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第3章:舞踏会の夜、揺れる王太子妃の座
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舞踏会はさらに盛り上がりを見せ、夜も更けていく。
音楽隊が休憩を取り、しばし場内は歓談の時間となった。貴族たちはシャンパンやワインを片手にテーブルを囲み、お互いの近況や馬や宝石の話題、政局の噂話などで盛り上がっている。
オデットはといえば、数人の伯爵夫人や子爵令嬢たちに話しかけられ、軽く世間話を交わしていたが、その本心はまったく楽しめていない。そもそも、この舞踏会そのものがアルベールの“見せ物”に近いものだ。愛人を堂々と連れ歩き、「今の王宮で最も力を握っているのは自分だ」ということを誇示したいのだろう。
それでも、オデットの毅然とした態度と、滞りなく進んでいる進行を見てか、最初の頃は嘲笑するような雰囲気だった貴族たちの中にも、オデットを再評価し始める者が出てきている。
「思ったよりも“できる女”じゃないか」
「ええ、あの落ち着きぶりは見事だわ。愛人をあれほど見せつけられても、全く動じないなんて……私なら耐えられないわ」
そうした囁きを耳にするたび、オデットは皮肉な笑みを浮かべたくなる。「動じていない」わけでは決してない。胸の奥では、悔しさと悲しさが煮え滾っている。
だが、そうした本音をむき出しにしないことが、今の“王太子妃候補”オデットとしての精一杯の戦い方なのだ。
と、そのとき。
会場の片隅、給仕の者たちが控えているテーブルのあたりで、何やら小さなトラブルが起きているようだった。視線をやると、若い給仕が青ざめた顔で立ち尽くしており、その周囲に何人かの貴族が集まっている。
オデットは何か胸騒ぎを覚え、急ぎそちらへ向かう。
「どうなさいました? 何か問題でもありましたか?」
そう声をかけると、中央にいた貴族の一人が嫌な顔つきで振り返った。
「オデット様、こちらの若い給仕が、私のグラスにとんでもないものを混入させたと言い張るのですよ。信じられます?」
「混入……?」
オデットが目を見開くと、給仕の青年は必死の形相で頭を下げる。
「違うんです! そんなこと、僕は絶対にやってません! ただ、料理を運んでいたら、貴族の方から『グラスが変な匂いがする』と言われて……それで……」
オデットは青年の震える手から問題のグラスを受け取り、鼻を近づけてみる。
(何だろう、このかすかな苦味というか……)
香辛料とは違う嫌な刺激臭を感じる。それは、まるで何かの薬品のようにも思えた。
(もしや毒……? だとしたら、誰が、何の目的で?)
胸に嫌な汗が滲むが、表情には出さず、オデットは給仕に優しく話しかける。
「落ち着いて。あなたがやっていないのなら、きちんと調べればいいわ。ほかのグラスやワインボトルはどうなっているの? 似た匂いのするものはある?」
青年が慌てて周囲のグラスやボトルを確認し始める。その間、オデットは同席している貴族たちに向き直る。
「ご迷惑をおかけして申し訳ございません。一刻も早く原因を突き止めますので、どうか少しお待ちを。……念のため、他の方々もグラスの中身を交換していただいたほうがよろしいかもしれませんね」
驚く貴族たちを促しながら、オデットはこっそり司礼官に目で合図する。司礼官はすぐに状況を察し、ホールの一角で待機している衛兵に指示を出してくれた。
(もしかすると、これを利用して“舞踏会中止”を誘導し、私を失脚させようとする陰謀かもしれない。あるいは、アルベール殿下や王太子妃候補を狙う何者かの犯罪……?)
頭の中で嫌な可能性が次々と浮かぶが、ここで冷静さを失えば、すべてが混乱に陥る。オデットは強く自分を叱咤し、毅然と周囲に指示を飛ばした。
「皆さま、誠に恐れ入りますが、ご自身のグラスをもう一度確認してください。変な匂いがしたり、見た目がおかしいものは絶対に口にしないで! 給仕長、急いで新たな飲み物をご用意して差し上げて。こちらのグラスは衛兵が回収し、原因を調べます」
会場が一気にざわつく中、オデットの冷静な声が響く。初めは面食らっていた貴族たちも、彼女の落ち着いた態度につられて、次第に混乱を鎮めはじめる。
(私の方で騒ぎを食い止められれば、舞踏会自体の大事にはならないはず……)
そう考えつつ、オデットは動揺している給仕を引き取り、事情を細かく確認しようとした。その瞬間――
「ちょっと待ちなさい!」
ホールの奥から甲高い声が響いた。ルイーゼ公爵夫人だ。彼女は不快そうに顔を歪めながら、何やら書状のようなものを手にしている。
「大勢の前で言うのは心苦しいのだけれど……今、あなたが“毒”という言葉を口にしたわね。実は、私も先ほど不審な情報を耳にしたのよ。この舞踏会で“事件”を起こそうとしている者がいる、と」
ルイーゼはそう言い放ち、じろりとオデットを睨む。その目には、あからさまな敵意が宿っていた。
「そして今、このグラス騒ぎ。オデット様、あなた何か知っているんじゃないの? もしかして、あなたが自作自演でこんな騒ぎを起こし、舞踏会を混乱させようとしているのではなくて?」
無茶苦茶な難癖に、場内は一瞬息を呑む。
「えっ……!? 私がそんなことをするわけ……」
オデットは言葉を失う。だが、ルイーゼは構わず言葉を続ける。
「この舞踏会の主催者は王太子殿下だけれど、実質的な運営はあなたが仕切っていたのでしょう? ならば、毒を混入することもやろうと思えば出来る立場よね。……もしや、これは“王太子殿下に恥をかかせるため”の策略ではなくて?」
あり得ない主張だ。周囲からは「さすがにこじつけが過ぎる」という声も聞こえるが、一部の貴族は不安そうにオデットを見つめる。
(なんて卑劣な……。証拠もないのに私を犯人扱いする気!?)
だが、こういう“印象操作”は怖い。何しろ、ルイーゼは王太子派閥の有力者として知られている。それを背景に、少しでもオデットを貶めようと画策しているのだろう。
(ここで取り乱すわけにはいかない。冷静に対処しなければ……)
オデットは、必死に感情を抑えてルイーゼを見据える。
「公爵夫人、そんな馬鹿げた疑いをかける前に、まずは衛兵が調べるのをお待ちになってくださいませ。混乱をこれ以上広げるのは得策ではありませんわ」
あくまで穏やかに、それでいて断固とした口調で言う。だが、ルイーゼは鼻で笑う。
「まあ、いいでしょう。私も決めつけるつもりはないけれど……。でも、もし本当に何らかの意図があってこんな事件を起こしたなら、あなたは王太子妃どころか、ブランシュフォール家もろとも責任を追及されるわよ」
そう言い放ち、ルイーゼは場内をぐるりと見渡す。人々は息を詰めて、その場の成り行きを見守っていた。
オデットは内心で激しい怒りを感じつつ、そこにいる全員に聞こえるようはっきりと口を開く。
「誓って私は、そんな卑劣な真似はしておりません。第一、もし私が王太子殿下に恥をかかせようと企んでいるのであれば、こんなに手間暇かけて舞踏会を準備などしませんわ」
毅然と言い切ったその姿に、周囲の貴族の中には納得げに頷く者もいる。
ルイーゼはつまらなさそうに肩をすくめ、「まあ、そうでしょうとも」と皮肉を吐いてから、一歩下がった。
(ここで私を犯人扱いしても、説得力に欠けると判断したのかしら。それとも、ただ私を脅したかっただけ?)
いずれにせよ、この場の混乱をどう収束させるかが重要だ。オデットは衛兵たちに目を向ける。彼らは既に怪しいグラスやワインを回収し、調査を進めているようだ。
と、そこへ王太子アルベールが姿を現した。ミレイユを伴っていたが、彼女は少し離れた場所で腕を組んでいる。何やら苛立った表情にも見えるが、とりあえずは黙って成り行きを見守るつもりらしい。
アルベールはオデットとルイーゼを交互に見やり、やや不快そうに眉をひそめた。
「なんだ? 俺が少し席を外しているうちに、どうしてこんな騒ぎになっている。オデット、説明しろ」
その言い草には、あからさまな責任転嫁の意図が見え隠れする。オデットは一瞬むっとしながらも、落ち着いた声で経緯を伝えた。
「――というわけで、現在衛兵がグラスとワインを調べています。この舞踏会の進行には関係ありませんので、ご安心くださいませ。今しばらくお待ちいただければ、はっきりとした結論が出るでしょう」
アルベールは顎に手をやり、ふん、と鼻を鳴らす。
「くだらんことで大騒ぎするな。毒かどうかは知らんが、客人を怯えさせることはやめろ」
なんとも身勝手な言い分だ。オデットはなんとか感情を抑えながら答える。
「仰るとおりです。ですから、今は一刻も早く原因を究明し、場を収める必要があるかと……」
すると、アルベールは嘲笑うような声で返した。
「お前が中心で準備をしてきたんだろう? ならば、ちゃんと責任をもってやれ。まさか“わかりませんでした”では済まないぞ」
そう言い残し、アルベールはミレイユとともに踵を返す。どうやら自分が楽しむことが最優先で、この問題に関しては丸投げするつもりのようだ。
(……呆れた。私に責任だけ押し付けて、あなたは知らんぷり?)
怒りと虚しさが込み上げるが、オデットに選択の余地はない。何とかしてこの混乱を収めるしかないのだ。
音楽隊が休憩を取り、しばし場内は歓談の時間となった。貴族たちはシャンパンやワインを片手にテーブルを囲み、お互いの近況や馬や宝石の話題、政局の噂話などで盛り上がっている。
オデットはといえば、数人の伯爵夫人や子爵令嬢たちに話しかけられ、軽く世間話を交わしていたが、その本心はまったく楽しめていない。そもそも、この舞踏会そのものがアルベールの“見せ物”に近いものだ。愛人を堂々と連れ歩き、「今の王宮で最も力を握っているのは自分だ」ということを誇示したいのだろう。
それでも、オデットの毅然とした態度と、滞りなく進んでいる進行を見てか、最初の頃は嘲笑するような雰囲気だった貴族たちの中にも、オデットを再評価し始める者が出てきている。
「思ったよりも“できる女”じゃないか」
「ええ、あの落ち着きぶりは見事だわ。愛人をあれほど見せつけられても、全く動じないなんて……私なら耐えられないわ」
そうした囁きを耳にするたび、オデットは皮肉な笑みを浮かべたくなる。「動じていない」わけでは決してない。胸の奥では、悔しさと悲しさが煮え滾っている。
だが、そうした本音をむき出しにしないことが、今の“王太子妃候補”オデットとしての精一杯の戦い方なのだ。
と、そのとき。
会場の片隅、給仕の者たちが控えているテーブルのあたりで、何やら小さなトラブルが起きているようだった。視線をやると、若い給仕が青ざめた顔で立ち尽くしており、その周囲に何人かの貴族が集まっている。
オデットは何か胸騒ぎを覚え、急ぎそちらへ向かう。
「どうなさいました? 何か問題でもありましたか?」
そう声をかけると、中央にいた貴族の一人が嫌な顔つきで振り返った。
「オデット様、こちらの若い給仕が、私のグラスにとんでもないものを混入させたと言い張るのですよ。信じられます?」
「混入……?」
オデットが目を見開くと、給仕の青年は必死の形相で頭を下げる。
「違うんです! そんなこと、僕は絶対にやってません! ただ、料理を運んでいたら、貴族の方から『グラスが変な匂いがする』と言われて……それで……」
オデットは青年の震える手から問題のグラスを受け取り、鼻を近づけてみる。
(何だろう、このかすかな苦味というか……)
香辛料とは違う嫌な刺激臭を感じる。それは、まるで何かの薬品のようにも思えた。
(もしや毒……? だとしたら、誰が、何の目的で?)
胸に嫌な汗が滲むが、表情には出さず、オデットは給仕に優しく話しかける。
「落ち着いて。あなたがやっていないのなら、きちんと調べればいいわ。ほかのグラスやワインボトルはどうなっているの? 似た匂いのするものはある?」
青年が慌てて周囲のグラスやボトルを確認し始める。その間、オデットは同席している貴族たちに向き直る。
「ご迷惑をおかけして申し訳ございません。一刻も早く原因を突き止めますので、どうか少しお待ちを。……念のため、他の方々もグラスの中身を交換していただいたほうがよろしいかもしれませんね」
驚く貴族たちを促しながら、オデットはこっそり司礼官に目で合図する。司礼官はすぐに状況を察し、ホールの一角で待機している衛兵に指示を出してくれた。
(もしかすると、これを利用して“舞踏会中止”を誘導し、私を失脚させようとする陰謀かもしれない。あるいは、アルベール殿下や王太子妃候補を狙う何者かの犯罪……?)
頭の中で嫌な可能性が次々と浮かぶが、ここで冷静さを失えば、すべてが混乱に陥る。オデットは強く自分を叱咤し、毅然と周囲に指示を飛ばした。
「皆さま、誠に恐れ入りますが、ご自身のグラスをもう一度確認してください。変な匂いがしたり、見た目がおかしいものは絶対に口にしないで! 給仕長、急いで新たな飲み物をご用意して差し上げて。こちらのグラスは衛兵が回収し、原因を調べます」
会場が一気にざわつく中、オデットの冷静な声が響く。初めは面食らっていた貴族たちも、彼女の落ち着いた態度につられて、次第に混乱を鎮めはじめる。
(私の方で騒ぎを食い止められれば、舞踏会自体の大事にはならないはず……)
そう考えつつ、オデットは動揺している給仕を引き取り、事情を細かく確認しようとした。その瞬間――
「ちょっと待ちなさい!」
ホールの奥から甲高い声が響いた。ルイーゼ公爵夫人だ。彼女は不快そうに顔を歪めながら、何やら書状のようなものを手にしている。
「大勢の前で言うのは心苦しいのだけれど……今、あなたが“毒”という言葉を口にしたわね。実は、私も先ほど不審な情報を耳にしたのよ。この舞踏会で“事件”を起こそうとしている者がいる、と」
ルイーゼはそう言い放ち、じろりとオデットを睨む。その目には、あからさまな敵意が宿っていた。
「そして今、このグラス騒ぎ。オデット様、あなた何か知っているんじゃないの? もしかして、あなたが自作自演でこんな騒ぎを起こし、舞踏会を混乱させようとしているのではなくて?」
無茶苦茶な難癖に、場内は一瞬息を呑む。
「えっ……!? 私がそんなことをするわけ……」
オデットは言葉を失う。だが、ルイーゼは構わず言葉を続ける。
「この舞踏会の主催者は王太子殿下だけれど、実質的な運営はあなたが仕切っていたのでしょう? ならば、毒を混入することもやろうと思えば出来る立場よね。……もしや、これは“王太子殿下に恥をかかせるため”の策略ではなくて?」
あり得ない主張だ。周囲からは「さすがにこじつけが過ぎる」という声も聞こえるが、一部の貴族は不安そうにオデットを見つめる。
(なんて卑劣な……。証拠もないのに私を犯人扱いする気!?)
だが、こういう“印象操作”は怖い。何しろ、ルイーゼは王太子派閥の有力者として知られている。それを背景に、少しでもオデットを貶めようと画策しているのだろう。
(ここで取り乱すわけにはいかない。冷静に対処しなければ……)
オデットは、必死に感情を抑えてルイーゼを見据える。
「公爵夫人、そんな馬鹿げた疑いをかける前に、まずは衛兵が調べるのをお待ちになってくださいませ。混乱をこれ以上広げるのは得策ではありませんわ」
あくまで穏やかに、それでいて断固とした口調で言う。だが、ルイーゼは鼻で笑う。
「まあ、いいでしょう。私も決めつけるつもりはないけれど……。でも、もし本当に何らかの意図があってこんな事件を起こしたなら、あなたは王太子妃どころか、ブランシュフォール家もろとも責任を追及されるわよ」
そう言い放ち、ルイーゼは場内をぐるりと見渡す。人々は息を詰めて、その場の成り行きを見守っていた。
オデットは内心で激しい怒りを感じつつ、そこにいる全員に聞こえるようはっきりと口を開く。
「誓って私は、そんな卑劣な真似はしておりません。第一、もし私が王太子殿下に恥をかかせようと企んでいるのであれば、こんなに手間暇かけて舞踏会を準備などしませんわ」
毅然と言い切ったその姿に、周囲の貴族の中には納得げに頷く者もいる。
ルイーゼはつまらなさそうに肩をすくめ、「まあ、そうでしょうとも」と皮肉を吐いてから、一歩下がった。
(ここで私を犯人扱いしても、説得力に欠けると判断したのかしら。それとも、ただ私を脅したかっただけ?)
いずれにせよ、この場の混乱をどう収束させるかが重要だ。オデットは衛兵たちに目を向ける。彼らは既に怪しいグラスやワインを回収し、調査を進めているようだ。
と、そこへ王太子アルベールが姿を現した。ミレイユを伴っていたが、彼女は少し離れた場所で腕を組んでいる。何やら苛立った表情にも見えるが、とりあえずは黙って成り行きを見守るつもりらしい。
アルベールはオデットとルイーゼを交互に見やり、やや不快そうに眉をひそめた。
「なんだ? 俺が少し席を外しているうちに、どうしてこんな騒ぎになっている。オデット、説明しろ」
その言い草には、あからさまな責任転嫁の意図が見え隠れする。オデットは一瞬むっとしながらも、落ち着いた声で経緯を伝えた。
「――というわけで、現在衛兵がグラスとワインを調べています。この舞踏会の進行には関係ありませんので、ご安心くださいませ。今しばらくお待ちいただければ、はっきりとした結論が出るでしょう」
アルベールは顎に手をやり、ふん、と鼻を鳴らす。
「くだらんことで大騒ぎするな。毒かどうかは知らんが、客人を怯えさせることはやめろ」
なんとも身勝手な言い分だ。オデットはなんとか感情を抑えながら答える。
「仰るとおりです。ですから、今は一刻も早く原因を究明し、場を収める必要があるかと……」
すると、アルベールは嘲笑うような声で返した。
「お前が中心で準備をしてきたんだろう? ならば、ちゃんと責任をもってやれ。まさか“わかりませんでした”では済まないぞ」
そう言い残し、アルベールはミレイユとともに踵を返す。どうやら自分が楽しむことが最優先で、この問題に関しては丸投げするつもりのようだ。
(……呆れた。私に責任だけ押し付けて、あなたは知らんぷり?)
怒りと虚しさが込み上げるが、オデットに選択の余地はない。何とかしてこの混乱を収めるしかないのだ。
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