異世界ニートを生贄に。

ハマハマ

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40「最悪の展開」

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 ペリエ村以上に自給自足のロッコ村には商店などもありませんので、物資の調達などはできないですね。

 もちろん想定の範囲内です。先日ロップス殿とプックルが充分な量を調達してくましたので、食料については大丈夫です。

 食料以外も特には問題ありませんので、一泊できただけで良しとしましょう。


「魔道士どの一行はガゼル領に向かわれるんでしたな」

 ロッコ村の村長です。こちらも獣人の方が村長です。ちなみに猿の獣人ですね。

「猿っつうかオランウータンすね」

 おらんうーたん? そういう名前の猿なんでしょうか。タロウの世界では猿にも細かく名前がついているんですね。

「服着てるとサーカスにいそうっすね」

 もちろん服を着ていらっしゃいます。

「ええ、ガゼル様に用事がありまして」
「気をつけて行きなされ、この先の森にな、マヘンプクの群れほどの量ではないが、猿の魔獣が出ると報告があるでな」

 猿の魔獣、マエンですか。以前に通った時は見かけなかったですね。
 やはり、魔獣の生息域が少しずつ変わっているようですね。

「猿は知能が高いのでな、何かと厄介だそうだ。用心されよ」
「猿は知能が高いってそんな自分で言うんす、ぐはぁ」

 何が、ぐはぁ、ですか。善意の忠告を冷やかしてはいけませんよ。
 タロウに手刀を落とすのも久しぶりですね。

「ありがとうございます。用心して進むように致します」



 では出発しましょうか。

「ヴァン殿、マヘンプク騒動でここの所は一緒に行動していたが、私はまた先行する」

 そう言えばそうでしたね。

「そうですか。また夕食時には合流されますよね?」
「そのつもりだ」
「でしたら細かい打合せは要りませんね。はぐれた時のために、次の目的地だけ相談しておきましょう」
「うむ」

 頷いたロップス殿が地図を広げます。

「今いるロッコ村が、こちらですね。ここから北へ向かい、森を抜けた先、五日ほどで岩場が多くなり山岳地帯となります。この辺りからガゼル領ですね」
「うむ」
「そのまま山を登り五日ほどで山腹にある町ゲロル、さらにその先、最初の山の頂上手前、十日ほどのシュタイナー村、これらを順に訪れましょうか」

「分かった。とりあえずは十日後にゲロルだな」
「マエンの事もそうですが、アギーさん達、有翼人の方々の動向も気になります。用心して下さいね」


 早速、ロップス殿が出発されました。
 前回ヴィッテルを出発した時は、あまり引き離されないように追いましたが、日暮れ頃には引き返してきますからね、安心ですね。

「じゃあ、タロウ、プックル、ロボ、僕らも出発です」
「おす!」
『メェェェェ』
『承知でござる!』

 僕とロボが並んで歩き、その後ろをプックルに乗ったタロウが続きます。

 初日、二日目と、特にどうという事もありませんでした。
 タロウの魔力感知も相変わらずさっぱりです。

 三日目の昼過ぎ、簡単な昼食をとっていると、先行したロップス殿が引き返してきました。

「ヴァン殿、この先で少し厄介な事になっておる」

 さりげなく昼食に参加したロップス殿が説明してくれました。

 道を塞ぐように倒木があり、普通には進めないそうで、道を外れて進むと、いつまでも元の道に戻れない様に倒木があるそうです。

「そのまま進むとはぐれる可能性大だと判断した。そうなると晩御飯を食べ損なうのでな、引き返してきたのだ」

 晩御飯メインでしたか。
 でも恐らくは好判断でしょうね。

「そうですか。マエンや、アギーさんを初めとした有翼人の方々の事もあります。怪しければ単独行動は慎んだ方が正解ですね」
「そうであろうそうであろう。きたこれきたこれ」

 父アンセム様と同じく変なクセになっていますよ。いや、アンセム様と違って使い方合ってるのかも知れませんが。

「用心して進みましょう。僕の勘ではマエンの方が怪しい気がしますね」
「根拠は?」
「全くありませんけど、なんとなくです」

 と言うか、アギーさん達じゃないと良いなという願望ですね。

 はっきり言って会いたくありませんからね。どうやらあの有翼人たちは魔術を使います。
 魔術メインの彼らに対して、魔法がメインの僕たちでは、戦わないに越した事ありませんから。
 
 不安を煽ってもしょうがないので、みんなには言いませんが。



 ここですね、問題の倒木は。確かに折り重なる様に倒木が連なっていますね。

「風の刃で切り刻んで進めないっすか?」

 タロウの案を採用したいところですが。

「この先どれくらいの倒木があるかによりますね。あまり多いと魔力の無駄遣いになりかねません」
「あー、まぁそうっすね」

 ロップス殿の魔力量は、僕よりもかなり少ないそうです。半分くらいでしょうか。
 二人で魔法を使っても良い結果にはならないでしょう。

「ここは迂回するしかないでしょうね」

 倒木を避ける様に、道を右にそれて獣道を進みます。
 先ほどロップス殿は左にそれたそうですが、行けども行けども元の道には戻れなかったそうです。

 そのまましばらく進みました。
 左に戻れば元来た道に戻れるのは分かっているのですが、戻れそうな藪の隙間には、計ったように倒木があります。

「左にそれた私の時と同じだな」
「明らかに何らかの意思を感じますね。偶然とは考えにくいです」
「そっすかー? 分かんないすけど、こういう事もあるんじゃないっすか?」

 そりゃ絶対にないとは言いませんが……。

「万が一の悪い方、慎重な方で考えるべきかと思います」

 タロウがプックルを降りました。

「だーいじょぶですって。二人とも考えすぎなんすよ」

 そう言ってタロウが先頭に立って歩き始めました。

 まぁ、タロウの言う通りかも知れません。あの有翼人たちの事を考え過ぎているかもですね。

「あ、なんか広いとこに出たっすよ」

 木々が生い茂っていますが、ぽっかりと拓けた所に出ました。

「ここは怪しいですね。みんな、離れな、
「こっちだけ木が途切れてて行けそうっす」

 広場の中程に立って周囲を見渡していると、タロウが広場の先、右手前方に進みました。プックルとロボが後を追うように駆け出します。

「タロウ! 離れては行けません! ここが罠の終点かも知れません!」

 その時、不意に精神感応が響きました。

『人よ、貴様らは、あの翼を持った者どもの仲間か?』

 マエンでしょうか。ロボ並みに滑らかな精神感応ですね。

「ロップス殿、タロウ達を追って下さ――」
「あぁぁぁぁぁぁ……!」
『メェェェェェェ……!』

 タロウとプックルの声です。
 駆け寄ったロップス殿が叫びます。

「ヴァン殿! タロウ達が崖を落ちた!」

『答えよ、人よ』

 あぁ、もう!
 最悪の展開じゃないですか!
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