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14章 《大切》の意味
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~森~
日差しが暖かくなってきた春の昼頃、森の中を走る三つの人影があった
エトアル「射程範囲から出た、リーくんそっち行ったよ」
リーベリア「捉えてる。この距離なら…って危な!」
ラルカ「上手く隠したと思ったのに…今のも見つけちゃうんですか?」
足下の糸をリーベリアが避けたのを視認すると、残念そうにラルカが木の枝から飛び降りて来た。あれから五年…時間はあっという間に流れていきラルカは十五歳になっていた
エトアル「この森はラルカちゃんの庭かな?w」
リーベリア「相変わらず器用だよね。どうやってこの量の糸を思い通りに操っているんだか…」
フィロ「終わったんなら帰ろうぜ?そろそろ昼だし飯にしよ」
座って休んでいた三人に木の陰から出てきたフィロが声をかけた
ラルカ「フィロ兄様いつから居たんですか?」
フィロ「リーベリアさんがラルカのトラップに引っ掛かりそうになったとこらへん?」
リーベリア「待って?フィロさんそれ見てたの!?」
フィロ「少しずつ屋敷に近づいて来てただろ?部屋に居てもエトアルさんの弓の音が聞こえた」
エトアル「え?あっホントだ…いつの間にこっちの方まで」
木々の間から僅かに屋敷が見えていた
フィロ「ラルカ追っかけてたんなら当たり前じゃない?」
ラルカ「もう疲れました…お二方の攻撃を避けた上で反撃しろってフィロ兄様鬼ですか?」
フィロ「鬼で~すw良い練習だろ?」
エトアル「私達はラルカちゃんと遊びに来ただけなんだけどなぁ」
リーベリア「フィロさんに良いように利用されてる気がする…」
フィロ「実際利用してますからねwラルカ、先に屋敷に戻ってフシール探しといて」
ラルカ「わかりました。皆さんも早めに戻って来て下さいね」
溜息をつきながらそう言い残して屋敷の方へと走っていった
リーベリア「それで?ラルカちゃんを先に帰らせたって事は俺達だけになんか話したい事でもあったんですか?」
フィロ「あの少年の事が気になってな、二人が育ててるんだろ?最近はどうなんだ」
エトアル「私達は普通に交流してるとはいえ君等と彼は敵なんだよ?そう簡単に教えるわけ無いじゃんw」
フィロ「まぁそうなるよな。俺等もラルカには極力隠すよう言ってるし」
リーベリア「そこまでしてあの二人を戦わせたいの?」
フィロ「さぁ…俺は暇つぶしの玩具が欲しかっただけですよ?」
凍てつくような重い空気が三人の間を流れていた
リーベリア「…はぁ、二人共殺気しまって?昼間っから殺し合いでも始める気?」
エトアル「やらないよ…言ってる事はムカつくけどフィロさんと殺り合うのは愚策でしょ。そんな命知らずな真似はしない」
リーベリア「でも少なくとも五年も一緒に居たら多少は情が芽生えたんじゃない?」
フィロ「…どうだろうなwまぁ俺はラルカが大切だよ?」
エトアル「ここまで信じられない言葉もあるんだね」
リーベリア「フシールちゃんはどう思ってるんだろうね…取り敢えず屋敷に行こうぜ?」
そのまま三人が屋敷へ入ると慌てた様子でラルカが階段を降りてきた
ラルカ「皆様戻られたんですね、すいません急な事なんですけど今日の昼食はみんなで中庭で食べませんか?」
エトアル「全然良いけど…何かあったの?」
ラルカ「いえ、今日は良い天気なので気分転か…」
フシール「ちょっと食堂が使えなくなっちゃったから外で食べる事にしたの」
フシールがラルカの言葉を遮って後ろから声をかけてきた
ラルカ「ちょ…フシール姉様!?」
フィロ「またなんかやらかしたの?」
フシール「馬鹿な玩具を躾けただけだよ?」
フィロ「わざわざ食事をする場で?」
ラルカ「二人共ストップです!」
エトアル「またすぐに言い合うんだから…」
リーベリア「フシールちゃん…何かあったの?」
フシール「ラルカちゃんの食事に毒混ぜた馬鹿を殺っただけ」
そう言うと右手を銃の形にして小声で【バーン】と言いながら撃つ仕草をした
フィロ「そいつもう死んだ?そんな命知らずなら俺も処したかったんだけど?」
ラルカ「でも…お兄様達のお陰で一通りの毒は平気なんですよ?」
フィロ「主人に楯突くのが問題だろ」
エトアル「あのやり取り見てるとなんだかんだ言いながら大切にしてるんだよね」
リーベリア「まぁ後からラルカちゃんが連れてくるだろうから先行くか」
エトアル「そうだね」
玄関ホールで騒ぐ兄妹を置いて二人は中庭へ向かった。五人の交流は続き、未だ戻らないラルカの記憶を置き去りにして最初の舞台へと歯車は廻っていく
…黄金は崩れ白は赤へと染まる。鳥が飛び立った窓際に一枚の羽が落ちてきた
日差しが暖かくなってきた春の昼頃、森の中を走る三つの人影があった
エトアル「射程範囲から出た、リーくんそっち行ったよ」
リーベリア「捉えてる。この距離なら…って危な!」
ラルカ「上手く隠したと思ったのに…今のも見つけちゃうんですか?」
足下の糸をリーベリアが避けたのを視認すると、残念そうにラルカが木の枝から飛び降りて来た。あれから五年…時間はあっという間に流れていきラルカは十五歳になっていた
エトアル「この森はラルカちゃんの庭かな?w」
リーベリア「相変わらず器用だよね。どうやってこの量の糸を思い通りに操っているんだか…」
フィロ「終わったんなら帰ろうぜ?そろそろ昼だし飯にしよ」
座って休んでいた三人に木の陰から出てきたフィロが声をかけた
ラルカ「フィロ兄様いつから居たんですか?」
フィロ「リーベリアさんがラルカのトラップに引っ掛かりそうになったとこらへん?」
リーベリア「待って?フィロさんそれ見てたの!?」
フィロ「少しずつ屋敷に近づいて来てただろ?部屋に居てもエトアルさんの弓の音が聞こえた」
エトアル「え?あっホントだ…いつの間にこっちの方まで」
木々の間から僅かに屋敷が見えていた
フィロ「ラルカ追っかけてたんなら当たり前じゃない?」
ラルカ「もう疲れました…お二方の攻撃を避けた上で反撃しろってフィロ兄様鬼ですか?」
フィロ「鬼で~すw良い練習だろ?」
エトアル「私達はラルカちゃんと遊びに来ただけなんだけどなぁ」
リーベリア「フィロさんに良いように利用されてる気がする…」
フィロ「実際利用してますからねwラルカ、先に屋敷に戻ってフシール探しといて」
ラルカ「わかりました。皆さんも早めに戻って来て下さいね」
溜息をつきながらそう言い残して屋敷の方へと走っていった
リーベリア「それで?ラルカちゃんを先に帰らせたって事は俺達だけになんか話したい事でもあったんですか?」
フィロ「あの少年の事が気になってな、二人が育ててるんだろ?最近はどうなんだ」
エトアル「私達は普通に交流してるとはいえ君等と彼は敵なんだよ?そう簡単に教えるわけ無いじゃんw」
フィロ「まぁそうなるよな。俺等もラルカには極力隠すよう言ってるし」
リーベリア「そこまでしてあの二人を戦わせたいの?」
フィロ「さぁ…俺は暇つぶしの玩具が欲しかっただけですよ?」
凍てつくような重い空気が三人の間を流れていた
リーベリア「…はぁ、二人共殺気しまって?昼間っから殺し合いでも始める気?」
エトアル「やらないよ…言ってる事はムカつくけどフィロさんと殺り合うのは愚策でしょ。そんな命知らずな真似はしない」
リーベリア「でも少なくとも五年も一緒に居たら多少は情が芽生えたんじゃない?」
フィロ「…どうだろうなwまぁ俺はラルカが大切だよ?」
エトアル「ここまで信じられない言葉もあるんだね」
リーベリア「フシールちゃんはどう思ってるんだろうね…取り敢えず屋敷に行こうぜ?」
そのまま三人が屋敷へ入ると慌てた様子でラルカが階段を降りてきた
ラルカ「皆様戻られたんですね、すいません急な事なんですけど今日の昼食はみんなで中庭で食べませんか?」
エトアル「全然良いけど…何かあったの?」
ラルカ「いえ、今日は良い天気なので気分転か…」
フシール「ちょっと食堂が使えなくなっちゃったから外で食べる事にしたの」
フシールがラルカの言葉を遮って後ろから声をかけてきた
ラルカ「ちょ…フシール姉様!?」
フィロ「またなんかやらかしたの?」
フシール「馬鹿な玩具を躾けただけだよ?」
フィロ「わざわざ食事をする場で?」
ラルカ「二人共ストップです!」
エトアル「またすぐに言い合うんだから…」
リーベリア「フシールちゃん…何かあったの?」
フシール「ラルカちゃんの食事に毒混ぜた馬鹿を殺っただけ」
そう言うと右手を銃の形にして小声で【バーン】と言いながら撃つ仕草をした
フィロ「そいつもう死んだ?そんな命知らずなら俺も処したかったんだけど?」
ラルカ「でも…お兄様達のお陰で一通りの毒は平気なんですよ?」
フィロ「主人に楯突くのが問題だろ」
エトアル「あのやり取り見てるとなんだかんだ言いながら大切にしてるんだよね」
リーベリア「まぁ後からラルカちゃんが連れてくるだろうから先行くか」
エトアル「そうだね」
玄関ホールで騒ぐ兄妹を置いて二人は中庭へ向かった。五人の交流は続き、未だ戻らないラルカの記憶を置き去りにして最初の舞台へと歯車は廻っていく
…黄金は崩れ白は赤へと染まる。鳥が飛び立った窓際に一枚の羽が落ちてきた
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