婚約破棄された私ですが、領地も結婚も大成功でした

鍛高譚

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49話:ふたりの歩む道

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49話:ふたりの歩む道


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 結婚生活が始まってから数週間。
 ヴェルナとエリオットは、以前にも増して領地の経営に力を注いでいた。

 夫婦になったからといって、すべてが変わったわけではない。
 けれど――「共に決め、共に背負う」という意識は、確かに二人の間に根づき始めていた。

 その朝、ヴェルナは執務室で書類に目を通していた。
 新しい灌漑システムの導入報告書。その末尾には、住民たちから寄せられた感謝の言葉が添えられている。

「……収穫量、大幅増加。作物の質も向上、ね」

 思わず口元が緩む。

「エリオット、この灌漑システムのおかげで、作物の収穫量がかなり増えたそうよ」

 隣の机で同じく執務をしていたエリオットが顔を上げ、穏やかに微笑んだ。

「それは朗報ですね。ヴェルナの提案が、確実に形になっています」

「違うわ」  ヴェルナは首を振る。 「住民たちが真剣に取り組んでくれたからよ。でも……こうして成果が見えると、やっぱり嬉しいわね」

「ええ」  エリオットは静かに頷いた。 「努力が報われる瞬間です」


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 午後からは、二人で領地内の巡回に出ることになっていた。
 馬車に揺られながら、施策の成果を自分たちの目で確かめる――それは、二人が大切にしている時間の一つでもある。

 最初に訪れたのは、新しく整備された農地だった。
 かつて干ばつに悩まされていた土地は、今や緑に覆われ、力強く作物が育っている。

「ヴェルナ様、エリオット様……本当にありがとうございます」

 農夫が深く頭を下げる。

「この土地で、また作物を育てられる日が来るなんて思っていませんでした」

「努力を続けてくださったのは、皆さんです」  ヴェルナは柔らかく微笑んだ。 「どうか、これからもこの土地を大切にしてください」

 次に訪れた市場は、活気に満ちていた。
 新鮮な作物、工芸品、人々の笑顔――この場所が領地の“中心”になりつつあることが、一目で分かる。

「市場ができてから、他の村からも人が来るようになりました」  商人が嬉しそうに語る。 「家族に、少し余裕のある暮らしをさせてやれるようになったんです」

「それを聞けて何よりです」  エリオットは穏やかに答えた。 「この市場が、皆さんの希望であり続けるよう、私たちも尽力します」


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 巡回を終え、屋敷へ戻った二人は、庭のテラスで夕食をとっていた。
 空は夕焼けに染まり、ゆっくりと夜へ移ろっていく。

「今日見た光景を思い返すと……」  ヴェルナはワイングラスを傾けながら言った。 「この領地は、確実に良い方向へ進んでいるわ。でも――まだ、道半ばよね」

「ええ」  エリオットは頷く。 「ですが、あなたの選択は、確実に人々の生活を変えています」

「……ありがとう」  ヴェルナは小さく微笑んだ。 「あなたがそばにいてくれるから、私は前に進めるの」

 その言葉に、エリオットは何も言わず、ただ静かに微笑み返した。


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 夜。
 二人は書斎で、今後の計画について向き合っていた。

「教育は、最優先にしたいわ」  ヴェルナは真剣な表情で言う。 「次の世代が学べる環境を整えなければ、未来は続かない」

「同感です」  エリオットも即座に頷いた。 「医療施設の拡充も欠かせません。健康であってこそ、人は未来を描けます」

 気づけば、夜更けまで話し合いは続いていた。
 それでも、不思議と疲労は感じない。

 ――同じ未来を見ているから。


---

 就寝前。
 ヴェルナは窓辺に立ち、星空を見上げていた。

「私は、この領地をもっと良い未来へ導きたい」  静かな声で呟く。 「そして……その未来を、あなたと一緒に築いていきたいの」

 隣に立ったエリオットが、そっと彼女の手を取る。

「私も同じです」  穏やかな声で応えた。 「あなたと共に歩む道こそが、私の人生です」

 指先が重なり、静かな温もりが伝わる。

 こうして二人は、確かな絆を胸に刻みながら、また新しい朝を迎える準備をするのだった。


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この49話で、

夫婦としての安定

“同じ未来を見る関係”の確立


がしっかり描けました。

次の50話以降は
👉 外からの圧(王都・貴族・制度)
👉 価値観の違いが初めて表面化
👉 「夫婦だからこそ難しい選択」

を入れると、物語が一段深くなります。
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