異世界ニートを生贄に。

ハマハマ

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96「婚約祝い」

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「ロボ、今夜からは貴女がワタシと寝なさい」
『それがしと? ご先祖様がでござるか?』

 ……見境なしですか。

「勘違いしないで。ワタシからも婚約祝いを上げようと思うの」
『婚約祝いでござるか!?』

 勘違いしてました。すみません。

「この首輪に着いた石、これはブラムの石ね?」
「ええ、はぐれた時の為です」

「ロボ、ここにワタシからも三つ、いえ、四つの石を着けても良いかしら?」
『それが婚約祝いでござるな? もちろんでござるよ!』

 ロボが嬉しそうですね。それにしてもすっかり婚約首輪で決まってしまいましたか。
 まぁ僕もロボの事は大好きですし、満更でもありませんから良いですけどね。


「じゃあ決まりね。その婚約祝いでロボの精霊力陣を覚えられない問題は解消できるはずよ」
『え!? もう覚えなくて良いでござるか!?』

「とりあえず基本の三つは覚えなくても使えるわ」
『やったでござる!』
「ただし、術の構成速度や効果、さらに応用の術については練習が必要よ」


 その後もセイとレインに交代で見本の精霊力陣を描いてもらい、それを見ながらロボも書く練習を繰り返しました。

 何度か見本無しで挑戦してみましたが、やはりさっぱりでした。
 精霊力の霧散で済んだ時は幸運な方で、癒しの力であるはずの『慰撫』で僕が甚大なダメージを負った時はさすがに怯えました。

 是が非でもタイタニア様の婚約祝いを頂戴しなければ身が持ちませんよ。


「術自体はそう悪くないわ。陣が覚えられないのは致命的だけど、ワタシからのプレゼントが揃えばなんとかなるでしょう」



 トレーニング終了後の夕食時にはタロウも目を覚ましました。
 今夜はタイタニア様たちもご一緒されるという事なので、少しだけ多めに作りました。
 少しで良いから楽チンですよね。


「ロボの番が済んだら私とも同衾どうきんして頂けないだろうか?」

 ロップス殿が凄い事を言い出しました。
 ヴァン先生としては、食事中にする話題ではないという点で手刀を繰り出しても良いレベルです。

「一緒に寝るだけならいつでも良いけど、もつれ込む・・・・・のは無理よ。ロボの婚約祝いを作るので精霊力がギリギリになりそうなのと、貴方はアンセムの子だもの。昔の仲間の子供とはやっぱりデキないわよ」

 そう、僕も昔同じ事を言われました。ブラムと同じ顔だから無理! って。
 ちなみにロップス殿の様にこちらから頼んだ訳ではありませんよ。

「……そうであるか。りょ、りょりょ、了解、いたした……」

 ロップス殿なりに軽い感じで言えるタイミングを計ってたんでしょうね。
 今度たまには二人でお酒でも飲みましょうか。

「婚約祝いって精霊力を使って作って頂けるんですか?」
「ええ、そうよ。結界の維持もあるし、念のため一日に一つずつ作るから四日ちょうだいね。その間は趣味の盗み聞きもお休みだわ」

『楽しみでござるな、ヴァン殿!』
「本当ですね。どんなのができるんでしょうね」



 食事も終了後、ロボの背に座ったタイタニア様に続いてタロウも三階へ上がろうとしました。

「今夜はロボも一緒すか?」
「タロウ、貴方はヴァンたちと寝なさい」
「ええ!? あんなに愛し合ったじゃないすか!」

「……貴方のターンは終わったのよ!」

 がーん、と口でちゃんと言ったタロウが固まりました。

 ロップス殿と二人で一階ホールの寝床へ運び状況を説明しました。

「そうすか……。今度はロボの精霊力の為っすか……。でも、なんてーんすか、ねぇ」

 しょうがありませんね。思ったよりも早い出番ですが。
 荷物から紙を分厚く巻いたビンを出しました。

「これだけしかありませんが、少し呑みませんか?」

 父の城の厨房からこっそり盗んできたブドウ酒です。


 呑み始めて最初のうちは「「女がなんだー!」」と二人で言ってましたが、コップに一杯で全員足りた様です。
 僕を含めて三人とも、朝までぐっすりでした。



 翌朝、ロボの婚約首輪に新しい石が一つ増えていました。
 ブラムの石は僕の魔力色である白、新しい石はどうやらロボの精霊力色のようで薄い桃色をしています。

「ロボの精霊力にしか反応しないようにしてるからね、ロボの精霊力色と同じになったわ」
『ヴァン殿、どうでござるか?』
「ええ、よくお似合いです。素敵ですよ」

 尻尾をぶんぶんと振るロボ、狼なんで分かりにくいですが顔が赤いですね。

「その石は『守護』の陣が刻んであるわ。首輪に精霊力を流す感じで精霊力を循環してみて、うん、それで「守護」と唱えるだけよ」

『分かったでござる! 守護!』

 ……なんにも起こりませんね。

「あ、ごめんなさい。精神感応ではダメよ。ロボの言葉で唱えてちょうだい」
『分かったでござる』

「がうがう!」

 ロボの眼前に一瞬、陣が浮かび上がりすぐに消え、そして僕の体を薄い結界が覆いました。

 これは物凄く便利な代物しろものですね。

『凄いでござる! 勝手に陣が浮かび上がったでござるよ!』
「基本の三つだけは石に刻んで上げるからね。期待しててちょうだいね」


 タイタニア様はその言葉通り、翌日は『慰撫』、さらにその翌日には『細工』の陣を刻んだ石をロボにプレゼントしてくれました。
 
 しかし、さらにその翌日にくれた石の効果だけは「先々、いえ、割りと近いうちに役に立つ時が来るから」としか教えて頂けませんでした。


「この四つの石がワタシからの婚約祝いよ」
『ありがとうでござるご先祖さま!』
「ありがとうこざいます、タイタニア様」

 ウンウンと目を細めて頷くタイタニア様。

「この四日、ワタシがロボと寝床を共にしたから、ロボの体と精霊力の親和性はさらに高まったと思うわ」

 体と精霊力の親和性ですか。あまり気にした事がありませんが、そんな事まで気にして頂いてたんですね。有り難い事です。

「だからね。貴方たちもう結婚しなさいよ」


『「え? 結婚?」でござるか?』
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