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第二章 仲間
第五百八十話 単刀直入
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「それ以上は近づかないでくれ。距離が近すぎるのは困る」
「うふふふ。もう少し、もう少しだけ。ね?」
「ならばこの話は無しだ」
「……わかりましたわ。そこまで拒絶されるなら仕方ありませんわね」
「ついでにその、王女の真似も止めて欲しいものだな」
「ふふふふ。何を言っておりますの。わたくしはルイ・クシャナ・ミレーユ。
この国の王女にして最高の美貌を誇るものですわ」
「そうか。それで? 最高の美貌を誇るあなたが、俺なんかに何の用だっていうんだ」
「あなたが欲しい。あなたの全てが」
「断る」
「断る? どうして?」
「俺には主がいる。あなたの主になるつもりなどない」
「その主はどれほどの能力を持って入りうのかしら?」
「教えるつもりは、ない」
「ではどうしたらあなたが手に入るか、それを話し合いましょう」
「無駄だな。そのような方法などない。あるとするなら死体でも動かすんだな」
「名案だわ! あなたがそうしていいと言ったのよ。あなた自身が! これは契約よ。
あなたが死ねばあなたは私のもの。うふふ、うふふふふ……アーッハッハッハッハ!」
「ようやくらしくなってきたじゃないか。それが素の笑い方か」
「うふ、うふふふふ。嫌ですわね。ずるいですわ。クク、そんな楽しい事言われちゃったらさ。
ふう、やっぱり目をつけただけあって、面白いよ。さっきからあらゆる呪いをかけてるのに、何一つ
効かない。君は本物だ。君と一つになりたい。ああ、こんなどうでもいい地で見出せるなんて。
こんな滅んでいい場所で拾うなんて。ああ、早く手に入れたくなっちゃった」
両手を上に挙げる王女。その姿は少しずつ変化していった。
そのチャンスを、逃すはずがない。
後ろに回り込み、ラーンの捕縛網をねじ込む。
「殺れ! こいつはやばすぎる!」
「うあああーー! 邪剣!」
「メタモルフォーゼ、赤竜! 灼熱の息!」
俺ごと邪剣が突き刺さり、さらにその上から赤竜に変身したファニーのブレスが
俺と偽王女へ襲い掛かる。
ガチガチに固めた捕縛網からは逃れられない。
リトラベイとターレキフが慌ててこちらへ来るが、もう遅い。
「う、ぐあああああ!」
「やっと……近づけた……ね。うふ、ふふふふ」
サニーの邪剣が突き刺さり、ファニーの灼熱の息、どちらも確実なダメージを与えた。
それなのに……俺のダメージが異常にでかく、偽王女の方はさしたるダメージを受けていない
ように見える。
「ぐっ……なぜだ」
「ふふ、うふふふ。いい肌だ。もっと君に触れていたい……わたくしの正体を君に見せたい……
ああ。運命な出会い。感謝しよう。オーディン。下らない統治を迫り、こき使われた日々。
それも今となってはいい思い出だ……ふふふ、それに……その娘。
懐かしい。うふふふふ……」
ずっと笑いながらラーンの捕縛網で何かを呟いている偽王女。
ダメだ。このままラーンの捕縛網でこいつと接しているのは危険だ!
急ぎ捕縛を解いて離れると、その場でずっと笑っている偽王女を守るように、リトラベイとターレキフが
間に挟まる。
「主殿。気を確かに」
「ふふふふ……触るな。今わたくしに触っていいのは彼だけ。さぁ、こっちを、このわたくし……
ラーナ・ロプト・トリックスターを、しっかり見て……さぁ」
服をはだけさせ、こちらへブツブツ何かを呟きながら近づく偽王女に、新たに変化した
ルーニーのカットラスを向ける。
「言ったはずだ。近づくな。俺はあなたの物になどならない。
命尽きても俺の魂は、我が主のもの。あなたなどに興味は何一つない!」
「……生きてる間はもう無理ね。リトラベイ、ターレキフ。彼を死なない程度に、傷つけないように
倒しなさい」
「……御意」
「承知しました」
「うふふふ。もう少し、もう少しだけ。ね?」
「ならばこの話は無しだ」
「……わかりましたわ。そこまで拒絶されるなら仕方ありませんわね」
「ついでにその、王女の真似も止めて欲しいものだな」
「ふふふふ。何を言っておりますの。わたくしはルイ・クシャナ・ミレーユ。
この国の王女にして最高の美貌を誇るものですわ」
「そうか。それで? 最高の美貌を誇るあなたが、俺なんかに何の用だっていうんだ」
「あなたが欲しい。あなたの全てが」
「断る」
「断る? どうして?」
「俺には主がいる。あなたの主になるつもりなどない」
「その主はどれほどの能力を持って入りうのかしら?」
「教えるつもりは、ない」
「ではどうしたらあなたが手に入るか、それを話し合いましょう」
「無駄だな。そのような方法などない。あるとするなら死体でも動かすんだな」
「名案だわ! あなたがそうしていいと言ったのよ。あなた自身が! これは契約よ。
あなたが死ねばあなたは私のもの。うふふ、うふふふふ……アーッハッハッハッハ!」
「ようやくらしくなってきたじゃないか。それが素の笑い方か」
「うふ、うふふふふ。嫌ですわね。ずるいですわ。クク、そんな楽しい事言われちゃったらさ。
ふう、やっぱり目をつけただけあって、面白いよ。さっきからあらゆる呪いをかけてるのに、何一つ
効かない。君は本物だ。君と一つになりたい。ああ、こんなどうでもいい地で見出せるなんて。
こんな滅んでいい場所で拾うなんて。ああ、早く手に入れたくなっちゃった」
両手を上に挙げる王女。その姿は少しずつ変化していった。
そのチャンスを、逃すはずがない。
後ろに回り込み、ラーンの捕縛網をねじ込む。
「殺れ! こいつはやばすぎる!」
「うあああーー! 邪剣!」
「メタモルフォーゼ、赤竜! 灼熱の息!」
俺ごと邪剣が突き刺さり、さらにその上から赤竜に変身したファニーのブレスが
俺と偽王女へ襲い掛かる。
ガチガチに固めた捕縛網からは逃れられない。
リトラベイとターレキフが慌ててこちらへ来るが、もう遅い。
「う、ぐあああああ!」
「やっと……近づけた……ね。うふ、ふふふふ」
サニーの邪剣が突き刺さり、ファニーの灼熱の息、どちらも確実なダメージを与えた。
それなのに……俺のダメージが異常にでかく、偽王女の方はさしたるダメージを受けていない
ように見える。
「ぐっ……なぜだ」
「ふふ、うふふふ。いい肌だ。もっと君に触れていたい……わたくしの正体を君に見せたい……
ああ。運命な出会い。感謝しよう。オーディン。下らない統治を迫り、こき使われた日々。
それも今となってはいい思い出だ……ふふふ、それに……その娘。
懐かしい。うふふふふ……」
ずっと笑いながらラーンの捕縛網で何かを呟いている偽王女。
ダメだ。このままラーンの捕縛網でこいつと接しているのは危険だ!
急ぎ捕縛を解いて離れると、その場でずっと笑っている偽王女を守るように、リトラベイとターレキフが
間に挟まる。
「主殿。気を確かに」
「ふふふふ……触るな。今わたくしに触っていいのは彼だけ。さぁ、こっちを、このわたくし……
ラーナ・ロプト・トリックスターを、しっかり見て……さぁ」
服をはだけさせ、こちらへブツブツ何かを呟きながら近づく偽王女に、新たに変化した
ルーニーのカットラスを向ける。
「言ったはずだ。近づくな。俺はあなたの物になどならない。
命尽きても俺の魂は、我が主のもの。あなたなどに興味は何一つない!」
「……生きてる間はもう無理ね。リトラベイ、ターレキフ。彼を死なない程度に、傷つけないように
倒しなさい」
「……御意」
「承知しました」
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