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29.5「ヴァン:成るように成る」
しおりを挟む昼食の準備が整いました。
プックルが大きいので、家の外の、丸太で作ったテーブルを使います。
「ヴァンさん、おはようっす!」
『オハヨー』
丸一日寝ていた二人も起きてきましたね。
あ、そういえばロボに玉ねぎはダメだったんじゃないでしょうか。犬に玉ねぎは厳禁ですが、狼も似た様なものですよね。
ウッカリしていました。
『玉ねぎでござるか? 普通に食べてましたが、ダメだったでござるか?』
大丈夫だそうです。ホッとしました。
「うっわ! なんなんすかこのご馳走は! パンも焼き立て!」
「パン焼きは僕の一番の趣味です。マトンのベーコンを使ったベーコンエピが自信作です」
さぁ、食べましょう。
僕とタロウは丸太を切っただけの椅子に腰掛け、プックルはタロウの隣、ロボは僕の膝の上です。
「旨いっす! ベーコンエピもマトンハンバーグもサイッコーに旨いっす!」
『ウメェェエェェェ!』
『美味しいでござる! ヴァン殿は最高のお婿さんになるでござる!』
みんなに褒めてもらって、正直嬉しいですね。やはり料理は食べてくれる人がいてこそですね。
「ねぇヴァンさん、この白いパンちょっと炙ってもらっても良いっすか? これでハンバーグのソース掬って食べたら最高に旨いと思うんす」
「すみません、魔力はほぼ空っぽなんです。料理で使った火の魔法が本当の最後の魔力でした」
少し沈黙。
「なんかあったんすか?」
丸一日寝てましたからね、知らなくて当然ですね。
『ヴァン殿は本っ当に強くカッコよく、そして優しかったでござる!』
ロボが昨夜の事を、二人に説明してくれました。
やや脚色と美化が散見されましたが、まぁ、概ね合っていますので良いでしょう。
少し美化されすぎで照れてしまいますね。
「そんな事があったんすか……。全く気がつかなかったっす。なんかすんません」
「夜目の利く僕とロボの二人が良いと思いましたので起こさなかったんです」
「で、何でそんなに二人べったりくっついてんすか?」
あ、知らない内に、僕にくっつくロボの背を撫でていました。あまりにも手触りが良いのでつい。
『それがし、ヴァン殿のお嫁さんに立候補したでござる!』
あ、あっさり発表してしまいました。
いや、隠すつもりではなかったんですが、冷やかされないか不安なんですが。
「そっすかー。良いじゃないすか、銀髪のダンピールと、白い毛のレイロウ、お似合いっす!」
おぉ、タロウの器が大きく見えます。異種族婚に抵抗とかないんでしょうか。
「タロウ、貴方もしかして、ロボが雌なの知ってたんですか?」
「え? 当たり前ですやん。見たら分かるっしょ?」
見たら分かるんですか。恐るべきはタロウの眼力。
『ヴァン殿、お似合いと言われたでござる』
より一層、体を密着させるロボ。
いや、これは、ちょっとヴァン先生困ってしまいます。
が、そう悪い気もしませんね。
これはもう、成るように成る、ですかね。
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