クズだが強いし好き勝手やれる俺の話

じぇみにの片割れ

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アルベルト・バーンシュタインその2:アルベルト、異世界転移した人間と出会う

第4話 復讐開始

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 夜中、ふとした拍子にリズは目を覚ます。
 リズは妹と共にキョウスケに助けられた後、念の為、彼と同じ部屋に寝泊まりすることになった。あの男がまた襲ってきてもキョウスケが守ると言いだしたためだ。
 キョウスケならば少なくとも妹のリーシャは守ってくれるだろう。そう考えて知り合ったばかりだったが異性と一緒の部屋で寝ることにした。リーシャがかなり惚れ込んでいるのも理由だった。

 彼はちょっとした紳士らしく、自分はソファで寝ると言ってくれた。リーシャの一緒に寝るという提案は二人がかりで止めた。
 夢見がちなのも少し困りものだ、とリズは妹に思う。それでも自分自身もキョウスケにそれなりの感情を持っているのは否定できない。何せ自分たちを助けてくれた彼は、まさしくヒーローに見えたのだから。
 何となく、彼の顔が見たくなってしまう。寝顔でも眺めてやろうと身体を起こす。部屋の風景に違和感。キョウスケがいない。それどころか、リーシャもない。

「……え、まさか」

 まさか二人して部屋を抜け出して……何か良くないことをしているのでは、という考えが浮かぶ。

「だ、だめよ。まだそういうのは早いんだから!」

 自分でもわけの分からない叫び声をあげながらリズはベッドから飛び出す。
 部屋を出て宿屋から表通りへ。路地裏へと走る。
 路地裏に二人の姿は見つからない。構わずそのまま走り続ける。走っても走っても二人はどこにもいない。おかしい。

 肩で息をしながらリズは違和感を覚える。何かがおかしい。そもそもどうして自分は路地裏に二人がいると思ったのだろうか。
 もしかしたら部屋に二人がいないと思ったのは何かの見間違いかもしれないし、いなかったのだとしても、もう宿に戻っているのかもしれない。そう思って来た道を戻ろうと振り返ると──。

「よう」

 ──そこにはあの男がいた。


§§§§


 誘拐完了。
 俺の目の前にはあの小憎たらしいが調教しがいのありそうなリズとかいう女が、1号に触手で椅子にくくりつけられた状態で眠っている。
 誰が眠らせたか。もちろん、俺だ。

「ちがーう!! 我輩だ!!」

 4号が叫んできやがった。そうだ、眠らせたのは4号だ。正確には眠ったままにしている。4号は特殊な音波だか何だかで人間に催眠をかけることができる。精神汚染の一種で、既に眠っているやつを夢遊病みたいにうろつかせることぐらい朝飯前だ。今は昼だから昼飯前か。
 あのやたらめったら強いクソガキも寝ているところを襲われるってところまでは想像できただろうが、女が寝たまま拐われるのは予想できなかっただろう。
 そういうあたりが強いだけのガキなんだ。この世の中には自分が想像する以上の手段や恐怖があるってことを知らねえ。どうせこれから思い知ることになるが。

「よし、起こせ」

 4号が俺の命令に従って女を覚醒させる。

「ん……うぅん」
「よう」

 まだ寝ぼけているらしく、俺のことが見えているはずなのに反応がない。

「……えっ、嘘……」
「やっと分かったか。囚われのお姫様の気分はどうだ……えっと、リズだっけ?」

 状況を理解したリズの顔が一瞬で真っ青になった。

「な、なんで私の名前っ」
「盗聴ぐらいは余裕でできるんだよ。妹の名前はリーシャだよな?」

 俺の言葉がリズをさらに青くする。いい気分だが俺がほしい表情とはちょっと違うな。
 大慌てといった様子でリズが暴れるが、女の細腕じゃ1号の触手は外せない。

「このっ、放しなさいよっ!!」
「まぁ待て、落ち着けって。妹が同じ目に遭うよりマシだろ?」

 俺は用意していた台詞を言う。予想どおり女の動きが止まった。

「あ、あんた、リーシャに手を出したらタダじゃおかないから!!」
「分かってるって。だからお前にしたんだよ。俺は優しいからな」
「くっ……」

 前のように殺意たっぷりの目で睨みつけてきやがる。いいぞ、楽しくなってきた。

「その気になりゃ俺はお前でも妹でも狙える。だが、お前がやめろっていうんなら妹は狙わない。お前がちゃんと俺を楽しませてくれるんならな。交換条件ってやつだ」
「このっ……人でなしっ!!」

 女の罵倒に俺は大声で笑ってやる。なんてのは最高の褒め言葉だ。そうだろ?

「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! そうだよ、俺は人でなしだよ、分かってるじゃねえか!」

 あまりの気分の良さに腹を抱えて笑っちまう。
 そんな俺が怖いのか不気味なのか、女の顔には戸惑いと恐怖があった。

「あ、あんた……おかしいわよ」
「なんだよ、人でなしの次は狂人扱いか? ま、どっちでも一緒だけどな」

 目尻の涙を拭って一息つく。女に罵倒されるってのはいいもんだ。別にマゾヒストってわけじゃねえんだけどな。
 あれだ。俺は自分のことをクズだと分かってる。で、目の前の女が俺をクズだと呼ぶ。そうすると、おう俺のことが分かってるじゃねえか、って気分になるってわけよ。な、いい気分だろ?

「さてと。小気味良いトークはこれぐらいにして、本題に入ろうか」
「……さっさとすれば?」

 顔を逸らして女が言う。言葉だけは強気だが肩が震えてやがる。いいねえ、そそる反応だ。こういうのがたまらねえ!
 この女がこれから泣きながら喘ぐ姿を想像すると、どうにも下着が窮屈になっていけねえ。

「じゃあ、そうさせてもらおうか」

 1号の触手が女の脚を強引に開かせてスカートを捲り上げる。「ひっ」と小さな悲鳴があがり、触り損ねた白の下着が露出される。
 そこへと俺は手を伸ばす。

 ──今度こそ邪魔は入らなかった。
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