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第2章 離れ離れの2人の心
第4話 兵役全体訓練
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兵役全体訓練の日がやって来た。
兵役全体訓練とは年に一度、学校卒業後の一般市民が年齢順に訓練を行うものだ。
リーリラは少しばかりの胸も念の為に布で巻き、白シャツに生ズボンに着替え、騎士服と同じ紺色の上着を羽織る。
朝食を取るため食堂に向かうとカイルがいた。
ーーうわぁ、今日もいるよ
心の中で溜息をつく。
気を取り直し、焼き立てパン美味しいなぁとモグモグ食べていると、
「ラリー、食欲なさそうだな。訓練休んだらどうだ」
ジャックがポツリと言う。
いや、メチャクチャ朝からお腹すいてるし、何を言っているだろうと首を傾げながら
「全然大丈夫だけど…お母さん、パンもう一つ食べたい」
「そうね、訓練だもの。お腹減るから食べていきなさい」
二人がピクリと動く。
「はーい、モグモグ」
「ラリー、体調悪そうだ。訓練休め」
今度はカイルがぶっきらぼうに言う。
「すこぶる体調良好です~。じゃあ、ご馳走様。行ってきまぁーす」
「待てーって行ってしまった!」
ジャックが止めるのも聞かずにパタンと扉を閉まる。
「父さん、しっかり止めてください!!怪我をしたらどうするですか!!」
「お前こそ、あんなきつく言ったら余計逆効果だろう!」
「きつくありません。いつも通りです」
ルマンダは二人のやりとりを見てあはははと笑い出す。
「あんな遠回しなやり方わからないわよ。行かないで欲しいなら、わかりやすく説明してあげないと。カイル、あなたもその態度いつまで続けるつもりなの。姫様の想いがあるならそのぶっきらぼうな態度は嫌われるわよ」
ルマンダの一言にカイルはウッと動揺する。
「女は優しい男に弱いものなのよ~。そうそう毎回八百屋のミックからも高価な果物の貢ぎ物がすごいのよ。男の子で過ごしいてもモテモテね。王妃様が成人の祝いでいいお相手探すように姫様にいって言ったそうよ。もし、ドレスを着て会場に行ったらどうなるでしょうね~あらっ、こんな時間よ?あなた達、さっさと行けば」
「朝からベラベラとよく喋る」
とジャックは席を立つ。カイルは母から聞かされた内容に動揺し席から動けずにいた。
リーリラは訓練場に向かうと知り合いがすでに集まっていた。
「ミック、おはよう!」
「よぉ、ラリー!この前薬サンキュー!」
「いいよ!この前、果物貰ったし」
周りにいる顔見知り達にもおはようと挨拶をかわす。訓練は体操から始まり、素振り、剣を用いて騎士を相手に鍛錬する。最後に戦闘時の戦略なと周辺国の最新情報を聞いて終わるのだ。指導する騎士達が紹介される。中には友人のエドモンドがいた。家業である神殿で働くのでなく騎士の道に選んだのだ。
騎士は身体を動かすことが好きなエドモンドにピッタリな仕事なのだ。
昔と比べて成長した彼は身長もすらりと伸び身体つきも鍛えているためしっかりとしている。エドモンドはリーリラ達に気が付きニコッて笑い小さく手を振った。愛嬌のあるところは前から変わってない。
「ゴホン!!」
この行為を遮るようにカイルが咳払いする。
「どうして訓練に兄さんがいるんだよ」
とリーリラは小さく呟いた。
「組になり体操を始めろ!」
「ミック、組もう!」
「いいぞ!」
脚を開き、背中を押してもらう。
「いちにさんしー、いにさんしー。」
「ラリー、気のせいかな…、お前の兄さんすごい睨んでいるような気がするんだけど…」
「へぇ??」
と顔を上げてカイル兄さんを見ると目が怒ってるような…、でも顔を合わすたび不機嫌だしなぁと思いながら、
「……。大丈夫。いつも不機嫌だから」
「確かにいつも怖い顔してるよな。大変だな、兄弟仲悪いと」
「本当だよ。早く家出たいよ。交代しよう、今度は僕が背中押すよ」
ミックの身体が硬く大きな背中をリーリラは身体を密接させて押し始める。
「いちにさんしー、いにさんしー」
あまりに視線を感じ、顔を怖々上げるとカイルの顔はより怒り顔に変化していた。
「そこダメだ!手緩い!やる気を出せ!」
とカイルが怒鳴りミックは別の騎士とリーリラはカイルと組み体操を始めさせられた。
「兄さん、怒っている?」
「………」
いつも通りの無言攻撃にリーリラは言葉を発することをやめる。
兵役全体訓練とは年に一度、学校卒業後の一般市民が年齢順に訓練を行うものだ。
リーリラは少しばかりの胸も念の為に布で巻き、白シャツに生ズボンに着替え、騎士服と同じ紺色の上着を羽織る。
朝食を取るため食堂に向かうとカイルがいた。
ーーうわぁ、今日もいるよ
心の中で溜息をつく。
気を取り直し、焼き立てパン美味しいなぁとモグモグ食べていると、
「ラリー、食欲なさそうだな。訓練休んだらどうだ」
ジャックがポツリと言う。
いや、メチャクチャ朝からお腹すいてるし、何を言っているだろうと首を傾げながら
「全然大丈夫だけど…お母さん、パンもう一つ食べたい」
「そうね、訓練だもの。お腹減るから食べていきなさい」
二人がピクリと動く。
「はーい、モグモグ」
「ラリー、体調悪そうだ。訓練休め」
今度はカイルがぶっきらぼうに言う。
「すこぶる体調良好です~。じゃあ、ご馳走様。行ってきまぁーす」
「待てーって行ってしまった!」
ジャックが止めるのも聞かずにパタンと扉を閉まる。
「父さん、しっかり止めてください!!怪我をしたらどうするですか!!」
「お前こそ、あんなきつく言ったら余計逆効果だろう!」
「きつくありません。いつも通りです」
ルマンダは二人のやりとりを見てあはははと笑い出す。
「あんな遠回しなやり方わからないわよ。行かないで欲しいなら、わかりやすく説明してあげないと。カイル、あなたもその態度いつまで続けるつもりなの。姫様の想いがあるならそのぶっきらぼうな態度は嫌われるわよ」
ルマンダの一言にカイルはウッと動揺する。
「女は優しい男に弱いものなのよ~。そうそう毎回八百屋のミックからも高価な果物の貢ぎ物がすごいのよ。男の子で過ごしいてもモテモテね。王妃様が成人の祝いでいいお相手探すように姫様にいって言ったそうよ。もし、ドレスを着て会場に行ったらどうなるでしょうね~あらっ、こんな時間よ?あなた達、さっさと行けば」
「朝からベラベラとよく喋る」
とジャックは席を立つ。カイルは母から聞かされた内容に動揺し席から動けずにいた。
リーリラは訓練場に向かうと知り合いがすでに集まっていた。
「ミック、おはよう!」
「よぉ、ラリー!この前薬サンキュー!」
「いいよ!この前、果物貰ったし」
周りにいる顔見知り達にもおはようと挨拶をかわす。訓練は体操から始まり、素振り、剣を用いて騎士を相手に鍛錬する。最後に戦闘時の戦略なと周辺国の最新情報を聞いて終わるのだ。指導する騎士達が紹介される。中には友人のエドモンドがいた。家業である神殿で働くのでなく騎士の道に選んだのだ。
騎士は身体を動かすことが好きなエドモンドにピッタリな仕事なのだ。
昔と比べて成長した彼は身長もすらりと伸び身体つきも鍛えているためしっかりとしている。エドモンドはリーリラ達に気が付きニコッて笑い小さく手を振った。愛嬌のあるところは前から変わってない。
「ゴホン!!」
この行為を遮るようにカイルが咳払いする。
「どうして訓練に兄さんがいるんだよ」
とリーリラは小さく呟いた。
「組になり体操を始めろ!」
「ミック、組もう!」
「いいぞ!」
脚を開き、背中を押してもらう。
「いちにさんしー、いにさんしー。」
「ラリー、気のせいかな…、お前の兄さんすごい睨んでいるような気がするんだけど…」
「へぇ??」
と顔を上げてカイル兄さんを見ると目が怒ってるような…、でも顔を合わすたび不機嫌だしなぁと思いながら、
「……。大丈夫。いつも不機嫌だから」
「確かにいつも怖い顔してるよな。大変だな、兄弟仲悪いと」
「本当だよ。早く家出たいよ。交代しよう、今度は僕が背中押すよ」
ミックの身体が硬く大きな背中をリーリラは身体を密接させて押し始める。
「いちにさんしー、いにさんしー」
あまりに視線を感じ、顔を怖々上げるとカイルの顔はより怒り顔に変化していた。
「そこダメだ!手緩い!やる気を出せ!」
とカイルが怒鳴りミックは別の騎士とリーリラはカイルと組み体操を始めさせられた。
「兄さん、怒っている?」
「………」
いつも通りの無言攻撃にリーリラは言葉を発することをやめる。
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