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しおりを挟む窓から差し込む朝日で目を覚ました岬は、眼の前の光景に、起きて早々フリーズしてしまった。
すぐ隣には、長い金のまつ毛を伏せて、安らかな寝顔を晒したイケメンが居る。
形の良い唇を少し開けて眠るその顔は、何ともあどけない。
(えっ!? 何!? 何で!?)
しかも見れば、互いに全裸だ。
やけに身動きが取れないと思ったら、太い腕が体に巻き付いている。
まさしく、酔って起きたら知らない男が隣に居た的な状況だ。
(な、何なの!? この一夜の過ち的なシチュは!? つか、これヤってる!? ヤってるよね!?)
脚の間には、完全に違和感が。
カピカピ、ベタベタ。
これは完全に、黒、だ。
更には、股からトロリと零れた液体の存在に、岬の顔から血の気が引いた。
「なっ、中出しっ!? ちょっ、ライっ!! 起きろこの野郎っ!!」
必死に体を捩って自身の腕を何とか抜いた岬は、そのままラインハルトの肩を掴んで乱暴に揺さぶった。
「ん……ミサ、キ……?」」
ゆっくり瞼を開けて、ぼんやり見詰めてくる。
次の瞬間、へにゃっと笑い掛けられて、岬は固まってしまった。
「おはよう……、ミサキ」
言いながら抱き寄せ、額に口付けてくる。
シロップ級に甘いその雰囲気に、岬は一瞬にして真っ赤になってしまった。
「ん……。ミサキ、可愛い……」
そのまま唇に口付けられて、そこから甘く痺れるような感覚が広がる。
気付けば舌を差し込まれて、いいように口内を嬲られていた。
「……は、……ミサキ……」
いつの間に上になったのか、脚の間には熱い塊が押し付けられている。
そこで、ようやく岬は我に返った。
「ちょっ、待ったああっ!!」
「……っ!!」
カッと目を見開き、スパンとラインハルトの頭を叩く。
驚くラインハルトを見上げて、岬は盛大に睨みつけた。
「ちょっと!! これはどういう状況よ!?」
「え……? ミサキ、覚えて、ない……?」
「覚えてないわぁ!! 起きたらこんな状況で、わけがわからんわ!!」
戸惑うラインハルトにも構わず、大声でわめきたてる。
すると、どうやら岬がまったく覚えていないらしいと理解したラインハルトが、何とも悲愴な顔になった。
「う、嘘だろう……? ミサキ、本当に覚えてないのか……?」
「覚えてないから言ってんでしょが!! とにかく、説明!! プリーズ!! ------っグぇエエっ!!」
「す、すまないっ!!」
ガクッと項垂れ、そのまま岬の上に倒れ込まれたから堪らない。
文字通り潰された岬が奇声を発すると、ラインハルトが謝りながら慌てて体を起こした。
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