異世界探偵 柊朝嗣

いなお

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少女の依頼

父の行方

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私は人を見るとき、まず身に付けているものから観察をする。
ある人は履いている靴を。
また、ある人は袖口から見るそうだが、
それらは私にとっては二の次だ。
別段そういう人達のやり方に異を唱える訳ではない。


シェリアの身形は決して裕福そうなものとは言い難かった。
ぱっと見の外見はフリルや装飾品やらで規制の製品とはなんら変わりのないイメージを植え付けさせるが、使われている生地や装飾品はおそらくスラムで流通しているものだろう。
上手く縫い目がわからないようにされているが修繕の後もいくつか見える。

「私の父を探して欲しいのです」
「人探しかい?であれば国の駐屯兵に頼めば良いのでは?」
「そうなのですが・・・」
「なるほど、ではやはりラーベルなのですね」

言い淀むシェリア嬢。
自分の身分を言い当てられて動揺したのか、肩をビクつかした。
この世界、ルーランドでは主に3段階の階級制度がある。
一番上が所謂富裕層のノーブル。
貴族やら王族やらのことだ。
これらに属するものは毎日贅沢の如くを尽くしていると耳にしたことがある。
真ん中の層は富裕層からの恩恵を受けている中層階級のプレーブル。
そして、富裕層の恩恵も受けれず、ノーブルとプレーブルから蔑まれているラーベルだ。
ラーベルはノーブルの庇護下についていないため、国の医療機関、公的機関などが利用することが許されていない。
つまり人探しを依頼しようとしても、門前払いを食らってしまうのだ。
プレーブルとラーベルの差は国に金を収めることができるか否かだ。
元の世界、日本の通貨で言えば200万円程の額を一年に一回納めなければならない。
私も何とかして金を調達できたが故今はプレーブルだが、次もまたプレーブルで要られる保証がないのが実情だ。



「ああ、失礼。驚かす気は無かったんだ。アンジェリカさんから言われなかったのかい?私は正当な報酬さえ貰えるならば誰からの依頼でも受けると」
「はい、ぞ、存じ上げています」
「あまり肩肘を張った喋り方もいいさ。逆にこちらが緊張してしまう」
「いえ、その、これは癖みたいなものですので」
「そうか、では仕方がない。それで、君の父がどこにいるかの心あたりは?」
「父は一月ほど前に、城下町で金になる仕事を見つけたと言って出て行ったきり戻ってこなくなりました。何度も城下町へ足を運んだのですが、何の手がかりもつかめませんでした」
「なるほど、もしやこの町の外に行かれた可能性は?」
「いえ、本当に城下町に行くことしか伝えてられていなかったのでなんとも言えないのです。申し訳ありません」
「因みにあなたの母親は?」
「・・・母は数年前に他界して、父が失踪する前は2人で暮らしていました」

少しだけ、やってしまったと思ってしまった。
興味本位で聞いたわけではないが、いかんせんこのような仕事をしていると聞きずらいことを躊躇わずに口にしてしまうのは悪い癖だ。

「失礼。言いにくいことを聞いてしまったね。しかし、困った。流石にこの国以外に出られたら、正直専門外になる。私が調査できるのは、あなたの父が精々この国にいる場合のみだ。国外に出ているとわかった場合にはそこで調査は打ち切らせてもらうがそれでもいいかい?」
「はい、構いません」
「では報酬の話だ。私は調査費は依頼主にとってもらうことを是としている。その為、後払いだ。成功報酬と調査費で、今回だと10万ランペル前後だろうが支払いは大丈夫そうかね?」
「お金の貯蓄はありますのでなんとかなるかと思います」
「結構、では契約成立だ」

握手を求め、シェリアの前に手を差し出す。
しかし、シェリアは差し出された手の意味が分からずポカンとしている。
「ああ、そうだった」と私は手を引っ込める。
このルーランドの世界では、握手という文化がないようで、最初はコミュニケーションを取るのがすごい大変だった。
後にわかったことだが、握手と同等の行為は相手の頭を撫で合うという、何とも恥ずかしい行為なのだが、これには何とも言い難い抵抗がある。
これがカルチャーショックというやつかと頭を悩ませたが、「郷に入っては郷に従え」という言葉もある。
きっとシェリアから見れば私の顔は真っ赤だっただろうが私はシェリアの頭を撫で、シェリアは私の頭を撫でた。
無論、彼女の手が届きやすいようにきちんと屈んで中腰になったさ。
しかし私の年齢が21に対して彼女は中、高校生ぐらいの歳だと思うとなんとも言えない犯罪臭がして来る。
仮にここが日本であったら完全に事案案件だ。
私は流されゆくまま裁判の証言台に立たされていたであろう。
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