純白のガンブレイダー 〜TSアルビノ美少女、産廃職でエンジョイプレイします〜

神無フム

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第二章

作戦会議

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「さーて、残るは敵の本隊だね」

 イベント開始時に各チームの配置を確認した後、ボク達は一気に〈阿修羅会〉に攻撃を仕掛けた。
 確かに数の暴力は強いが、見た限り個人の練度は中の下くらいだった。

 余りにも歯ごたえが無さすぎて、まさか開始して30分程度で勢力の3分の2を倒せるとは思わなかったけど。

「さっきの攻撃で敵の本隊も警戒しちゃってるね。ここからどう攻めようかな」

 木々に身を隠しながら、左右前後の方角を向いて固まっている〈阿修羅会〉の本隊を見据える。

「気が緩みまくってるところを攻めたからな。流石にアレは同じようには行かないんじゃないか?」

「そうね、第一階層のケンタウロスを討伐してるんだもの。正面からのゴリ押しは止めた方が良いわ」

「〈エクスプロージョン〉を山なりに撃って、反応を見てみますか?」

「多分撃ち落とされるんじゃないかなぁ……」

 三人の意見を聞きながら、ボクは胸の前に腕組して考える。
 今敵の本隊が陣取っているのは、見晴らしの良い広場。

 今までは森の中に展開していたチームを各個撃破してきたけど、あそこでは奇襲を仕掛けるのは難しい。
 どこから攻めても気づかれて、あっという間に囲まれて数に押し潰されてしまう。

 砲撃で消し飛ばすにも、警戒されているので三分の一を倒すのが関の山だ。
 先程は敵が此方を発見しておらず、タンク隊が明後日の方角に盾を構えていたからできたこと。

 流石に盾を撃ち抜くほど〈ガンブレイダー〉の砲撃は強力ではない。
 恐ろしいくらいに徹底した守りの布陣だが、それは同時にあそこから動けないことを意味する。

「他の奴らに攻撃させてライバル減らして、自分達は芋ゲーとかつまんねーことしてやがるな」

「あんなので勝って嬉しいのかしら。絶対にみんなで協力して勝ち抜いた達成感とか、そういう感動とかないわよね」

「……ミカゲもそう思うけど、カイナさんはすごく勝ち誇った顔しますよ」

「「うわぁ……」」

 リッカとユウが引き攣った顔をするのを眺めながら、ボクは現状からアレの崩し方を考える。

「アレだけガチガチだと、想定外の事があったときに脆そうだよね」

「そうだな、シエルは何か思いついたのか?」

「うん、アレを崩すのは簡単だよ。ただそのためにはリッカとユウに頑張ってもらう必要があるかも」

「オレとユウって事は、シエルと先輩は?」

 ボクは人差し指を天に指し、にっこり笑顔を浮かべる。

「もちろん上から」

「アレをするのね、シエル」

「あー、アレかぁ……」

 直ぐに親友の二人は察する。
 その目はミカゲ先輩に対し、同情するように向けられた。

「アレってなに?」

 唯一状況を理解できずにいるミカゲ先輩は、ボク達の会話に首を傾げる。
 にこやかに彼女に近づき、その耳に今考えている作戦を教えてあげた。

「え、本気?」

「はい、本気ですよ」

「それ、ミカゲもしないといけないの?」

「はい、ボクだけじゃ火力が足りないかもしれないので」

「ちょ、ちょっとお腹痛くなって……」

「嘘をつかないで下さい。フルダイブゲームでリアルにトラブルがあったら、強制で切断されますよね」

「……ぴぇん」

 観念したミカゲ先輩は、弓を杖代わりにガクガク震える。
 一方別の問題を抱える二人は、真剣な顔でボクにこう言った。

「敵全体の注意を引くには、ちょっと戦力が足りないな。少なくともオレとユウと同じレベルが二人は欲しい」

「それなら大丈夫だよ、流石に此処はガーディアン君とガウルフ君にも協力してもらうからね」

 ショートカットで『使い魔』の画面を開く。
 そこからボクは、温存していた騎士型モンスターとオオカミ型モンスターを召喚した。

『遂に出番ですか、胸が熱くなるのデース』

『グルルルルルルル』

「ガーディアン君はリッカと組んで、ガウルフ君はユウを乗せて敵を引っかき回してね」

 これが一つ目の切り札。
 ボク達と同じレベルの二体なら、十二分に二人のサポートをできる。

「おいおいおい、しかも曇ってきたじゃないか!」

「これは勝利の女神が、私達に勝ちなさいと言ってるみたいね」

「おー、本当だ」

 空を見上げたボクは、天候が晴れから曇りになるのを確認する。
 イベント中のマップ内の天候は、一定時間でランダムに切り替わる。

 できれば雨が良かったが、曇りでも十分に有り難い。
 この視界にデバフが掛かるのは、ボク達にとっては勝率に大きく関わるから。

「みんな心の準備はオーケー?」

「オレに遅れるんじゃないぞ、ガーディアン!」

『お任せください、追い越す気持ちで挑みマース』

「乗り心地は良いわね、よろしくねガウルフ」

『ワン!』

 陽動組は意気込み良い感じ、後はミカゲ先輩なのだが。

「が、頑張ります……!」

「メタ~」

 足がガクガク震えていて、メタちゃんとボクは漏らすんじゃないかと不安になった。






 イベントの実況チャンネルを開いているシエルのファン達は、画面内で起きている殲滅劇に大いに湧き上がっていた。

「すごいいいいいいいいいいい!?」

「あっという間に13チーム落とした?」

「13って事は83人だよ!? たった4人でそんな事ができる?」

「現にやってみせたからね!」

「私の嫁最強! シエル様最強!」

「いやー、シエル殿達が強いことを差し引いても、あのガチガチの守りはドン引きでござるな……」

 画面にはしっかり〈阿修羅会〉の引きこもり戦術が映っていた。
 数をフルに使った戦略的には安定なのかも知れないが、盛り上がるかといえば正直微妙。

 現にSNSでもネタにされていて、

『私が考えた最強の布陣(ドヤ!』

『味方を使った引きこもり(ドヤ!』

『防御は最強の攻撃(ドヤ!』

『行きなさい部下ファン○ル(ドヤ!』

 と皮肉めいた言葉が並んでいた。
 しかしこれも、カイナが高笑いしながら称賛とポジティブに受け取るレベルの内容なのだが。

「あの人本当にぶれないねー」

「ほんと、あの神経の太さだけは見習いたい」

「むしろそこしか褒めるポイントがない」

「ドヤ顔でボス戦を譲ってくれって来て、ムダに長生きした末に毒で死んでいったからね」

「タンクは味方の前で盾を構えることしかしない、ただの案山子ですからなぁ」

「キツいジョークでござるなぁ……」

 先月までアレと同じ階層にいた彼女達は、しみじみと〈阿修羅会〉との思い出を語る。
 すると画面内で〈スターリンク〉が行動を開始した。

「「「「「「なにこれぇ!!?」」」」」」

 びっくりした彼女達は驚きのあまり叫ぶ。
 そしてSNSのコメント欄も、彼女達と全く同じ『なにこれぇ!?』が綺麗に並んでいた。
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