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第三章 幻魔界
第六百七話 ブラックヘイロー
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幻浅の玄を目指した一行は再びアスピドケローネに乗り、茶屋を後にした。
茶屋からさほど遠いわけではないようで、辺りに気を配りながら進んでいく。
「しかしあの餓鬼は何でこんなとこでおめえの親父を殺したんだ?」
「魂を好んで食らうのが餓鬼の習性です。そこに目をつけたのでは?」
「幻魔界では命を落とすものなどどこにでもいる。ここには法など存在しない。
ただの気まぐれである可能性が高い」
「ふん。好き放題できるのはいいことじゃねえか。そいつが魂を糧に生きてるってなら、それは
悪いことでもなんでもねえだろ……そのように作った神は正直気に入らねえけどな」
「なぁなぁご主人様! 面白い話して欲しいだ。ナナーは退屈だよ」
「おもしれぇ話か。聞かせてやってもいいけどよ。もうつくころだろ。
幻浅の玄とやらによ」
「もうとっくに見えている。視界にうつっているだろう」
「あん? ……そういうことかよ。クックックいいじゃねえか。その巨大さ! 無価値な俺にこそ
ふさわしい。すべてを飲み込み、取り込ませろ……あれは俺の獲物だ!」
アスピドケローネから飛び降りて一気に見える山へと突撃するベリアル。
わずかに山が動くように見え、それと同時に大きな音を立て始める。
「ボオオオオオオオオオオ!」
「うるせえ! 足りねえんだよ力が! 今のままじゃソロモンに向かう前に死にかねねえからな!」
跳躍しながら詠唱を開始するベリアル。
アスピドケローネからはナナーがご主人を助けるべく降りようとしているところをジェネストに
止められていた。
「離すだ! ご主人様のとこに行くだ! 危ないだ!」
「いけませんよ。邪魔をすれば彼は怒りだすでしょう。今は黙って見ていなさい……お手並み
拝見といったところでしょうか」
「幻浅の玄。気性は大人しいが……どうやら敵として認識したようだぞ」
山のような巨体から見え隠れする小さな尻尾を振り回すと、大きく瘴気が発生する。
白いホコリも舞い上がり、視界はかなり悪い。
「ちっ。ここだと呼び出せねえか……だが!」
山へと攻撃をしかけるように動いていたが、山の上へ到着すると違和感を覚えるベリアル。
地面に耳を当てると、その場に胡坐をかいた。
「くっ……はっはっはっは! おいおい、見掛け倒しとはまさにこのことだな。
入り口は……そこか?」
「ボオオオオオオオオオオ!」
山のようなソレはベリアルが上に乗ると、地響きを起こして動き出した!
全長数千メートルほどもある巨体が露になる。
「だからうるせえっての。中で操作してるんだろ。そこの池からか……?」
山の上部分は瘴気を発しておらず、池も比較的透き通った水に見える。
急ぎ池へと飛び込むと、内側にはいくつか穴が開いていた。
道を探すのが面倒になったベリアルは、エルゲンを倒した時の剣を引き出す。
ラーヴァティン。その魔剣は異形であり、まともに使える剣の艇をなしていない。
試してみるか……と一振りするが、まるで思い通りにはならないようだった。
「いいぜ、言うこと利かせてやるよ……黒星の使い方を見せてやる。
黒星……ブラックヘイロー!」
黒い無数の輪が現れ、無数の道を造っていた岩肌を破壊していく。
次々に放たれていくブラックヘイローにより、道は一本の巨大な道となった。
出来た道先からわずかな明りが見え隠れしていた。
茶屋からさほど遠いわけではないようで、辺りに気を配りながら進んでいく。
「しかしあの餓鬼は何でこんなとこでおめえの親父を殺したんだ?」
「魂を好んで食らうのが餓鬼の習性です。そこに目をつけたのでは?」
「幻魔界では命を落とすものなどどこにでもいる。ここには法など存在しない。
ただの気まぐれである可能性が高い」
「ふん。好き放題できるのはいいことじゃねえか。そいつが魂を糧に生きてるってなら、それは
悪いことでもなんでもねえだろ……そのように作った神は正直気に入らねえけどな」
「なぁなぁご主人様! 面白い話して欲しいだ。ナナーは退屈だよ」
「おもしれぇ話か。聞かせてやってもいいけどよ。もうつくころだろ。
幻浅の玄とやらによ」
「もうとっくに見えている。視界にうつっているだろう」
「あん? ……そういうことかよ。クックックいいじゃねえか。その巨大さ! 無価値な俺にこそ
ふさわしい。すべてを飲み込み、取り込ませろ……あれは俺の獲物だ!」
アスピドケローネから飛び降りて一気に見える山へと突撃するベリアル。
わずかに山が動くように見え、それと同時に大きな音を立て始める。
「ボオオオオオオオオオオ!」
「うるせえ! 足りねえんだよ力が! 今のままじゃソロモンに向かう前に死にかねねえからな!」
跳躍しながら詠唱を開始するベリアル。
アスピドケローネからはナナーがご主人を助けるべく降りようとしているところをジェネストに
止められていた。
「離すだ! ご主人様のとこに行くだ! 危ないだ!」
「いけませんよ。邪魔をすれば彼は怒りだすでしょう。今は黙って見ていなさい……お手並み
拝見といったところでしょうか」
「幻浅の玄。気性は大人しいが……どうやら敵として認識したようだぞ」
山のような巨体から見え隠れする小さな尻尾を振り回すと、大きく瘴気が発生する。
白いホコリも舞い上がり、視界はかなり悪い。
「ちっ。ここだと呼び出せねえか……だが!」
山へと攻撃をしかけるように動いていたが、山の上へ到着すると違和感を覚えるベリアル。
地面に耳を当てると、その場に胡坐をかいた。
「くっ……はっはっはっは! おいおい、見掛け倒しとはまさにこのことだな。
入り口は……そこか?」
「ボオオオオオオオオオオ!」
山のようなソレはベリアルが上に乗ると、地響きを起こして動き出した!
全長数千メートルほどもある巨体が露になる。
「だからうるせえっての。中で操作してるんだろ。そこの池からか……?」
山の上部分は瘴気を発しておらず、池も比較的透き通った水に見える。
急ぎ池へと飛び込むと、内側にはいくつか穴が開いていた。
道を探すのが面倒になったベリアルは、エルゲンを倒した時の剣を引き出す。
ラーヴァティン。その魔剣は異形であり、まともに使える剣の艇をなしていない。
試してみるか……と一振りするが、まるで思い通りにはならないようだった。
「いいぜ、言うこと利かせてやるよ……黒星の使い方を見せてやる。
黒星……ブラックヘイロー!」
黒い無数の輪が現れ、無数の道を造っていた岩肌を破壊していく。
次々に放たれていくブラックヘイローにより、道は一本の巨大な道となった。
出来た道先からわずかな明りが見え隠れしていた。
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