9 / 93
2-5
しおりを挟む
「……随分、他人事みたいに言うんだな」
「は? 他人事じゃないわよ。帰れなくなったら、誰があなたの面倒を見ると思ってんのよ? いい? こっちの世界はね、異世界から来ましたって言って、そのまま通用するような甘い世界じゃないの!」
文化どころか、常識も何もかもが違う身元不明の人間が、こちらの世界で一人で暮らしていけるとは思えない。
となると、必然、岬が面倒を見なくてはならないだろう。
さすがにそれは無理だ。
「……私がここに来るのは、迷惑だと、言いたいのか?」
拗ねたようにそう言う。
子供みたいなその態度が可笑しくて、岬は笑ってしまった。
「違うわよ。ここに来る分にはいいけど、帰れなくなったら困るでしょ?」
「……じゃあ、私がここに来るのは、迷惑じゃない、と?」
「そうね。こうやって違う世界の話を色々聞けるのも、楽しいし」
「そうか!」
途端に笑顔になる。
「実は、私もミサキと話をするのは楽しいんだ」
「そ、そう。ならよかったわね」
邪気のない、キラキラとした笑顔を向けられて、岬は思わず戸惑ってしまった。
イケメンの無防備な笑顔は、意外に心臓に悪い。
(……本当、綺麗な子よね。絵本に出てくる王子さまって感じ)
宝石のような青い瞳に、スッと通った鼻筋。
貴族であるということを差し引いても、きっとモテるに違いない。
「……ねえ。そういえば、あなたって歳はいくつなの?」
「ああ。今年で21になる」
「わっかいわねー! じゃあ、成人したてってことじゃない」
「何を言う! 私の国では、18歳で成人だ! 第一若いと言ったって、君とそう大差ないだろう?」
「……」
岬はスッと視線を逸らせた。
何となく、実年齢より若く思われているのは知っていたが、敢えてこれまで黙っていたのだ。
「は? 他人事じゃないわよ。帰れなくなったら、誰があなたの面倒を見ると思ってんのよ? いい? こっちの世界はね、異世界から来ましたって言って、そのまま通用するような甘い世界じゃないの!」
文化どころか、常識も何もかもが違う身元不明の人間が、こちらの世界で一人で暮らしていけるとは思えない。
となると、必然、岬が面倒を見なくてはならないだろう。
さすがにそれは無理だ。
「……私がここに来るのは、迷惑だと、言いたいのか?」
拗ねたようにそう言う。
子供みたいなその態度が可笑しくて、岬は笑ってしまった。
「違うわよ。ここに来る分にはいいけど、帰れなくなったら困るでしょ?」
「……じゃあ、私がここに来るのは、迷惑じゃない、と?」
「そうね。こうやって違う世界の話を色々聞けるのも、楽しいし」
「そうか!」
途端に笑顔になる。
「実は、私もミサキと話をするのは楽しいんだ」
「そ、そう。ならよかったわね」
邪気のない、キラキラとした笑顔を向けられて、岬は思わず戸惑ってしまった。
イケメンの無防備な笑顔は、意外に心臓に悪い。
(……本当、綺麗な子よね。絵本に出てくる王子さまって感じ)
宝石のような青い瞳に、スッと通った鼻筋。
貴族であるということを差し引いても、きっとモテるに違いない。
「……ねえ。そういえば、あなたって歳はいくつなの?」
「ああ。今年で21になる」
「わっかいわねー! じゃあ、成人したてってことじゃない」
「何を言う! 私の国では、18歳で成人だ! 第一若いと言ったって、君とそう大差ないだろう?」
「……」
岬はスッと視線を逸らせた。
何となく、実年齢より若く思われているのは知っていたが、敢えてこれまで黙っていたのだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
626
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる