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第四章 メルザの里帰り
第四百十九話 ドラグア山脈の麓
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アンチドラディニアバードを倒し、先に進む俺たち一行。
風を切り裂きながら凄い速さで移動するセーレが、大きな雲を抜けたその先だった。
「わぁー」
「おお!」
「綺麗……」
「本当ですね。感動です」
上空から見下ろすその景色は、大きな山脈と、美しい自然にあふれる世界が広がっていた。
他にも綺麗な景色をそこそこゲンドールで見た。だが、この景色はそれらを凌駕した。
前世で多くの人が望み見る美しい自然。これだけは、忘れてはならないものだと思う。
この世界は美しい。神々の寵愛を受けた、世界なのだろう。
「ヒヒン! あれがドラグア山脈だよね? 僕そろそろ疲れたから、降りたら休むよ!
しっかり捕まっててね! いくよーー! ヒヒーン!」
「うおおおーー、ジーは引力と斥力を調整してもっかるのかー! 結構強い、メルザ、しっかり捕まれ!」
「ル、ルインのつかんだ場所が悪い!」
「どこでもいいからちゃんと捕まっておけ! 俺も一応抑えるから!」
「わーたーしーーもーー!」
「先生はレミに!」
「ヒヒン! ちょっと速度出し過ぎてたみたい。ごめんね! ヒヒン!」
急降下してドラグア山脈麓に着陸した。
「あー、びっくりしたぜ……あ……」
「いやー本当だ。びっくりしたぞ。今度から先に言ってくれよセーレ」
「あのー、ルインさん。申し上げにくいのですが……」
「キャーー! 殿方の、殿方の! お父さん以外のは初めて見ました!」
「どんまいだ、相棒! な?」
「かべ……」
「……」
メルザは俺のズボンにしがみついていた。
そして、脱げていた。パンツ一丁の俺。
無言ですーっとズボンをたくし上げ、一つ咳ばらいをする。
「コホン。みなさん……見なかったことにしてください」
「わりぃ、ルイン……けけ、けどよ。妻ならこれくらいじゃどうじないぜ!」
「それはさておきだ。全員体調は大丈夫か? ここはベルドやミリルから少しだけ話を聞いたが、竜種が
多くいるようだ。それに気温や湿度も高い。先生がいるから万が一は無いが、気を付けていくぞ」
「だいじょぶだ。俺様は元気だぜ!」
「全員顔色などもよさそうですし、疲労はありませんね。しいて言うならセーレさんが
だいぶお疲れのご様子です」
「ヒヒン! 僕はルインの中に入ってるから平気さ。けどしばらくは飛べないから、みんな
やられちゃわないように気を付けてね!」
「お疲れさんセーレ。今度おいしそうな人参でも見つけといてやるよ」
「ヒヒン! 人参って何さ。僕はそんなもの食べたりしないよ、きっと!」
「ダメか……馬っぽいからいけると思ったんだが」
「僕は馬じゃないからー! それじゃみんな、またねー!」
「セーレはそっとしておくかべ。ウォーラスにも出番はあるかべ?」
「おおありだ。ここは毒草や毒を発する場所もありそうだ。何せ竜種は毒を持つ個体が多い。
ウォーラスがいるだけで相当安心できるよ」
「役に立てるなら嬉しいかべ。それまではセーレと一緒に休んでるかべ」
二人共本当にありがたい。特にウォーラスは心優しいな。
見た目だけで怖がられていたのは可哀そうだが、どんな者でも見た目と中身が釣り合わないなんて
ざらだ。怖がったりするのは失礼すぎる。
「さて……レミ、先生。まずはどのあたりに行けばいいんだ?」
「この辺の依頼は、中腹を目指しながらでも直ぐ終わるから、中腹に向けて出発しましょ」
「そうですね。あまり良質な草などは、この辺りに無いようです。山の栄養はやはり中腹に集まる
ようですから、そちらを目指しましょう」
「わかった。妖雪造形術、コウテイ、アデリー!」
「ウェーイ!」
「ウェィ」
「出た! 可愛い! 俺様こいつら大好きだぞ!」
「か、可愛い……何これ。これも術?」
「凄い! これはどういった生態なのでしょうか? 気になります!」
「気になってるトコ悪いんだが、先を急ごう。途中で日が暮れるとまずいだろ?
一応休めるアーティファクトはあるけど、ふかふかベッドなどはないし。メルザはアデリーに。
先生とレミはコウテイに乗ってくれ。俺はコウテイとアデリーを追いかける。
既にこいつらといい勝負できるくらいの速さは出せるからな。コウテイ、アデリー。いっちょ競争と行こうぜ!」
「ウェーイ!」
「ウェィ!」
「神魔解放! よーいドンだ!」
風を切り裂きながら凄い速さで移動するセーレが、大きな雲を抜けたその先だった。
「わぁー」
「おお!」
「綺麗……」
「本当ですね。感動です」
上空から見下ろすその景色は、大きな山脈と、美しい自然にあふれる世界が広がっていた。
他にも綺麗な景色をそこそこゲンドールで見た。だが、この景色はそれらを凌駕した。
前世で多くの人が望み見る美しい自然。これだけは、忘れてはならないものだと思う。
この世界は美しい。神々の寵愛を受けた、世界なのだろう。
「ヒヒン! あれがドラグア山脈だよね? 僕そろそろ疲れたから、降りたら休むよ!
しっかり捕まっててね! いくよーー! ヒヒーン!」
「うおおおーー、ジーは引力と斥力を調整してもっかるのかー! 結構強い、メルザ、しっかり捕まれ!」
「ル、ルインのつかんだ場所が悪い!」
「どこでもいいからちゃんと捕まっておけ! 俺も一応抑えるから!」
「わーたーしーーもーー!」
「先生はレミに!」
「ヒヒン! ちょっと速度出し過ぎてたみたい。ごめんね! ヒヒン!」
急降下してドラグア山脈麓に着陸した。
「あー、びっくりしたぜ……あ……」
「いやー本当だ。びっくりしたぞ。今度から先に言ってくれよセーレ」
「あのー、ルインさん。申し上げにくいのですが……」
「キャーー! 殿方の、殿方の! お父さん以外のは初めて見ました!」
「どんまいだ、相棒! な?」
「かべ……」
「……」
メルザは俺のズボンにしがみついていた。
そして、脱げていた。パンツ一丁の俺。
無言ですーっとズボンをたくし上げ、一つ咳ばらいをする。
「コホン。みなさん……見なかったことにしてください」
「わりぃ、ルイン……けけ、けどよ。妻ならこれくらいじゃどうじないぜ!」
「それはさておきだ。全員体調は大丈夫か? ここはベルドやミリルから少しだけ話を聞いたが、竜種が
多くいるようだ。それに気温や湿度も高い。先生がいるから万が一は無いが、気を付けていくぞ」
「だいじょぶだ。俺様は元気だぜ!」
「全員顔色などもよさそうですし、疲労はありませんね。しいて言うならセーレさんが
だいぶお疲れのご様子です」
「ヒヒン! 僕はルインの中に入ってるから平気さ。けどしばらくは飛べないから、みんな
やられちゃわないように気を付けてね!」
「お疲れさんセーレ。今度おいしそうな人参でも見つけといてやるよ」
「ヒヒン! 人参って何さ。僕はそんなもの食べたりしないよ、きっと!」
「ダメか……馬っぽいからいけると思ったんだが」
「僕は馬じゃないからー! それじゃみんな、またねー!」
「セーレはそっとしておくかべ。ウォーラスにも出番はあるかべ?」
「おおありだ。ここは毒草や毒を発する場所もありそうだ。何せ竜種は毒を持つ個体が多い。
ウォーラスがいるだけで相当安心できるよ」
「役に立てるなら嬉しいかべ。それまではセーレと一緒に休んでるかべ」
二人共本当にありがたい。特にウォーラスは心優しいな。
見た目だけで怖がられていたのは可哀そうだが、どんな者でも見た目と中身が釣り合わないなんて
ざらだ。怖がったりするのは失礼すぎる。
「さて……レミ、先生。まずはどのあたりに行けばいいんだ?」
「この辺の依頼は、中腹を目指しながらでも直ぐ終わるから、中腹に向けて出発しましょ」
「そうですね。あまり良質な草などは、この辺りに無いようです。山の栄養はやはり中腹に集まる
ようですから、そちらを目指しましょう」
「わかった。妖雪造形術、コウテイ、アデリー!」
「ウェーイ!」
「ウェィ」
「出た! 可愛い! 俺様こいつら大好きだぞ!」
「か、可愛い……何これ。これも術?」
「凄い! これはどういった生態なのでしょうか? 気になります!」
「気になってるトコ悪いんだが、先を急ごう。途中で日が暮れるとまずいだろ?
一応休めるアーティファクトはあるけど、ふかふかベッドなどはないし。メルザはアデリーに。
先生とレミはコウテイに乗ってくれ。俺はコウテイとアデリーを追いかける。
既にこいつらといい勝負できるくらいの速さは出せるからな。コウテイ、アデリー。いっちょ競争と行こうぜ!」
「ウェーイ!」
「ウェィ!」
「神魔解放! よーいドンだ!」
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