102 / 185
76「出発へ向けて」
しおりを挟む「次はブラム領を目指しますが、もう少し待って頂きたい。鈍った体を元に戻したいんです。よろしいですか?」
ガゼル様のお屋敷の大広間です。牧草の美味しい店から戻った昨夜から、僕も大部屋に移りました。煙止まりましたからね。
「それはもちろん構わんが、日程的には大丈夫か?」
そうなんですよね。
アンセム様の下を離れたのが二月の頭、なんやかんやで現在は六月の中旬です。
年内にはファネル様の下を訪れねばなりませんから――
「残りは四ヶ月半です」
「あ、そっか、この世界は十ヶ月で一年だったすね」
「ええ。偶数月は二十七日、奇数月は二十八日の十月で二百七十五日です」
「すっかり忘れてたっす」
でしょうね。
アンセム様の所で説明したっきりですからね。
「父の所を通ってタイタニア様、そこからファネル様の下へ行くだけなら二月半ほどです」
「余裕だな。何事もなければ、だが」
そうなんですよね。
『でもヴァン殿が万全の方が良いに決まってるでござる』
「強くなった私がいれば充分な気もするが、まぁ、そうだな」
「俺も強くなったっすけど、そりゃそうっすね」
二人とも自信ありげじゃないですか。頼もしいですね。
「時間も余裕があるんだかないんだかはっきりしませんが、出来るだけ万全で臨みたいですからね」
今日を含めて三日、その翌日に出発として準備を進めましょうか。
お供してくれるそうなので、ロボ一人を連れて明き神の山頂目指してひとっ走りしています。
鈍った脚には走るのが一番です。
『ヴァン殿、珍しく二人っきりで外出でござるな!』
「いつ振りでしょうね。もしかしてロボと出会った時のマロウの森振りですか?」
『そうでござるよ! デェトする暇もないでござるよ』
あの頃は僕の胸の中に入れて走りましたね。
『ヴァン殿! 遅くなってるでござるよ!』
万全でないとは言え、僕よりも走るのが速くなりました。タロウもロップス殿も、プックルは良く分かりませんが、みんな成長しています。
僕も負けていられませんね。
「ふーーっ、ロボは本当に脚が速くなりましたね」
『そうでござろ! あの頃のままのそれがしではないでござるよ』
それにしても、この登山道もボロボロですね。主にタロウが暴れたせいですが。
あんまり大きな穴は危ないので、土の魔法を使って埋めておきました。
これで安心ですね。
街へ戻ると、ガゼル様の部屋でロップス殿がガゼル様から最後の教えを受けていました。
どうやら少ない魔力を活用する技術を教えて頂いているようですね。
ウギーさんに教えてもらった武器を作る技と、ガゼル様の身体強化を併せて戦えばさらに強くなりますね。
大部屋ではタロウとプックルがお昼寝中でした。
「しばらくベッド使えんすからね。今の内に堪能しとくっす」
さすがはタロウですね。
『ヴァン殿!? また脚から煙が出てるでござるよ!』
「ああ、大丈夫。これは筋肉痛です。いきなり走りましたからね。じきに止まるでしょう」
魔力に余裕があると、多少無茶しても影響が出ないので助かりますね。
「ロボの魔力操作の練習も今日はお休みして、僕らもお昼寝しましょうか」
『承知でござる!』
今日はもう何もしません。
のんびりとロボをモフモフして過ごしましょう。たまには良いですよね。
おはようございます。
ヴァンです。
「やはり父の反応はありませんか?」
「ないな。ファネルもないが、彼奴は魔力消費を抑えるためにヴァン達が着くまでは寝ると聞いている。恐らくブラムも同様だろうな」
それにしても、僕の十倍以上はあるであろう父の魔力がそこまで消費するって凄いですね。
万が一タロウにもしもの事があっても、替わりの生贄を用意するのはやはり難しいですね。
「もう出発だな」
「はい。明後日を予定しています」
「オマエらがいた二月と少し、なんやんかんやで楽しかったな。無事に世界を救ったらまた顔を出せよ」
「ええ、無事にお役目を果たせましたら」
その後はタロウやロップス殿に加えてロボを相手に実戦訓練です。
みんな成長が見られて楽しかったですが、魔力が完全になった僕がまだまだ一番強いです。
ホッとしました。
ただの、道に詳しいおじーちゃんポジションになるかと心配でしたから。
そして翌日は買い物です。
と言っても特別な買い物はありません。
みんなに新しい服を買い、保存食などに加えて旅の必需品を買い込んだだけです。
ちなみに二月前にどこかにやった僕のメガネは既に新調済みです。
先月、街のメガネ屋さんに来て頂いたんです。モクモク煙が出てる中での視力検査は大変でした。
さて、今晩ぐっすり眠れば、明朝はブラム領を目指して出発ですね。
0
あなたにおすすめの小説
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
しがない電気屋のおっさん、異世界で家電召喚ライフしてたら民から神格化され魔王から狙われる
長月 鳥
ファンタジー
町の電気屋として細々と暮らしていた俺、轟電次郎(とどろき でんじろう)。
ある日、感電事故であっけなく人生終了──のはずが、目を覚ましたら異世界だった。
そこは魔法がすべての世界。
スマホも、ドライヤーも、炊飯器も、どこにもない。
でもなぜか俺だけは、“電力を生み出し家電を召喚できる”という特異体質を持っていて──
「ちょっと暮らしやすくなればそれでいい」
そんなつもりで始めた異世界ライフだったのに……
家電の便利さがバレて、王族に囲まれ、魔導士に拉致され、気が付けば──
「この男こそ、我らの神(インフラ)である!」
えぇ……なんでそうなるの!?
電気と生活の知恵で異世界を変える、
元・電気屋おっさんのドタバタ英雄(?)譚!
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる