精霊使いと冠位の10人

いなお

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黒魔の使い

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「戻ったぜリーダー」

ヴォイドとカトレアがいつかの廃墟に足を踏み入れる。
一室には彼らがリーダーと称している白髪の男が座っていた。

「遅い、何をしていた」

咎めるように二人を睨みつける。
カトレアは肩をビクつかし、ヴォイドは首を横に振る仕草をする。
沈黙を破るようにカトレアは口を開いた。

「そ、それは」
「聞いてくれよ、こいつ、任務失敗した上にあの実験体だった雷の精霊奪われてんの」
「なに?」

カトレアが喋ろうとするのを遮るように、ヴォイドは口を挟む。
それに対して、カトレアはヴォイドを睨むが、ドスの効いた声を出す白髪の男の視線を感じ、すぐに目線を下に下げた。

「本当かカトレア」
「......ごめんなさい、しくじったわ」

白髪の男はゆっくりとカトレアに手のひらを向けようとする。
その様子をみてカトレアと男の間にヴォイドが割って入った。

「まあまあ落ち着けよリーダー。次は俺にやらせてくれんだろ?俺が失敗してからでいいじゃんか?」
「どけ、ヴォイド」
「だっからー分かんないかな。今カトレア消しちゃったらこの地区、俺とリーダーだけになっちゃうじゃん。流石に二人でやるのはむさ苦しいって」

白髪の男は今まさにカトレアに向かい魔術を放とうとした。
それも殺すつもりでだ。
ヴォイドはそれを察して割って入った。
しかし、それはカトレアを助ける為でも擁護する為でもない。
その真意を分かっていたかどうかわからないが白髪の男はヴォイドの要求を飲むように手を下ろした。

「どーも」

そう礼を言った後、カトレアに向けてウインクをするが、カトレアはそれを無視するように顔を背けた。
ヴォイドは肩を落とし、白髪の男に向き直る。

「それから報告がもう一つ、びっくりすることに炎だけじゃなく風の精霊も少年に憑いてた」
「二体の精霊だと?」

白髪の男は考えるように手を顎に当てて思考に耽る。
しかし、すぐにその姿勢を崩す。

「そうか、しかし、その精霊達は置いておけ」
「なんだって?俺にやらせてくれるって約束は?」

ここに来てヴォイドは苛立ちを表に出した。
元々はカトレアが失敗したら康太の持つ精霊はヴォイドが回収してもいいという約束をしていたからだ。

「計画が早まった、もう精霊は十分だ」

その言葉にヴォイドとカトレアは両目を見開く。
自分の思っていた通りの展開にならず、ヴォイドは悪態をつき、舌打ちをする。

「一週間後、魔法省は壊滅する」
「何で?まだ精霊足りないって話じゃ?」

カトレアの質問に白髪の男は口元を歪ませ笑いをこらえるようにそれに答えた。

「なに、偶然の産物だ。数を埋めるに値するものが生まれてな」



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