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第40話 「未来を選ぶ二人/白い結婚のその先へ」
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第40話 「未来を選ぶ二人/白い結婚のその先へ」
夜会の混乱が収まった王城のバルコニーは、ひっそりと静けさに包まれていた。
月明かりだけが差し込むその場所に、リオナはそっと身を寄せていた。胸の奥ではまだ、先ほどまでの動揺が続いている。
――カイルが、皆の前で自分を庇い、そして「諦める気はない」と宣言した。
いつも曖昧な距離しか保てなかった彼が、ようやく本当の気持ちを言葉にしてくれた。
それだけでも胸がぎゅっと痛くなるほど、うれしくて、苦しい。
その時、背後から足音がした。
「リオナ……ここにいたのか」
振り返ると、少しだけ気まずそうにカイルが立っていた。
彼の表情は、普段よりも真剣で、どこか不器用なまま固まっている。
「……あの、さっきは……驚かせたよな。ごめん」
「い、いえ……。私のほうこそ……。ずっと、曖昧にしていて」
謝るリオナに、カイルは小さく首を振る。
「いい。全部、俺のせいだ。俺が怖がってただけだ。
お前が離れていくんじゃないかって思って……本気を見せたら壊れるんじゃないかって……」
普段強気な騎士である彼が、こんな弱音を見せるのは初めてだった。
リオナはそっと一歩近づく。
「カイルは……いつも私を守ってくれました。言葉にしなくても、気持ちは伝わっていました。
でも……その……最近は、私も……少し、わからなくなって」
「わからなくなった?」
「カイルの態度が……時々優しくて、時々そっけなくて……。勘違いしては駄目だと思いながらも……気づいたら、カイルのことばかり考えるようになっていました」
カイルの表情がわずかに揺れる。
「じゃあ……」
リオナは、顔を赤くしながらも勇気を振りしぼり、はっきりと言った。
「私は……カイルのそばにいたいです」
その瞬間、カイルの肩が大きく落ちた。
まるで張り詰めていた糸が切れたように、安堵の息が漏れる。
「……言ってくれて、ありがとう」
カイルはゆっくりとリオナの手を取った。
彼の手は大きくて、温かくて、ずっと前から触れたかったもののように心地よい。
「リオナ。俺は……お前となら、白い結婚でも、正式な結婚でも……どっちでもいい。
ただ……お前と一緒にいたい。隣にいてほしい。それだけだ」
「カイル……」
「だから、選んでほしい。
白い結婚のままで“心の距離は近く”生きていくのか。
それとも……いつかちゃんと夫婦になる未来を、ゆっくり目指すのか」
リオナはゆっくりと息を吸った。
白い結婚は、彼女にとって安心できる逃げ場のはずだった。
でも――。
(この人となら……逃げなくてもいいのかもしれない)
「……今すぐ答えは出せません。でも……」
「でも?」
「いつか……“夫婦になりたい”と思えるように……その未来を目指したいです。
カイルと、一緒に」
カイルは驚いたように瞬きをしたあと、ゆっくりと微笑んだ。
「ゆっくりでいい。焦らなくていい。
お前の歩幅に合わせる。だから……これからも隣で歩いてくれ」
「はい……もちろんです」
二人の距離は自然と縮まり、月明かりの下でそっと額を寄せる。
触れるだけの、でも確かな約束のように温かな仕草だった。
「リオナ」
「……カイル」
「大好きだ」
ストレートな告白に、リオナは顔を真っ赤にして俯く。
「そんな……急に言われたら……」
「急じゃない。何年も前からだ」
リオナの胸が熱くなる。
ようやく、ようやく繋がった想い。
バルコニーの外では夜風が静かに吹き、世界が祝福しているように優しい。
リオナは小さく微笑んで、彼の手をぎゅっと握り返した。
「私も……好きです」
カイルの目が大きく見開かれ、そのあと、少年のような笑みが浮かんだ。
そして二人は手を繋いだまま、ゆっくりと王城の廊下へ戻った。
新しい未来へ歩き出すように。
白い結婚のはずだった二人は、
やがて本当の夫婦になる未来を選ぶ。
それは、誰にも強制されない――
二人だけの、温かな選択だった。
こうして、長かったすれ違いの日々は終わり、
リオナとカイルの物語は、静かに幸せへと結ばれていった。
夜会の混乱が収まった王城のバルコニーは、ひっそりと静けさに包まれていた。
月明かりだけが差し込むその場所に、リオナはそっと身を寄せていた。胸の奥ではまだ、先ほどまでの動揺が続いている。
――カイルが、皆の前で自分を庇い、そして「諦める気はない」と宣言した。
いつも曖昧な距離しか保てなかった彼が、ようやく本当の気持ちを言葉にしてくれた。
それだけでも胸がぎゅっと痛くなるほど、うれしくて、苦しい。
その時、背後から足音がした。
「リオナ……ここにいたのか」
振り返ると、少しだけ気まずそうにカイルが立っていた。
彼の表情は、普段よりも真剣で、どこか不器用なまま固まっている。
「……あの、さっきは……驚かせたよな。ごめん」
「い、いえ……。私のほうこそ……。ずっと、曖昧にしていて」
謝るリオナに、カイルは小さく首を振る。
「いい。全部、俺のせいだ。俺が怖がってただけだ。
お前が離れていくんじゃないかって思って……本気を見せたら壊れるんじゃないかって……」
普段強気な騎士である彼が、こんな弱音を見せるのは初めてだった。
リオナはそっと一歩近づく。
「カイルは……いつも私を守ってくれました。言葉にしなくても、気持ちは伝わっていました。
でも……その……最近は、私も……少し、わからなくなって」
「わからなくなった?」
「カイルの態度が……時々優しくて、時々そっけなくて……。勘違いしては駄目だと思いながらも……気づいたら、カイルのことばかり考えるようになっていました」
カイルの表情がわずかに揺れる。
「じゃあ……」
リオナは、顔を赤くしながらも勇気を振りしぼり、はっきりと言った。
「私は……カイルのそばにいたいです」
その瞬間、カイルの肩が大きく落ちた。
まるで張り詰めていた糸が切れたように、安堵の息が漏れる。
「……言ってくれて、ありがとう」
カイルはゆっくりとリオナの手を取った。
彼の手は大きくて、温かくて、ずっと前から触れたかったもののように心地よい。
「リオナ。俺は……お前となら、白い結婚でも、正式な結婚でも……どっちでもいい。
ただ……お前と一緒にいたい。隣にいてほしい。それだけだ」
「カイル……」
「だから、選んでほしい。
白い結婚のままで“心の距離は近く”生きていくのか。
それとも……いつかちゃんと夫婦になる未来を、ゆっくり目指すのか」
リオナはゆっくりと息を吸った。
白い結婚は、彼女にとって安心できる逃げ場のはずだった。
でも――。
(この人となら……逃げなくてもいいのかもしれない)
「……今すぐ答えは出せません。でも……」
「でも?」
「いつか……“夫婦になりたい”と思えるように……その未来を目指したいです。
カイルと、一緒に」
カイルは驚いたように瞬きをしたあと、ゆっくりと微笑んだ。
「ゆっくりでいい。焦らなくていい。
お前の歩幅に合わせる。だから……これからも隣で歩いてくれ」
「はい……もちろんです」
二人の距離は自然と縮まり、月明かりの下でそっと額を寄せる。
触れるだけの、でも確かな約束のように温かな仕草だった。
「リオナ」
「……カイル」
「大好きだ」
ストレートな告白に、リオナは顔を真っ赤にして俯く。
「そんな……急に言われたら……」
「急じゃない。何年も前からだ」
リオナの胸が熱くなる。
ようやく、ようやく繋がった想い。
バルコニーの外では夜風が静かに吹き、世界が祝福しているように優しい。
リオナは小さく微笑んで、彼の手をぎゅっと握り返した。
「私も……好きです」
カイルの目が大きく見開かれ、そのあと、少年のような笑みが浮かんだ。
そして二人は手を繋いだまま、ゆっくりと王城の廊下へ戻った。
新しい未来へ歩き出すように。
白い結婚のはずだった二人は、
やがて本当の夫婦になる未来を選ぶ。
それは、誰にも強制されない――
二人だけの、温かな選択だった。
こうして、長かったすれ違いの日々は終わり、
リオナとカイルの物語は、静かに幸せへと結ばれていった。
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