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019 マヨネーズ怖い
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「ウマァァァ」
自分でもびっくりするほど大きな声が、厨房の中に響き渡った。
そして私の反応に、見ていたシェフもシェナも喉をならす。
「ミレイヌ様、はしたないですよ」
「だってシェナ、これすごく美味しいんだもの。やだ、涙が出るくらい美味しい」
一度食べ始めると、ぱくぱくと野菜スティックたちは私の胃袋へと収納されていく。
こうなった原因は、他でもなく今作ったばかりのマヨネーズのせいだ。
「こんなに簡単なんだから、もっと早く作っておけば良かったわ」
「それ、ですか?」
「そうそう。マヨネーズよ。調味料の一種ね」
この世界のドレッシングって、油と塩みたいな簡単で少し味気ないものしかない。
確かにそれだと野菜本来の味はしっかりしていて、不味いわけではないのだけど。
それでも昔を思い出すと、いろんなドレッシングが恋しくなる。
ただそんな中でも簡単にレシピなく作れるのが、このマヨネーズだっただけ。
「みんなも食べてみて? あー、でも付けすぎちゃダメよ。辛くなっちゃうから」
私はスティックとなったきゅうりのような野菜の先にちょんちょんとマヨネーズを付ける。
そしてそれを頬張れば、濃厚な旨みと酸味、そしてきゅうりの瑞々しさが口の中に広がっていった。
マヨネーズを付けると、きゅうり特有の青臭さなど全く感じられない。
むしろ瑞々しさがいっそう引き立つように感じられた。
「やっぱりウマー」
「ミレイヌ様、言葉」
「あ、ハイ。すみません……。でもさぁ、本当に美味しいんだよ?」
「それでも言葉はキチンとして下さい。一応、この侯爵夫人なのですから」
「一応って言わないでよー。気にしてるんだから」
「だったら余計に、です」
「……ぅん」
小言を言いつつも、シェナはすでにスティックとなったきゅうりやにんじんたちを口に入れて行く。
見渡せば、シェフたちもいろんな野菜をマヨネーズで試しているようだった。
うんうん。
良かったわ。初めての味でも、中々これを嫌いな人って少ないのよね。
概ねの反応の良さに、私は一人頷いた。
「奥様、これは本当に先ほどのモノたちを混ぜただけですか?」
ただ混ぜただけということに驚きを隠せない料理長が、興奮しながら近づいてきた。
料理長は最近私が作るものたちに、興味津々ね。
まぁ、この世界になかったものを勝手に作ってしまってるのだから、そうもなるか。
「ええ。見てたとは思うけど、卵の黄身と塩、ビネガーを入れてもったりするまで混ぜてから油を少し入れただけよ」
「それだけでこんなに濃厚なソース……マヨネーズなるものが出来るのですね」
「そうそう。簡単でしょう?」
「簡単なのにとても美味しくて驚きました」
小皿に入れたマヨネーズを、料理長はじっと見ていた。
ただ混ぜただけで出来ることなのだけど、作り方や材料がわからないと作れないものね。
料理長が不思議に思うのも無理はないわ。
「美味しいけど、カロリーは高めだから大量には食べちゃダメよ? あとは新鮮ではない卵は生で食べると危ないからそれも注意ね」
取れたてだとしても保管方法などが悪いと、卵は危ないからなぁ。
さすがに私が作ったもので中毒を起こされても困るし。
管理などは徹底してもらわないとね。
「奥様は次から次へと、見たコトもないものばかり作られますが天才なのですね」
「天才だなんて……。ただ食べるのが好きなだけよ」
それに何より、前世の知識があるからね。
ある意味、こういうのってチートって言うのかしら。
そういう用語って、難しくてよく知らないけど。
「おだててもダメですよ料理長。それに奥様。話ながら食べ過ぎです」
シェナに言われて初めて、私はいまだにぱくぱくと食べ続けていることに気づいた。
マヨネーズも自分の食欲も、こわっ。
いくら野菜スティックだからって、マヨネーズ大量に食べてたら本末転倒だわ。
その日、さらに散歩の距離が追加になったのは言うまでもなかった。
自分でもびっくりするほど大きな声が、厨房の中に響き渡った。
そして私の反応に、見ていたシェフもシェナも喉をならす。
「ミレイヌ様、はしたないですよ」
「だってシェナ、これすごく美味しいんだもの。やだ、涙が出るくらい美味しい」
一度食べ始めると、ぱくぱくと野菜スティックたちは私の胃袋へと収納されていく。
こうなった原因は、他でもなく今作ったばかりのマヨネーズのせいだ。
「こんなに簡単なんだから、もっと早く作っておけば良かったわ」
「それ、ですか?」
「そうそう。マヨネーズよ。調味料の一種ね」
この世界のドレッシングって、油と塩みたいな簡単で少し味気ないものしかない。
確かにそれだと野菜本来の味はしっかりしていて、不味いわけではないのだけど。
それでも昔を思い出すと、いろんなドレッシングが恋しくなる。
ただそんな中でも簡単にレシピなく作れるのが、このマヨネーズだっただけ。
「みんなも食べてみて? あー、でも付けすぎちゃダメよ。辛くなっちゃうから」
私はスティックとなったきゅうりのような野菜の先にちょんちょんとマヨネーズを付ける。
そしてそれを頬張れば、濃厚な旨みと酸味、そしてきゅうりの瑞々しさが口の中に広がっていった。
マヨネーズを付けると、きゅうり特有の青臭さなど全く感じられない。
むしろ瑞々しさがいっそう引き立つように感じられた。
「やっぱりウマー」
「ミレイヌ様、言葉」
「あ、ハイ。すみません……。でもさぁ、本当に美味しいんだよ?」
「それでも言葉はキチンとして下さい。一応、この侯爵夫人なのですから」
「一応って言わないでよー。気にしてるんだから」
「だったら余計に、です」
「……ぅん」
小言を言いつつも、シェナはすでにスティックとなったきゅうりやにんじんたちを口に入れて行く。
見渡せば、シェフたちもいろんな野菜をマヨネーズで試しているようだった。
うんうん。
良かったわ。初めての味でも、中々これを嫌いな人って少ないのよね。
概ねの反応の良さに、私は一人頷いた。
「奥様、これは本当に先ほどのモノたちを混ぜただけですか?」
ただ混ぜただけということに驚きを隠せない料理長が、興奮しながら近づいてきた。
料理長は最近私が作るものたちに、興味津々ね。
まぁ、この世界になかったものを勝手に作ってしまってるのだから、そうもなるか。
「ええ。見てたとは思うけど、卵の黄身と塩、ビネガーを入れてもったりするまで混ぜてから油を少し入れただけよ」
「それだけでこんなに濃厚なソース……マヨネーズなるものが出来るのですね」
「そうそう。簡単でしょう?」
「簡単なのにとても美味しくて驚きました」
小皿に入れたマヨネーズを、料理長はじっと見ていた。
ただ混ぜただけで出来ることなのだけど、作り方や材料がわからないと作れないものね。
料理長が不思議に思うのも無理はないわ。
「美味しいけど、カロリーは高めだから大量には食べちゃダメよ? あとは新鮮ではない卵は生で食べると危ないからそれも注意ね」
取れたてだとしても保管方法などが悪いと、卵は危ないからなぁ。
さすがに私が作ったもので中毒を起こされても困るし。
管理などは徹底してもらわないとね。
「奥様は次から次へと、見たコトもないものばかり作られますが天才なのですね」
「天才だなんて……。ただ食べるのが好きなだけよ」
それに何より、前世の知識があるからね。
ある意味、こういうのってチートって言うのかしら。
そういう用語って、難しくてよく知らないけど。
「おだててもダメですよ料理長。それに奥様。話ながら食べ過ぎです」
シェナに言われて初めて、私はいまだにぱくぱくと食べ続けていることに気づいた。
マヨネーズも自分の食欲も、こわっ。
いくら野菜スティックだからって、マヨネーズ大量に食べてたら本末転倒だわ。
その日、さらに散歩の距離が追加になったのは言うまでもなかった。
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