323 / 1,085
三部 主と突き進む道 第一章 海底の世界へ向けて
第二百七十七話 美しい景色の道すがら
しおりを挟む
「圧巻だな。だがここで立ち止まっていてもしょうがない。ブレディー、ここでは外に出れるか?
出れるなら泉まで案内してもらいたい」
「大丈夫。ブレディー、あれ、乗りたい。出して」
「あれ? ああ、アデリーのことか? ちょっと待ってろ……妖雪造形術、アデリー!」
「ウェィ」
アデリーが片手を挙げて現れた。作った俺が言うのもなんだが、こいつを毎日眺めていたい。
こいつの目をみていると、どこぞのよろず屋を思い出してならない。
「可愛い。これ、好き、大好き」
ブレディーは喜んでアデリーに飛びつく。こいつの可愛さに心動かされないものなど
この世にいないと思っている。
すべてはアネさんのおかげ! アネさんとフェドラートさんは元気にしているだろうか。
アルカーンさんの話だと無事ではあるようだが。地上の状態が気になる。
だがみんな無事だと俺は信じている。何せ全員、強い!
「アデリー、ゆっくり歩いて進んでくれるか? メルザ、先生。景色を見ながら進みたいんだ」
「ウェィ」
「ああ。俺様も桜、見ていきたいぞ! これ、喰えるのかな?」
「いい香りがする。このような花もあるとは、海底も悪くないのではないか」
「先生もそう思いますか。フェルス皇国は壮大できらびやかで美しいけど、こういった趣のある場所も
いいものですよね。まるで日本に戻ったみたいだ」
「日本? それってルインの前世のいたとこか?」
「ああ……そうだ、二人とも。泉に着いたら、少し俺の現世での過去話をしようと思うんだが、いいか?」
「ほう、少しは覚えているのか。妖魔国にいたのだろう?」
「いえ、わからないんですよね。とにかく今は先へ進みましょう」
ゆっくりと歩き出す俺たち。時折桜が舞い散る中、滝のある方面へ向かう。
少し距離があるので、ゆっくりと桜の香りを満喫しながら進んでいく。
花弁が舞い落ち、儚くも美しい情景に見とれてしまう。
そう、すでに全員が封印から出て、その光景に目を奪われていた。
この情景を見れば、多くの者が心奪われるだろう。
そう思わせるほど、満開の桜は美しい。
しかし、温帯地域に芽吹くこいつが、一体どうやって海底のこんな場所に……もしかして
海にある星が関係しているのか?
不明な事が多いが、これはカワヅザクラとソメイヨシノに違いない。
「パモ、本当に持って帰れそうか? かなりでかい木なんだけど」
「パーミュ! パ、パパ!」
「え? 下を掘って出さないとダメ? そりゃそうか。地に根付いているしな。
さて、どうやって掘るか」
「こっちは俺がやっておいてやろう。二種類の木をほりおこせばよいのだろう?」
「あ、はい。先生ノリノリですね。絶対甘味処の影響だよな……」
「ふん。この木は赴きがあっていい。持ち帰り、いい場所に埋める。どうだ、八本程いけるか?」
「パーミュ!」
「よし、戻ったら貴様の苦労に報いてやろう。好きな物を言ってみろ。アルカーンに作らせる」
「パ、パーミュ!」
飛び跳ねて喜ぶパモ。先生はアルカーンさんに貸しでもあるのかな?
そう簡単に作ってくれないと思うんだけど。
いやいや先生が頼み事なんてそもそも想像出来ない。レアケースに違いないぞこれは。ツンデレだし。
しかもあっという間に地面を切り裂いてみせる。手伝おうなどとは口が裂けても言えない。
先生が掘り、パモが吸い込む。その作業を繰り返し、十分な本数をあっという間に確保した。
「ではいきましょうか。ブレディー、もうしばらくかかりそうか?」
「かからない。もうじき。すぐ。でも、この子、乗っていたい」
「ウェィ」
「へぇ、アデリーにも感情があるのかな。もう少し乗せていたいみたいだぞ。そんな雰囲気だ」
「嬉しい。この子。もらう」
「いや、時間が経っ勤消えちゃうんだよねぇ……」
「そういえば貴様はアルカーンの能力について、あまり知らなかったな。あいつはモンスター作成能力を
有する。頼めば同じ形状のモンスターを作成できるかもしれん。当然対価は要求されるうえ、いつでも
呼び出し可能というわけではない」
「モンスター作成って、襲ってこないんですか?」
「どのように作るかによるな。魔造生物関係は、俺にはわからん。直接奴に聞くといい」
「アルカーンさんがとんでもないのはわかるけど、一体誰に習ったんでしょうね」
「習う必要などない。あいつは生まれながら恐ろしいほどの才覚があったと聞く。さらに加えて……いや
やめておこう。本人が語らぬ話だ」
「アルカーンに関しては、僕も多くは知らないな。ずっと苦手意識を持ってたし、聞き辛くて。
でも君なら聞けるかも知れないね。アルカーンの秘密を」
「どうかな。時計の発想ならまだまだあるけど、あまりアルカーンさんばかり頼るのも良くないと思って」
「ふっ。貴様らしい。あのような能力者に気に入られて尚、極力頼らないとはな。だが奴は造形物を
好む。その依頼は好ましいかもしれんぞ」
「それでしたらお願いしてみようかな……今はこれ以上話してるとルーニーが喋りだしそうなので、止めておきましょう」
「着いた。ここ、泉。綺麗」
話しながら歩いていると、いつの間にか泉の前までついていた。滝からはまだ距離があるが、
道筋にそって水が流れ、泉を形成している。
桜の花びらが浮かび、キラキラと輝いていた。
ここで、休憩しよう。
出れるなら泉まで案内してもらいたい」
「大丈夫。ブレディー、あれ、乗りたい。出して」
「あれ? ああ、アデリーのことか? ちょっと待ってろ……妖雪造形術、アデリー!」
「ウェィ」
アデリーが片手を挙げて現れた。作った俺が言うのもなんだが、こいつを毎日眺めていたい。
こいつの目をみていると、どこぞのよろず屋を思い出してならない。
「可愛い。これ、好き、大好き」
ブレディーは喜んでアデリーに飛びつく。こいつの可愛さに心動かされないものなど
この世にいないと思っている。
すべてはアネさんのおかげ! アネさんとフェドラートさんは元気にしているだろうか。
アルカーンさんの話だと無事ではあるようだが。地上の状態が気になる。
だがみんな無事だと俺は信じている。何せ全員、強い!
「アデリー、ゆっくり歩いて進んでくれるか? メルザ、先生。景色を見ながら進みたいんだ」
「ウェィ」
「ああ。俺様も桜、見ていきたいぞ! これ、喰えるのかな?」
「いい香りがする。このような花もあるとは、海底も悪くないのではないか」
「先生もそう思いますか。フェルス皇国は壮大できらびやかで美しいけど、こういった趣のある場所も
いいものですよね。まるで日本に戻ったみたいだ」
「日本? それってルインの前世のいたとこか?」
「ああ……そうだ、二人とも。泉に着いたら、少し俺の現世での過去話をしようと思うんだが、いいか?」
「ほう、少しは覚えているのか。妖魔国にいたのだろう?」
「いえ、わからないんですよね。とにかく今は先へ進みましょう」
ゆっくりと歩き出す俺たち。時折桜が舞い散る中、滝のある方面へ向かう。
少し距離があるので、ゆっくりと桜の香りを満喫しながら進んでいく。
花弁が舞い落ち、儚くも美しい情景に見とれてしまう。
そう、すでに全員が封印から出て、その光景に目を奪われていた。
この情景を見れば、多くの者が心奪われるだろう。
そう思わせるほど、満開の桜は美しい。
しかし、温帯地域に芽吹くこいつが、一体どうやって海底のこんな場所に……もしかして
海にある星が関係しているのか?
不明な事が多いが、これはカワヅザクラとソメイヨシノに違いない。
「パモ、本当に持って帰れそうか? かなりでかい木なんだけど」
「パーミュ! パ、パパ!」
「え? 下を掘って出さないとダメ? そりゃそうか。地に根付いているしな。
さて、どうやって掘るか」
「こっちは俺がやっておいてやろう。二種類の木をほりおこせばよいのだろう?」
「あ、はい。先生ノリノリですね。絶対甘味処の影響だよな……」
「ふん。この木は赴きがあっていい。持ち帰り、いい場所に埋める。どうだ、八本程いけるか?」
「パーミュ!」
「よし、戻ったら貴様の苦労に報いてやろう。好きな物を言ってみろ。アルカーンに作らせる」
「パ、パーミュ!」
飛び跳ねて喜ぶパモ。先生はアルカーンさんに貸しでもあるのかな?
そう簡単に作ってくれないと思うんだけど。
いやいや先生が頼み事なんてそもそも想像出来ない。レアケースに違いないぞこれは。ツンデレだし。
しかもあっという間に地面を切り裂いてみせる。手伝おうなどとは口が裂けても言えない。
先生が掘り、パモが吸い込む。その作業を繰り返し、十分な本数をあっという間に確保した。
「ではいきましょうか。ブレディー、もうしばらくかかりそうか?」
「かからない。もうじき。すぐ。でも、この子、乗っていたい」
「ウェィ」
「へぇ、アデリーにも感情があるのかな。もう少し乗せていたいみたいだぞ。そんな雰囲気だ」
「嬉しい。この子。もらう」
「いや、時間が経っ勤消えちゃうんだよねぇ……」
「そういえば貴様はアルカーンの能力について、あまり知らなかったな。あいつはモンスター作成能力を
有する。頼めば同じ形状のモンスターを作成できるかもしれん。当然対価は要求されるうえ、いつでも
呼び出し可能というわけではない」
「モンスター作成って、襲ってこないんですか?」
「どのように作るかによるな。魔造生物関係は、俺にはわからん。直接奴に聞くといい」
「アルカーンさんがとんでもないのはわかるけど、一体誰に習ったんでしょうね」
「習う必要などない。あいつは生まれながら恐ろしいほどの才覚があったと聞く。さらに加えて……いや
やめておこう。本人が語らぬ話だ」
「アルカーンに関しては、僕も多くは知らないな。ずっと苦手意識を持ってたし、聞き辛くて。
でも君なら聞けるかも知れないね。アルカーンの秘密を」
「どうかな。時計の発想ならまだまだあるけど、あまりアルカーンさんばかり頼るのも良くないと思って」
「ふっ。貴様らしい。あのような能力者に気に入られて尚、極力頼らないとはな。だが奴は造形物を
好む。その依頼は好ましいかもしれんぞ」
「それでしたらお願いしてみようかな……今はこれ以上話してるとルーニーが喋りだしそうなので、止めておきましょう」
「着いた。ここ、泉。綺麗」
話しながら歩いていると、いつの間にか泉の前までついていた。滝からはまだ距離があるが、
道筋にそって水が流れ、泉を形成している。
桜の花びらが浮かび、キラキラと輝いていた。
ここで、休憩しよう。
0
あなたにおすすめの小説
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!
霜月雹花
ファンタジー
神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。
神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。
書籍8巻11月24日発売します。
漫画版2巻まで発売中。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。
億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。
彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。
四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?
道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!
気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?
※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる