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第二章 仲間

第五百六十四話 やり手の執事

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 コーネリウスの居場所へと赴いた俺たち一行。
 広大な庭に巨大な門。今まで見た男爵領とは格段の差がある。
 伯爵と男爵との差を甘く見ていた。
 いかにも権力者であることを象徴されるような置物も無数見える。
面会許可を得るために早速門を叩く。
 しかし反応は一切ない。
 
「アポなしじゃ当然か……いや、待てよ」

 懐から青色のコインを取り出した。
 緊急の連絡などはアポなしでも入れるはずだ。それならば……どこかにこれを
入れる場所があるはずだ。

 門の付近を見渡すと、硬貨導入口を探した。
 すると、ロッカーのコイン投入口のような、押し込んで入れるタイプのものを見つける。

「恐らく、これだな」
「入れても平気なのか?」
「ああ、このコインはコーネリウスが何かしらの意図で多用しているもの。
構わないだろう」

 青色のコインをぽとりと入れると、鈴の音のような音が鳴り響く。
 すると――――身なりのいい男性と女性が一名ずつ、門を開きにやってきた。
 男性は蝶ネクタイに片眼鏡。女性は髪を後ろで一本に結び腰まである髪が美しく揺れている。

「これはこれは。サーカス団のご一行。こちらはコーネリウス様の別邸。
あなた方の向かうべきは二十三領区本館でございます。お間違えですかな?」
「ゴードン。その前に確かめる事があるでしょう。あのコインはどちらで入手したのか
お伺いしても?」
「お話すればご本人にお会いできるのでしょうか?」
「それは……難しいですね。あなたのような素性の知れぬ者と、主人を会わせると
思いますか?」
「いえ。それはあり得ませんね。私があなたの立場なら、早々にお帰り頂く手段を模索します」
「その通り。話が早くてとても助かります」
「ですが、そういうわけにはいきません。私たちがここで帰った事が本人に伝われば、処罰される
のはあなたたち二人だ。それはコーネリウス殿にとっても、私にとっても、あなたたち
にとっても良くない事態です」
「面白い事を言う方ですね。ゴードン、少し試してみましょうか」
「よろしいでしょう。あなたと……それからあなたがいい。他のサーカス団の方々は、門を
ふさがぬよう少し離れた位置で待機していただいても?」
「……ジェイク、頼めるか」
「わかったじゃんよ。疲れたし俺っちは休憩してるじゃん」

 中庭に通されるビーと俺。試される……か。少々、いや、かなり気を
引き締めないといけないようだ。
 それにしても広すぎる庭だ。庭園というレベルではない。
 整備された巨大な区画といったほうがしっくりくる庭だ。

 どちらも相当な手練れと見受けられる。それはそうだ、主人の館を守る者が
立った二人で怪しい集団の前に出てこれる。そうなれば手練れに決まっている。
 
「そんなに緊張なさらず。いきなり襲ったりしませんよ」
「ただ強さだけを見るのであれば、奪い取ったケースも考えられます故」

『問答を始めましょう』

 ぴったりと声の合う二人。それに合わせて何かしらの道具が発動。
 四角い半透明な空間へ入る。防音用の魔術具だろうか。

 俺たちも目を合わせて頷きあう。
 
『ああ』 

 こういったところは息が合う俺たち二人。
 姿勢を崩さぬまま、二人は俺たちへ問答を開始した。
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