【完結】ノーザンランドの白き獅子リーラ 〜捨てられた王女は人生逆転復活劇は起こしたくない〜

京極冨蘭

文字の大きさ
40 / 240
第3章 ノーザンランド一族の呪い

第11話 鍛錬見学と希望への道標(クリストファー目線)

しおりを挟む

真っ暗な闇。

  あぁ、また夢か…

森の中だろうか木々の揺れる音がする。葉がこすれる音がする。

助けてくれー。
剣で切られ音がする。

ザクっ。

血が飛び散る音がする。 

パシッ

殺さないでくれー。

グサっ。

やめてくれー。死にたくないー。

バサっ。


  もういい加減にしてくれ。


  また、女の叫び声だ。

やめてー。
助けてー。

  助けれるなら私が助けてやりたい…

助けて、ダリル。

ダリル…


はっと目が覚めた。
今日は、特に鮮明に声が聞こえた。
ダリルと…

ダリル。偶然の一致か…

もしかするとダリルに助けを求めろと神からのお告げなのか…


 その日の夕刻、自然と足は騎士学校に向かっていた。

 訓練場ではダリルとリーラが鍛錬中だった。そして周りにいるものはみな手を止め2人の剣さばきを見ていた。
 あぁ、見ずにはいられないだろう。互いが本気で打ち合っている。ダリルは一切妥協せずにリーラの体に打ち込みをいれる。本来なら暫く痛み動けないはずだが呼吸を整えすぐに打ち始める。先程打ち込みを入れられた箇所に再び剣が来ると寸座で受け止めている。あまりに早い2人の打ち合いは騎士候補生の練習の枠を超えている。何かに追い詰められているかのように必死に強くさせたい、強くなりたい、お互いの気持ちを強く感じる。昔の私を見ているようだ。あの時は必死で強くなる為にハルクに鍛えられた。
 2人の剣さばきに圧倒されていた外野は自分達も負けていられないと練習を始めた。なかなか良い相乗効果を出している。私は2人を見つめているとダリルは私に気づき手を止めリーラに休憩を促した。

「陛下、こちらに起こしになられるとは。どうかなされました?」
ダリルが気遣うようにこちらにやって来た。 

「稽古、なかなか精が出るな。周りにもいい影響が出ている。娘に容赦なく打ち込むんだな」

「あはは。いやぁ、私も持てる全てを娘に託したくてついつい本気になってしまいました…」

「まぁ、人それぞれ親子関係はあるだろうしな。
今日はダリルに用事があったのだ。
明日ビルと薬草採取に行くと聞いた。私も同行したいのだか…」

「えっ?」
「えー!」
ダリルの娘が気付くと私達の話を聞いていた。

「リーラ!いつのまに!」

「陛下も一緒に来るんですか…」
酷く嫌そうな顔をされる。私が行くのがまずいのだろうか。

「だって、ずっと敬語使わーふがふが
ふがふが」
急に他の騎士候補生達がやって来てリーラの口塞ぎどこかへ連れて行った。
ルマンドが焦ったように目を泳がせて、
「陛下、失礼しました。どうぞ、ダリル先生とお話を続けてください。では私達は反省会があるので失礼します。」
と皆で素早く去って行った。私は避けられているのだろうか。

「陛下、先程の失言お許しください。娘はなかなか礼儀を学べておりません。明日は娘も参ります。恐らく口を開く度に失言の連続になるかと…」

 あの娘そこまでひどいのか…と思うとくくくっと笑いがこみ上げてくる。
「大丈夫だ。処罰など言わぬから安心してくれ。ダリルも娘がじゃじゃ馬だと大変だな」
と話すと、
「全くその通りです。しかし、陛下の護衛はどうするのです?娘は足手まといになるかと。今から護衛人数を編成…うん?」
ダリルの肩をトントンと叩きニヤッと笑う男がそこにいた。

「俺が一緒に行こう。それならば少人数で動けるだろう」

「おまえ、また来たのか。ハルク」
 本当に総隊長の仕事しているのかと言われガハハと笑いごまかしているな。本気でさぼっているのではないだろうか、このじじい。

「まぁ、良い。隊長2人が護衛として居れば問題ないだろう」

「陛下のお供など久しぶりですな。よくビルと合わせて3人で戦場を走り抜けましたなぁ」

「あぁ、本当だ」

13歳から父や兄のためにずっと走ってきた。よく死なずにこれたのもハルクのおかげでもある。

「ダリル、打ち合いしよう!」

「またか。お前、暇なのか?」
と2人の打ち合いが始まる。話を聞くとよく打ち合いをするらしい。
 隊長クラスの打ち合いなどなかなか見れない。これを目当てに多くの騎士が見学にやってくる。二人は向き合い打ち合いを始める。
シュッ、カン、シュッ、カン。
力強く響く速さを伴う剣の音。先程の娘との打ち合いとは全く違う。周りに歓声が沸き始めた。また、騎士が増え始めたので私は残りの執務を片付ける為に訓練場を後にした。

 
 私はいつも通り浅い眠りで翌日を迎えた。しかし、いつも重苦しい朝を迎えるのだか今日はなぜが違った。私は期待してるんだろう。

 彼ならなんとかしてくれるのではないかと…我ら一族の呪いを。




しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。

たまこ
恋愛
 公爵の専属執事ハロルドは、美しい容姿に関わらず氷のように冷徹であり、多くの女性に思いを寄せられる。しかし、公爵の娘の侍女ソフィアだけは、ハロルドに見向きもしない。  ある日、ハロルドはソフィアの真っ直ぐすぎる内面に気付き、恋に落ちる。それからハロルドは、毎日ソフィアを口説き続けるが、ソフィアは靡いてくれないまま、五年の月日が経っていた。 ※『王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく。』のスピンオフ作品ですが、こちらだけでも楽しめるようになっております。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

異世界の花嫁?お断りします。

momo6
恋愛
三十路を過ぎたOL 椿(つばき)は帰宅後、地震に見舞われる。気付いたら異世界にいた。 そこで出逢った王子に求婚を申し込まれましたけど、 知らない人と結婚なんてお断りです。 貞操の危機を感じ、逃げ出した先に居たのは妖精王ですって? 甘ったるい愛を囁いてもダメです。 異世界に来たなら、この世界を楽しむのが先です!! 恋愛よりも衣食住。これが大事です! お金が無くては生活出来ません!働いて稼いで、美味しい物を食べるんです(๑>◡<๑) ・・・えっ?全部ある? 働かなくてもいい? ーーー惑わされません!甘い誘惑には罠が付き物です! ***** 目に止めていただき、ありがとうございます(〃ω〃) 未熟な所もありますが 楽しんで頂けたから幸いです。

婚約者の本性を暴こうとメイドになったら溺愛されました!

柿崎まつる
恋愛
世継ぎの王女アリスには完璧な婚約者がいる。侯爵家次男のグラシアンだ。容姿端麗・文武両道。名声を求めず、穏やかで他人に優しい。アリスにも紳士的に対応する。だが、完璧すぎる婚約者にかえって不信を覚えたアリスは、彼の本性を探るため侯爵家にメイドとして潜入する。2022eロマンスロイヤル大賞、コミック原作賞を受賞しました。

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

崖っぷち令嬢は冷血皇帝のお世話係〜侍女のはずが皇帝妃になるみたいです〜

束原ミヤコ
恋愛
ティディス・クリスティスは、没落寸前の貧乏な伯爵家の令嬢である。 家のために王宮で働く侍女に仕官したは良いけれど、緊張のせいでまともに話せず、面接で落とされそうになってしまう。 「家族のため、なんでもするからどうか働かせてください」と泣きついて、手に入れた仕事は――冷血皇帝と巷で噂されている、冷酷冷血名前を呼んだだけで子供が泣くと言われているレイシールド・ガルディアス皇帝陛下のお世話係だった。 皇帝レイシールドは気難しく、人を傍に置きたがらない。 今まで何人もの侍女が、レイシールドが恐ろしくて泣きながら辞めていったのだという。 ティディスは決意する。なんとしてでも、お仕事をやりとげて、没落から家を救わなければ……! 心根の優しいお世話係の令嬢と、無口で不器用な皇帝陛下の話です。

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

捨てられ聖女は、王太子殿下の契約花嫁。彼の呪いを解けるのは、わたしだけでした。

鷹凪きら
恋愛
「力を失いかけた聖女を、いつまでも生かしておくと思ったか?」 聖女の力を使い果たしたヴェータ国の王女シェラは、王となった兄から廃棄宣告を受ける。 死を覚悟したが、一人の男によって強引に連れ去られたことにより、命を繋ぎとめた。 シェラをさらったのは、敵国であるアレストリアの王太子ルディオ。 「君が生きたいと願うなら、ひとつだけ方法がある」 それは彼と結婚し、敵国アレストリアの王太子妃となること。 生き延びるために、シェラは提案を受け入れる。 これは互いの利益のための契約結婚。 初めから分かっていたはずなのに、彼の優しさに惹かれていってしまう。 しかしある事件をきっかけに、ルディオはシェラと距離をとり始めて……? ……分かりました。 この際ですから、いっそあたって砕けてみましょう。 夫を好きになったっていいですよね? シェラはひっそりと決意を固める。 彼が恐ろしい呪いを抱えているとも知らずに…… ※『ネコ科王子の手なずけ方』シリーズの三作目、王太子編となります。 主人公が変わっているので、単体で読めます。

処理中です...