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第4章:ざまあ――屈辱と決別する花嫁
4.ざまあ――王太子からの最後の仕打ち、そして国境越え
4.ざまあ――王太子からの最後の仕打ち、そして国境越え
それから数日間、オデットは表向きは王宮改修の準備に追われるふりをしながら、内心では“いつでも逃げられる”よう少しずつ荷物をまとめたり、必要な資金や宝飾品を取り分けたりと、極秘裏に動き続けた。
(ブランシュフォール家には多大な迷惑をかけるわ。でも、父はきっと私を理解してくれる。いずれ、落ち着いたころに迎え入れる段取りにしてもらえるよう願うしかない)
その間、アルベールは相変わらず愛人ミレイユと遊興にふけり、王宮の行政的な仕事はすべて“他人任せ”のまま。噂によれば、彼は既に「自分こそが実質的な王だ」と公言し始めているらしく、面従腹背の貴族たちから恨みを買っているという話も聞こえてきた。
(早くこの狂った宮廷から抜け出さないと、私自身が巻き込まれて潰れてしまう)
そう思いながら準備を進めていたある夜、とうとう王太子から“最後の仕打ち”とも言うべき一報が入る。
「オデット様、大変です。今、王太子殿下の侍従がいらして……“今夜、オデットを部屋に呼びつける”と仰っています」
侍女の報告に、オデットは手にしていた羽ペンを落としそうになった。今夜、王太子の部屋へ行け、という命令――それはつまり、形式的に“夫婦になる”予行演習を強いるようなものか、それとも屈辱的な「夜伽」でも無理やり押し付けるつもりなのか。
(白い結婚だと言っていたくせに、今さら何を……?)
嫌悪感で吐き気が込み上げそうになる。
しかし、こうした呼び出しに応じなければ、ブランシュフォール家への制裁が待っているだけ。オデットは仕方なくドレスを着替え、最低限の身だしなみを整えて、王太子の私室へ向かった。
部屋の扉を開けると、そこにはアルベールとミレイユがいた。
「……え?」
思わず声が漏れる。王太子が愛人と一緒にいる部屋に、自分が呼ばれたという異常さに、オデットは戦慄を覚えた。
アルベールは椅子に座り、足を組んでオデットを一瞥する。ミレイユはソファの片隅に腰掛け、妖艶な笑みを浮かべている。
「やっと来たか。用件は簡単だ。お前に“正式な花嫁”の役割を演じてもらいたくてな」
アルベールの口から放たれる言葉に、オデットは背筋が凍る。
「花嫁……とは、どういうことでしょう」
するとミレイユがクスクスと笑いながら口を開く。
「殿下がおっしゃりたいのはね、近々予定される“結婚式”のリハーサルを今のうちに済ませておけ、ってことよ。私がそばで見ていてあげる。だって私、あなたの立場に憐れみを感じているもの」
あまりの侮辱に、オデットは膝が震えるのを感じた。
(リハーサル? ……つまり、結婚式の日取りも正式に決めぬまま、夜の相手をするよう強要するというの?)
アルベールは嘲笑を浮かべ、ミレイユの肩を抱くようにして続ける。
「俺としては、お前には形だけの“王太子妃”をやってもらえればいい。だが、公には夫婦の証拠が必要だ。俺が“お前に手をつけた”という既成事実さえ作っておけば、あとはどうにでもなるからな。まったく面倒だが……」
その言葉に、オデットの視界が暗転しそうになる。もしここで抵抗すれば、家が滅ぼされる危険もあるし、アルベールが望む「事実」がつくられてしまえば、オデットは一生逃げられない。それが彼の狙いなのだ。
(……どこまで、私を踏みにじれば気が済むの?)
怒りと恐怖が入り混じった感情が胸を締め付ける。けれど、今ここで屈してしまえば、最悪の形で人生を支配されてしまう。
そのとき、オデットの脳裏に稲妻のような閃きが走った。
――今ここで王太子に逆らって逃げるしかない。
覚悟はもう決まっていたはずだ。あとは、どのタイミングで実行するか。それが今だとしたら……?
オデットはすうっと息を吸い込み、そっと瞳を閉じる。そして、次に目を開けたときには、決意に満ちた表情を浮かべていた。
「……殿下、本当に私を“王太子妃”にするおつもりなのですね。これまで散々愛人を連れ回し、私を蔑ろにしてきたくせに、今さらあなたの都合で“既成事実”を押し付けるなんて……」
アルベールは不快そうに顔をしかめる。
「黙れ。俺の命令だ。お前は王太子妃になるために生まれてきたんだろう? なら今さら口答えするな」
ミレイユも高笑いをあげる。
「そうよ、王太子妃様。あなたにはきっと、殿下の子を産む義務が待っているんだから。……白い結婚だっていうのも、殿下の気まぐれ次第で終わるかもね」
嘲弄の言葉に、オデットは唇を震わせる。しかし、もう涙は出ない。彼女はゆっくりと頭を下げるような仕草をしながら、かすかに微笑んだ。
「……わかりました、殿下。では私は、ここで“花嫁”の務めを果たしましょう」
思わぬ素直な返事に、アルベールとミレイユが互いに目を見合わせる。だが次の瞬間、オデットは勢いよく身を翻した。
――そして、ドアの方へ猛然と駆け出す。
「おい、待て!」
アルベールの怒声が聞こえるが、オデットは振り返らない。ドレスの裾をたくし上げ、無我夢中で廊下を走り抜ける。
(今しかない! 侍女に預けた書簡は既に隣国へ向かっている。もしレオポルド殿下が手を回してくれているなら、きっと……)
後ろから追っ手が来るのは間違いない。ここは王宮の中だ。一人で逃げきれる保証はない。
それでも、オデットは絶対に捕まるわけにはいかなかった。ここで捕まれば、自分の人生はアルベールのものになってしまう。
廊下を曲がり、階段を駆け下り、出入口に待機している衛兵たちをやり過ごして、中庭へと飛び出す。夜の闇が広がり、庭園の街灯が幻想的に揺らめいている。
「どこへ行く? 捕えろ!」
後方から衛兵の声が響く。あっという間に数人の兵士が追いすがってきた。
(まっすぐ正門へ向かうのは危険……)
咄嗟に思い立ち、オデットは庭園の東側――使用人や物資の搬入口がある裏門の方へ向かった。普段から改修の下見などで確認していたが、警備の目がやや手薄であることを知っている。
ドレスを引き裂きそうな勢いで走りながら、さらに周囲を見回す。すると、そこに小柄な人影が立っていた。
「オデット様! こちらへ!」
見覚えのある声――あの侍女だ。彼女もまた、逃走を想定して待機していてくれたのかもしれない。
侍女は裏門の扉を開け、ひそかに用意していた馬車らしきものを示した。
「ここです! 早く乗ってください! 馬車の御者は、ブランシュフォール邸に仕える者です。国境近くまで連れて行ってくれるよう手配済みです!」
「ありがとう……!」
オデットは感謝の声を上げながら、馬車へ飛び乗る。侍女も同行しようとしたが、衛兵がすぐそこまで迫っている。
「私も行きたいところですが……申し訳ありません、ここで時間を稼ぎます!」
そう言い残し、侍女は馬車の荷台を閉め、扉の前に立ちはだかるように構える。衛兵たちが口々に「邪魔だ、どけ!」と怒号を上げる。
(あなた……どうか無事でいて!)
オデットの心は千々に乱れるが、今は馬車を動かすしかない。御者が鞭を振ると、馬が嘶いて急発進し、狭い裏門をすり抜ける。
そのまま王宮の外周路を疾走し、城壁の暗がりを縫うように進む。どこかの門が閉じられるより前に、城下へ出なければ逃げ道は断たれてしまう。
運命を賭けた逃走は、息が詰まるほどに孤独で、恐怖に満ちていた。だがオデットは、これまでにない解放感をうっすらと感じてもいた。
(もう、あの王太子に支配されることはない。白い結婚など、まっぴらごめんよ……!)
馬車は城下に出たあと、闇夜の街を縫うようにひたすら走った。事前に示された合図通り、支持者たちが道を確保してくれているらしく、しばしの間は追っ手が見当たらない。
やがて明け方を迎えるころ、馬車は国境近くの小さな村へ到達した。そこに待っていたのは――アルヴェール王国からの密使たちだった。
ローブ姿の男たちが馬車を取り囲むように迎え、オデットを丁寧に手助けする。
「ブランシュフォール侯爵令嬢、オデット・ド・ブランシュフォール様でいらっしゃいますね? 私どもはアルヴェール王国第一王子、レオポルド殿下の密命により、お迎えに参りました」
その言葉を聞いた瞬間、オデットは安堵から思わず膝が崩れそうになった。
(レオポルド殿下……本当に手を差し伸べてくださったのね)
礼を述べるオデットを、密使たちは温かく受け止める。彼らが用意した別の馬車に乗り替え、国境線へ向かう山道を進んでいく。
(さようなら、私の故国……。だけど、きっとまた、何らかの形で戻ってくることがあるかもしれない。そのときには、もう私は“王太子妃”ではない)
寂しさと清々しさが入り混じった思いの中、オデットはあの屈辱と決別したのだ。
それから数日間、オデットは表向きは王宮改修の準備に追われるふりをしながら、内心では“いつでも逃げられる”よう少しずつ荷物をまとめたり、必要な資金や宝飾品を取り分けたりと、極秘裏に動き続けた。
(ブランシュフォール家には多大な迷惑をかけるわ。でも、父はきっと私を理解してくれる。いずれ、落ち着いたころに迎え入れる段取りにしてもらえるよう願うしかない)
その間、アルベールは相変わらず愛人ミレイユと遊興にふけり、王宮の行政的な仕事はすべて“他人任せ”のまま。噂によれば、彼は既に「自分こそが実質的な王だ」と公言し始めているらしく、面従腹背の貴族たちから恨みを買っているという話も聞こえてきた。
(早くこの狂った宮廷から抜け出さないと、私自身が巻き込まれて潰れてしまう)
そう思いながら準備を進めていたある夜、とうとう王太子から“最後の仕打ち”とも言うべき一報が入る。
「オデット様、大変です。今、王太子殿下の侍従がいらして……“今夜、オデットを部屋に呼びつける”と仰っています」
侍女の報告に、オデットは手にしていた羽ペンを落としそうになった。今夜、王太子の部屋へ行け、という命令――それはつまり、形式的に“夫婦になる”予行演習を強いるようなものか、それとも屈辱的な「夜伽」でも無理やり押し付けるつもりなのか。
(白い結婚だと言っていたくせに、今さら何を……?)
嫌悪感で吐き気が込み上げそうになる。
しかし、こうした呼び出しに応じなければ、ブランシュフォール家への制裁が待っているだけ。オデットは仕方なくドレスを着替え、最低限の身だしなみを整えて、王太子の私室へ向かった。
部屋の扉を開けると、そこにはアルベールとミレイユがいた。
「……え?」
思わず声が漏れる。王太子が愛人と一緒にいる部屋に、自分が呼ばれたという異常さに、オデットは戦慄を覚えた。
アルベールは椅子に座り、足を組んでオデットを一瞥する。ミレイユはソファの片隅に腰掛け、妖艶な笑みを浮かべている。
「やっと来たか。用件は簡単だ。お前に“正式な花嫁”の役割を演じてもらいたくてな」
アルベールの口から放たれる言葉に、オデットは背筋が凍る。
「花嫁……とは、どういうことでしょう」
するとミレイユがクスクスと笑いながら口を開く。
「殿下がおっしゃりたいのはね、近々予定される“結婚式”のリハーサルを今のうちに済ませておけ、ってことよ。私がそばで見ていてあげる。だって私、あなたの立場に憐れみを感じているもの」
あまりの侮辱に、オデットは膝が震えるのを感じた。
(リハーサル? ……つまり、結婚式の日取りも正式に決めぬまま、夜の相手をするよう強要するというの?)
アルベールは嘲笑を浮かべ、ミレイユの肩を抱くようにして続ける。
「俺としては、お前には形だけの“王太子妃”をやってもらえればいい。だが、公には夫婦の証拠が必要だ。俺が“お前に手をつけた”という既成事実さえ作っておけば、あとはどうにでもなるからな。まったく面倒だが……」
その言葉に、オデットの視界が暗転しそうになる。もしここで抵抗すれば、家が滅ぼされる危険もあるし、アルベールが望む「事実」がつくられてしまえば、オデットは一生逃げられない。それが彼の狙いなのだ。
(……どこまで、私を踏みにじれば気が済むの?)
怒りと恐怖が入り混じった感情が胸を締め付ける。けれど、今ここで屈してしまえば、最悪の形で人生を支配されてしまう。
そのとき、オデットの脳裏に稲妻のような閃きが走った。
――今ここで王太子に逆らって逃げるしかない。
覚悟はもう決まっていたはずだ。あとは、どのタイミングで実行するか。それが今だとしたら……?
オデットはすうっと息を吸い込み、そっと瞳を閉じる。そして、次に目を開けたときには、決意に満ちた表情を浮かべていた。
「……殿下、本当に私を“王太子妃”にするおつもりなのですね。これまで散々愛人を連れ回し、私を蔑ろにしてきたくせに、今さらあなたの都合で“既成事実”を押し付けるなんて……」
アルベールは不快そうに顔をしかめる。
「黙れ。俺の命令だ。お前は王太子妃になるために生まれてきたんだろう? なら今さら口答えするな」
ミレイユも高笑いをあげる。
「そうよ、王太子妃様。あなたにはきっと、殿下の子を産む義務が待っているんだから。……白い結婚だっていうのも、殿下の気まぐれ次第で終わるかもね」
嘲弄の言葉に、オデットは唇を震わせる。しかし、もう涙は出ない。彼女はゆっくりと頭を下げるような仕草をしながら、かすかに微笑んだ。
「……わかりました、殿下。では私は、ここで“花嫁”の務めを果たしましょう」
思わぬ素直な返事に、アルベールとミレイユが互いに目を見合わせる。だが次の瞬間、オデットは勢いよく身を翻した。
――そして、ドアの方へ猛然と駆け出す。
「おい、待て!」
アルベールの怒声が聞こえるが、オデットは振り返らない。ドレスの裾をたくし上げ、無我夢中で廊下を走り抜ける。
(今しかない! 侍女に預けた書簡は既に隣国へ向かっている。もしレオポルド殿下が手を回してくれているなら、きっと……)
後ろから追っ手が来るのは間違いない。ここは王宮の中だ。一人で逃げきれる保証はない。
それでも、オデットは絶対に捕まるわけにはいかなかった。ここで捕まれば、自分の人生はアルベールのものになってしまう。
廊下を曲がり、階段を駆け下り、出入口に待機している衛兵たちをやり過ごして、中庭へと飛び出す。夜の闇が広がり、庭園の街灯が幻想的に揺らめいている。
「どこへ行く? 捕えろ!」
後方から衛兵の声が響く。あっという間に数人の兵士が追いすがってきた。
(まっすぐ正門へ向かうのは危険……)
咄嗟に思い立ち、オデットは庭園の東側――使用人や物資の搬入口がある裏門の方へ向かった。普段から改修の下見などで確認していたが、警備の目がやや手薄であることを知っている。
ドレスを引き裂きそうな勢いで走りながら、さらに周囲を見回す。すると、そこに小柄な人影が立っていた。
「オデット様! こちらへ!」
見覚えのある声――あの侍女だ。彼女もまた、逃走を想定して待機していてくれたのかもしれない。
侍女は裏門の扉を開け、ひそかに用意していた馬車らしきものを示した。
「ここです! 早く乗ってください! 馬車の御者は、ブランシュフォール邸に仕える者です。国境近くまで連れて行ってくれるよう手配済みです!」
「ありがとう……!」
オデットは感謝の声を上げながら、馬車へ飛び乗る。侍女も同行しようとしたが、衛兵がすぐそこまで迫っている。
「私も行きたいところですが……申し訳ありません、ここで時間を稼ぎます!」
そう言い残し、侍女は馬車の荷台を閉め、扉の前に立ちはだかるように構える。衛兵たちが口々に「邪魔だ、どけ!」と怒号を上げる。
(あなた……どうか無事でいて!)
オデットの心は千々に乱れるが、今は馬車を動かすしかない。御者が鞭を振ると、馬が嘶いて急発進し、狭い裏門をすり抜ける。
そのまま王宮の外周路を疾走し、城壁の暗がりを縫うように進む。どこかの門が閉じられるより前に、城下へ出なければ逃げ道は断たれてしまう。
運命を賭けた逃走は、息が詰まるほどに孤独で、恐怖に満ちていた。だがオデットは、これまでにない解放感をうっすらと感じてもいた。
(もう、あの王太子に支配されることはない。白い結婚など、まっぴらごめんよ……!)
馬車は城下に出たあと、闇夜の街を縫うようにひたすら走った。事前に示された合図通り、支持者たちが道を確保してくれているらしく、しばしの間は追っ手が見当たらない。
やがて明け方を迎えるころ、馬車は国境近くの小さな村へ到達した。そこに待っていたのは――アルヴェール王国からの密使たちだった。
ローブ姿の男たちが馬車を取り囲むように迎え、オデットを丁寧に手助けする。
「ブランシュフォール侯爵令嬢、オデット・ド・ブランシュフォール様でいらっしゃいますね? 私どもはアルヴェール王国第一王子、レオポルド殿下の密命により、お迎えに参りました」
その言葉を聞いた瞬間、オデットは安堵から思わず膝が崩れそうになった。
(レオポルド殿下……本当に手を差し伸べてくださったのね)
礼を述べるオデットを、密使たちは温かく受け止める。彼らが用意した別の馬車に乗り替え、国境線へ向かう山道を進んでいく。
(さようなら、私の故国……。だけど、きっとまた、何らかの形で戻ってくることがあるかもしれない。そのときには、もう私は“王太子妃”ではない)
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