8 / 9
八つ
しおりを挟む
ヘレンが飛び込んだ部屋は先程の暗い部屋とは違って明るく、部屋の隅の角までしっかり見えています。
天井を見上げると太陽とまではいかなくとも見ると目が眩む明るい光源が規則的に並んでいて、それが人工的なものだと言うのはすぐに分かります。壁や床もレンガや石とは全く違う凹凸のない硬い素材で出来ており部屋を天井の灯りを反射させる工夫なのか一面を白く塗られています。
「ふむ」
ヘレンは手を壁に付けて歩きながら擦ります。手甲がガリガリと擦れる音を聴きながら部屋を1周、罠の気配はありません、破った扉を見ても先程の道を戻るだけ、ヘレンは考えます。
もしくはここが召喚者を召喚するだけの施設なら道中の罠の設置、敵の配置、一方通行の扉はあまりに大袈裟です。人が作った施設と言うよりダンジョン、しかし、通常のダンジョンならば敵を倒したり暗号や鍵となるアイテムを提示すれば更に下層へと進めますがこの部屋にはそのどれもありません。強いてゆうならスライムでしょう。
ヘレンは貼り付けたスライムを見ます。上半身から伸びた触手が蹴り飛ばした足に届きそうだったのでスライムとは反対の部屋の隅まで蹴り飛ばします。触手の動きが少し弱ったのは気のせいではないでしょう。
その後部屋を2周して天井や床にも手を付いて隠し扉や仕掛けが無いか調べますが見つける事は出来ませんでした。
「ふむ……」
ヘレンはスライムを見つめます。もうスライムの触手は伸びに伸びて植物の根や蔦に見えるほどの量と長さでした。
ヘレンは壁に張り付いた触手の先端を引き剥がします。スライムの触手はビタビタと手の中で暴れますがヘレンは構わず語りかけます。
「おい。お前は言葉は分かるか?」
触手は動きを止めてヘレンの顔に先端を向けます。
「……」
暫くヘレンは黙って触手を眺めます。
触手も動きません。
どの位スライムとヘレンは見つめ合ったでしょうか。ただ見つめ合っただけです。なのに何かをヘレンは感じます。
この時だけは祖国の仇も忘れてスライムの虜になります。
「お前は」
途端、部屋が傾いて頬に床がぶつかります。手も、足も動きません、暫くしてから自分が倒れてる事に気が付いたヘレンは目を動かして部屋を見渡します。
最初はスライムに何かされたのではと考えましたが、扉にさっき喰われた召喚者を見付けてヘレンはこいつだ。と確信を得ています。
男の召喚者は立っていると言うより埋まっていると表現した方が良いかもしれません。男の無くなった下半身の代わりにあったのはヘレンが倒した黒いスケルトン。の、残骸の山です。
天井を見上げると太陽とまではいかなくとも見ると目が眩む明るい光源が規則的に並んでいて、それが人工的なものだと言うのはすぐに分かります。壁や床もレンガや石とは全く違う凹凸のない硬い素材で出来ており部屋を天井の灯りを反射させる工夫なのか一面を白く塗られています。
「ふむ」
ヘレンは手を壁に付けて歩きながら擦ります。手甲がガリガリと擦れる音を聴きながら部屋を1周、罠の気配はありません、破った扉を見ても先程の道を戻るだけ、ヘレンは考えます。
もしくはここが召喚者を召喚するだけの施設なら道中の罠の設置、敵の配置、一方通行の扉はあまりに大袈裟です。人が作った施設と言うよりダンジョン、しかし、通常のダンジョンならば敵を倒したり暗号や鍵となるアイテムを提示すれば更に下層へと進めますがこの部屋にはそのどれもありません。強いてゆうならスライムでしょう。
ヘレンは貼り付けたスライムを見ます。上半身から伸びた触手が蹴り飛ばした足に届きそうだったのでスライムとは反対の部屋の隅まで蹴り飛ばします。触手の動きが少し弱ったのは気のせいではないでしょう。
その後部屋を2周して天井や床にも手を付いて隠し扉や仕掛けが無いか調べますが見つける事は出来ませんでした。
「ふむ……」
ヘレンはスライムを見つめます。もうスライムの触手は伸びに伸びて植物の根や蔦に見えるほどの量と長さでした。
ヘレンは壁に張り付いた触手の先端を引き剥がします。スライムの触手はビタビタと手の中で暴れますがヘレンは構わず語りかけます。
「おい。お前は言葉は分かるか?」
触手は動きを止めてヘレンの顔に先端を向けます。
「……」
暫くヘレンは黙って触手を眺めます。
触手も動きません。
どの位スライムとヘレンは見つめ合ったでしょうか。ただ見つめ合っただけです。なのに何かをヘレンは感じます。
この時だけは祖国の仇も忘れてスライムの虜になります。
「お前は」
途端、部屋が傾いて頬に床がぶつかります。手も、足も動きません、暫くしてから自分が倒れてる事に気が付いたヘレンは目を動かして部屋を見渡します。
最初はスライムに何かされたのではと考えましたが、扉にさっき喰われた召喚者を見付けてヘレンはこいつだ。と確信を得ています。
男の召喚者は立っていると言うより埋まっていると表現した方が良いかもしれません。男の無くなった下半身の代わりにあったのはヘレンが倒した黒いスケルトン。の、残骸の山です。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる