、シース姉さんはくすりと笑った。
次いでボクの肩に乗るメタちゃんの頭を撫で、思いを託す言葉を投げかける。
「そうか、それならばシエルの事をよろしく頼むぞ」
「メッター!」
任せて、と応じる相棒は更に闘志を燃やす。
勢いそのままに、ボク達はフロアに大きな一歩で入った。
敵を感知した〈ミノタウロス〉が起き上がるのと同時、背後のシース姉さんと自分の間に全てを無効化する強力な結界が展開される。
これでピンチになっても、従姉に助けてもらうことは一切できなくなった。
深呼吸を一つする。
フロア中心に立つ怪物、リアリティを追及したその口からは荒い息遣いが見て取れた。
今まで相手してきた小さいモンスター達よりも、その存在感は確かな命を感じさせた。
肌に突き刺さる殺意は強く、今から自分を殺すという意思を持って怪物は咆哮する。
『グオオオオオオオオオオオオオオオオオ』
気を引き締め、これから始まる戦いに身構える。
ガンソードを手にした自分は、一気に五回トリガーを引いて最大強化を付与した。
──セラフ・ブレット〈フュンフ・ブースト〉。
STRとAGIが『50』プラスされ、速度は元のステータスと合わせ『100』にまで達する。
目前の敵を排除せんと〈ミノタウロス〉が大戦斧を手に猛烈な速度で迫って来る。
地面を強く蹴ったボクは、振り下ろされた大戦斧で真っ二つにされる前に横ステップで避ける。
「う……っ!?」
今までと違ってスキルを使っていないのに、急激な加速に危うくバランスを崩しそうになった。
先程までいた場所には、大戦斧が深々と突き刺さる。
剛腕から生じた衝撃波は中々に大きく、小さな地震が発生したような感覚だった。
「ぶっつけ本番は不味かったかな、ここから慣れていかないと──ッ!?」
地面に叩き付けた後、ノーモーションで横薙ぎ払いが迫ってくる。
脊髄反射で奇跡的に反応した自分は、とっさにしゃがむ事で回避した。
明らかにベータ版の時より、攻撃速度が上がっている。
頭の中のデータを更新。一回転してから再度放たれる二回目の斬撃を、メタちゃんにガードしてもらった。
「メッタメター!」
『ガアアアアアア!?』
大振りの攻撃をガードされた事で、敵は一時的なスタン状態となる。
これをチャンスと判断し、前に出たボクは近接の〈セラフィック・スキル〉を発動した。
「五連撃──〈セラフ・フュンフソード〉!」
右上から左下に掛けて刃を一閃、〈ミノタウロスは〉ノックバックして行動がキャンセルされる。
一時的な硬直時間に入ったのを見逃さず、そこから続けて斬撃を四回連続で叩き込む。
この時点で〈ミノタウロス〉のHPは、四割ほど削れて残り六割まで減少。
第一層の〈エアスト・ガンソード〉だったら、恐らく一割削るのでやっとだろう。
スタンから立ち直った敵は反撃に、下段から地面を削りながら大戦斧を振り上げてくる。
冷静に右斜め後ろに〈ソニックダッシュ〉して回避したボクは、大きく距離を取って仕切り直した。
「長期戦は不利だ、短期決戦で行くよメタちゃん!」
残り六割ならば一気に決着をつける。
覚悟をボクは回転式弾倉に風属性の弾丸を装填。
トリガーを引いて五発一気に消費、風属性を自身に付与して身体に風を纏った。
切っ先に生成したのは風の弾丸、風の刻印を展開させて狙いを〈ミノタウロス〉に定める。
──自身を倒すに足る大技が来る。
恐らくそう察した大牛は、技が完成する前に止めようと右足を大きく振り上げる。
踵落としをするようなモーション。
足を地面に叩きつけ〈スタンウェーブ〉を発動した。
このタイミングでの広範囲攻撃。
しかも〈ホーンオックス〉と比較して、まるで壁のような衝撃波が迫って来る。
どう考えても回避は無理、直撃を受けたらスタン状態になって敗北は必至となるが。
「メタちゃん、お願い!」
「メタアアアアアアア!」
前方に〈メタモルフォーゼ〉で壁となったメタちゃんは、衝撃を受け流す為に以前教えた逆Vの字となって防ぐ。
敵の猛攻は止まらず、更に壁を叩き壊さんと地面を蹴って迫って来る。
──だがもう遅い。
変形を解除してもらい、ボクは正確に狙いをつけてガンソードのトリガーを引き絞る。
刻印が緑色のスキルエフェクトに輝き、脅威を討ち払う烈風を解き放つ。
「偉大なる風の元素を司る天使よ、我が前に立ち塞がる邪悪を撃ち抜け──〈エレメント・ストームブレット〉!」
最大五連射した風弾が大戦斧のガードを弾き飛ばし、次々に〈ミノタウロス〉の巨体を穿っていく。
一発被弾する度に大きく削れるHP。
そのまま一気に最後まで削り切ると、大牛人は身体が崩壊しながらも手を伸ばす。
逃げ出したくなる程の強い執念。
崩壊しながらも衰える事のない殺意に、身体が強張ってしまう。
でも正々堂々と戦った結末を見届ける為、ボクは逃げずに正面から受け止める。
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