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第二章 知令由学園 前編
第百九十四話 幸せな居場所
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俺はフェルドナージュ様と師匠にこれまでの経緯を話した。
イーファの事はどうするか悩んだが、先ほど解放している以上もうしらを切れる状況ではない。
ただ、師匠には事を直ぐに動かさないようお願いした。
「ふむ、シーザー殿。そなたの実力はベルローゼも認める程。
童の元で力を振るってもらいたいところだが、今回の件で貸を作れるやも
しれぬ。もし必要であらば、童の腹心をさらに動かせるようにしておこう。
それとルイン。神話級の武器、ティソーナとコラーダの件も其方に
一任する。他の妖魔に渡らなければ構わぬ。見事手に入れ使いこなしてみよ」
「有難き幸せに存じます。一本は海底にあるそうなので入手は困難を極めると
思いますが」
「しかしライデンのヤロウ、許せねえな。昔のあいつじゃ考えられねえし
信じたくもねえ話だ。ライラロは戻ってるのか?」
「ええ。もうじきかぎつけてくると思いますよ」
「くそ、こうしちゃおれねえ。フェル様よ、おれぁ先に失礼するぜ」
「ああ。またゆっくり飲むとしよう。それとルインよ。其方、この
領域が手狭であろう。拡張許可を命じるゆえ作り変えるがよい。
後ほどアルカーンが来よう。その時に説明を受けるがよい」
「承知しました。フェル様ももしよろしければつたない食事ですが、召し上がっていってください。面白いお酒も用意しましたので。では俺もそろそろ。女性陣が来ると思いますので失礼します」
「ああ、童は今しばらくここにおる故」
ふやけないのかなーと思いつつ少しだけ見ると、美しすぎる肌が見える。
目に毒です。早く出よう。
温泉を出た俺はすれ違いざまフェルドナージュ様ももてなす事を温泉入る組に伝えた。
料理の支度などはニーメやマーナ、ファナやサラ、ドーグル、それにカノンもやってくれるらしい。
働き手が増えておおいに助かる。ワインはベルローゼさんとフェドラートさんが担当してくれる。
リルとベルド、ベルディアは後から入るようで、修理された地下訓練場に向かった。
俺はムーラさんのもとへ向かい、頼んでいた改築工事を見に行った。
そこには見事に作られた茶室があった。
フェルドナージュ様のような高貴な方を呼ぶ以上、こういった場所が必要だろうと思った。
シーザー師匠やベルローゼ先生それに教養を重んじる
フェドラートさんは好みだろうし、女性陣がお茶会するのにもちょうどいい雰囲気だ。
千宗易の茶室とはいかないが、いい赴きがあると思う。
地下とはいえ暗くはなく明かりが入るように細工されている。
「ありがとうムーラさん。いい茶室が出来たよ。ルーンの安息所以外の休憩場所があると助かる。
たまには静かにゆっくりとお茶していたいときもあるだろうしな。
頑張ってコーヒーとかの原料も探さないとな」
「以前いっていた豆を焦がしたものか。ただの豆じゃだめなんだな」
「花の茎などでも代用できるが、できたら豆がいい。後は香の強い葉系やナッツなんかだな。
香りが食欲をそそるってのはモラコ族でも同じだろ?」
「違いない、ルインの発想はわしらの製作意欲をあげるな」
「作り手がいなきゃ俺には無理だ。助かるよ。これからもっと領域を広げる予定だ。期待しててくれ」
俺は一旦個室に向かい、紙とペンを用意した。紙はそこそこ貴重だが、想像の範疇を越える場合は
役に立つ。世界地図を数億分の一にせず脳内で構築しろと言われても脳が焼き切れるだけだ。
しかしそれに近いことをやっていたのが残虐のベルータス。あいつの移動都市スターベルは
あいつが想像して構築したものだろう。デタラメな奴すぎて俺の脳内では理解できない。
しかしこれほど人数が増えた以上、そう甘いこともいっていられない。幻妖団メルの人数計算をしてみよう。
メルザを筆頭に俺、パモ、カカシ、ファナ、ニーメ、ココット、マーナ、ミリル、ルー、シーザー師匠、ライラロさん、レウスさん、リル、サラ、ベルローゼさん、アルカーンさん、フェドラートさん、シュウ、カノン、ドーグル、イーファ、ベルド、ベルディア。
総勢二十四人も幻妖団メルのメンバーがいる。予想される来訪者は、フェルドナージュ様、ハーヴァル、セフィア、バルドス、メディルなどの死流七支やフェルス皇国の要人か。
つまり最低でも三十人規模の領域……いや、この際町として領域を構築しないといけないかもしれない。
何せキゾナ大陸みたいに亜人や外見が異なる人を襲う集団がいる。そういった人たちはかくまうべきだろう。
もうカノンのような酷い仕打ちを見るのはうんざりだ。そういった虐げられた人たちが住まう区画だって
あってもいいだろう。
ルーンの安息所を中心に、東西南北へ伸びる道。泉は全て南にまとめ、南が温泉街、北が農業、牧場街、西が特訓・修練街、東が商店、娯楽街。地下はすでに訓練場と茶室。セラーも作れば完璧だ。
「よし、出来た! これをアルカーンさんに見せよう!」
「呼んだか」
「うわあ! 脅かさないでくださいよ! 毎度毎度! お久しぶりですけど!」
「ああ。フェルドナージュ様に言われてな。直ぐに来た。最優先事項だからな」
「領域拡張の件ですが、今日は宴。この通りに拡張したいのですが可能でしょうか?」
「随分と大きく拡張されるのか。俺の専用工房はあるだろうな」
「ありますよ。ニーメとの巨大な鍛冶工房ですけどね」
「ならばいい。言い忘れていたが一日では終わらん。十日はもらうぞ」
「むしろ十日で終わるこれだけの拡張工事って、この世界おかしいですって」
「貴様の言うところの世界が不便なのだろう。では部屋にこもるとしよう」
「いや、ですから今日は宴ですって。フェルドナージュ様もいらっしゃるのですよ」
「そうか。ならばすぐ向かうとしよう。最優先事項だ」
フェルドナージュ様事項はわかったって! あー久しぶりにこのノリに疲れる。
ワインもらいにいこう。
ルーンの安息所へ赴くと、ところせましとみんな集まっていた。
俺が来るとみんな笑顔で迎えてくれる。
それぞれが武器を外して一同に介しとても和やかだ。
暖かい。ここにいるだけで幸せな気分になれる。
俺がメルザとあった時の最初に見た夢のような光景。
大変な事の連続だったけど、俺は主と共に、多くの大切を手に入れた。
これからもずっと、みんなで仲良く暮らしたい。そのために努力し続けよう。
我が主のために!
イーファの事はどうするか悩んだが、先ほど解放している以上もうしらを切れる状況ではない。
ただ、師匠には事を直ぐに動かさないようお願いした。
「ふむ、シーザー殿。そなたの実力はベルローゼも認める程。
童の元で力を振るってもらいたいところだが、今回の件で貸を作れるやも
しれぬ。もし必要であらば、童の腹心をさらに動かせるようにしておこう。
それとルイン。神話級の武器、ティソーナとコラーダの件も其方に
一任する。他の妖魔に渡らなければ構わぬ。見事手に入れ使いこなしてみよ」
「有難き幸せに存じます。一本は海底にあるそうなので入手は困難を極めると
思いますが」
「しかしライデンのヤロウ、許せねえな。昔のあいつじゃ考えられねえし
信じたくもねえ話だ。ライラロは戻ってるのか?」
「ええ。もうじきかぎつけてくると思いますよ」
「くそ、こうしちゃおれねえ。フェル様よ、おれぁ先に失礼するぜ」
「ああ。またゆっくり飲むとしよう。それとルインよ。其方、この
領域が手狭であろう。拡張許可を命じるゆえ作り変えるがよい。
後ほどアルカーンが来よう。その時に説明を受けるがよい」
「承知しました。フェル様ももしよろしければつたない食事ですが、召し上がっていってください。面白いお酒も用意しましたので。では俺もそろそろ。女性陣が来ると思いますので失礼します」
「ああ、童は今しばらくここにおる故」
ふやけないのかなーと思いつつ少しだけ見ると、美しすぎる肌が見える。
目に毒です。早く出よう。
温泉を出た俺はすれ違いざまフェルドナージュ様ももてなす事を温泉入る組に伝えた。
料理の支度などはニーメやマーナ、ファナやサラ、ドーグル、それにカノンもやってくれるらしい。
働き手が増えておおいに助かる。ワインはベルローゼさんとフェドラートさんが担当してくれる。
リルとベルド、ベルディアは後から入るようで、修理された地下訓練場に向かった。
俺はムーラさんのもとへ向かい、頼んでいた改築工事を見に行った。
そこには見事に作られた茶室があった。
フェルドナージュ様のような高貴な方を呼ぶ以上、こういった場所が必要だろうと思った。
シーザー師匠やベルローゼ先生それに教養を重んじる
フェドラートさんは好みだろうし、女性陣がお茶会するのにもちょうどいい雰囲気だ。
千宗易の茶室とはいかないが、いい赴きがあると思う。
地下とはいえ暗くはなく明かりが入るように細工されている。
「ありがとうムーラさん。いい茶室が出来たよ。ルーンの安息所以外の休憩場所があると助かる。
たまには静かにゆっくりとお茶していたいときもあるだろうしな。
頑張ってコーヒーとかの原料も探さないとな」
「以前いっていた豆を焦がしたものか。ただの豆じゃだめなんだな」
「花の茎などでも代用できるが、できたら豆がいい。後は香の強い葉系やナッツなんかだな。
香りが食欲をそそるってのはモラコ族でも同じだろ?」
「違いない、ルインの発想はわしらの製作意欲をあげるな」
「作り手がいなきゃ俺には無理だ。助かるよ。これからもっと領域を広げる予定だ。期待しててくれ」
俺は一旦個室に向かい、紙とペンを用意した。紙はそこそこ貴重だが、想像の範疇を越える場合は
役に立つ。世界地図を数億分の一にせず脳内で構築しろと言われても脳が焼き切れるだけだ。
しかしそれに近いことをやっていたのが残虐のベルータス。あいつの移動都市スターベルは
あいつが想像して構築したものだろう。デタラメな奴すぎて俺の脳内では理解できない。
しかしこれほど人数が増えた以上、そう甘いこともいっていられない。幻妖団メルの人数計算をしてみよう。
メルザを筆頭に俺、パモ、カカシ、ファナ、ニーメ、ココット、マーナ、ミリル、ルー、シーザー師匠、ライラロさん、レウスさん、リル、サラ、ベルローゼさん、アルカーンさん、フェドラートさん、シュウ、カノン、ドーグル、イーファ、ベルド、ベルディア。
総勢二十四人も幻妖団メルのメンバーがいる。予想される来訪者は、フェルドナージュ様、ハーヴァル、セフィア、バルドス、メディルなどの死流七支やフェルス皇国の要人か。
つまり最低でも三十人規模の領域……いや、この際町として領域を構築しないといけないかもしれない。
何せキゾナ大陸みたいに亜人や外見が異なる人を襲う集団がいる。そういった人たちはかくまうべきだろう。
もうカノンのような酷い仕打ちを見るのはうんざりだ。そういった虐げられた人たちが住まう区画だって
あってもいいだろう。
ルーンの安息所を中心に、東西南北へ伸びる道。泉は全て南にまとめ、南が温泉街、北が農業、牧場街、西が特訓・修練街、東が商店、娯楽街。地下はすでに訓練場と茶室。セラーも作れば完璧だ。
「よし、出来た! これをアルカーンさんに見せよう!」
「呼んだか」
「うわあ! 脅かさないでくださいよ! 毎度毎度! お久しぶりですけど!」
「ああ。フェルドナージュ様に言われてな。直ぐに来た。最優先事項だからな」
「領域拡張の件ですが、今日は宴。この通りに拡張したいのですが可能でしょうか?」
「随分と大きく拡張されるのか。俺の専用工房はあるだろうな」
「ありますよ。ニーメとの巨大な鍛冶工房ですけどね」
「ならばいい。言い忘れていたが一日では終わらん。十日はもらうぞ」
「むしろ十日で終わるこれだけの拡張工事って、この世界おかしいですって」
「貴様の言うところの世界が不便なのだろう。では部屋にこもるとしよう」
「いや、ですから今日は宴ですって。フェルドナージュ様もいらっしゃるのですよ」
「そうか。ならばすぐ向かうとしよう。最優先事項だ」
フェルドナージュ様事項はわかったって! あー久しぶりにこのノリに疲れる。
ワインもらいにいこう。
ルーンの安息所へ赴くと、ところせましとみんな集まっていた。
俺が来るとみんな笑顔で迎えてくれる。
それぞれが武器を外して一同に介しとても和やかだ。
暖かい。ここにいるだけで幸せな気分になれる。
俺がメルザとあった時の最初に見た夢のような光景。
大変な事の連続だったけど、俺は主と共に、多くの大切を手に入れた。
これからもずっと、みんなで仲良く暮らしたい。そのために努力し続けよう。
我が主のために!
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