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エピローグ
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「どうやら子爵家が元締めのようです。やはり、睨んだ通りでしたね。義父上」
「そうだな。さすがアンの見込んだ男だ。この件は引き続き、おまえに任せる」
「はい、わかりました」
「お父様、隣国の積み荷にマズイ物が紛れていたみたいよ。影から報告が来たわ」
「その国は、確か近々うちの国に大使が来る予定だったが」
「相変わらず忙しそうだな」
扉をノックすることなく入る俺に、驚くこともしない面々。
「これは王太子殿下。どうされました?」
「影を貸して欲しい。そろそろダヴィデの様子を知りたいからな」
「ああ、それならもう偵察させておりますよ。数日すれば報告書をお持ち出来ます。なかなか頑張っているようですよ」
「そうか、それなら良かった。兄上にも知らせたいから、報告書は兄上に先に渡してくれ」
「かしこまりました」
王城のとある一室。そこには代々、影を総括する貴族の為の執務室が秘密裏にあった。
影の存在は王族と上位の貴族には知られているが、そもそも影を動かしているのは誰なのかは知らされていない。影の存在を知っている者たちは、影が独自で組織として動いていると思っていた。
しかし実は、影を作ったのはヴォルテーラ公爵家だったのだ。初代王の王弟であった公爵が、王を裏からも守ることが出来るようにと作ったのが始まりだったらしい。だが、影という暗部組織をいくら公爵家とはいえ、一つの貴族が牛耳っているという事実を他の貴族が知ったら、大きな火種になるとわかっているので、この事はトップシークレットになっているのだ。
知っているのは現国王、宰相、そして王太子である俺。俺が王になる決心をした時に、初めて知らされたのである。
「アリアンナも立派に影を使いこなせますよ」
あの時、ヴォルテーラ公爵からそう聞いた時は、心底驚いてしまった。
「ここ数年、効き目の強い幻覚症状の出る薬が高値で取引されていたんです。しかし犯人がまるで見当がつかない。そもそも他の薬より効き目が強い薬をどうやって作っているのかすらわからなくてお手上げ状態だったんですよ。
それをアリーは生息地が今までの条件とは全く違う気候の所なのでは?そう考えて影たちに探させたのですよ。そうしたら、見事にペッキア男爵家に到達出来たわけです」
うちの子自慢をするヴォルテーラ公爵を、うちの姪自慢をするチェルコーネ公爵を見てあの時は正直引いた。
だが、自慢するのも当然だった。断罪の時の資料は、アリーが全て用意したものだった。
影を取りまとめている姿は凛々しく、時に悪い顔をする。それがまた美しかった。
因みにペッキア男爵家は取り潰しになった。男爵本人は処刑、仕事を手伝っていたファビオは北の辺境にある鉱山で労働を強いられることになった。夫人は最後までしらばっくれていたため、修道院ではなく、劣悪な環境下にある娼館に入れられた。ファブリツィアは北にある夏以外は雪で閉ざされている修道院へと送られた。
「ですから殿下。もしも浮気なんてしようものなら、アリーには全てバレてしまいますからご用心ください。ヴォルテーラの女性は皆、強いですよ」
そう黒い笑顔を見せた彼の顔を俺は絶対に忘れないだろう。
そして、そんな隠れた一面を知って尚、更にアリーを愛してしまった自分はかなりヤバいのかもしれない。だが、手放せない程に幸せなのだから仕方がないだろう。
時々悪魔にもなりうる天使を、俺は心の底から愛してしまっているのだから。
「そうだな。さすがアンの見込んだ男だ。この件は引き続き、おまえに任せる」
「はい、わかりました」
「お父様、隣国の積み荷にマズイ物が紛れていたみたいよ。影から報告が来たわ」
「その国は、確か近々うちの国に大使が来る予定だったが」
「相変わらず忙しそうだな」
扉をノックすることなく入る俺に、驚くこともしない面々。
「これは王太子殿下。どうされました?」
「影を貸して欲しい。そろそろダヴィデの様子を知りたいからな」
「ああ、それならもう偵察させておりますよ。数日すれば報告書をお持ち出来ます。なかなか頑張っているようですよ」
「そうか、それなら良かった。兄上にも知らせたいから、報告書は兄上に先に渡してくれ」
「かしこまりました」
王城のとある一室。そこには代々、影を総括する貴族の為の執務室が秘密裏にあった。
影の存在は王族と上位の貴族には知られているが、そもそも影を動かしているのは誰なのかは知らされていない。影の存在を知っている者たちは、影が独自で組織として動いていると思っていた。
しかし実は、影を作ったのはヴォルテーラ公爵家だったのだ。初代王の王弟であった公爵が、王を裏からも守ることが出来るようにと作ったのが始まりだったらしい。だが、影という暗部組織をいくら公爵家とはいえ、一つの貴族が牛耳っているという事実を他の貴族が知ったら、大きな火種になるとわかっているので、この事はトップシークレットになっているのだ。
知っているのは現国王、宰相、そして王太子である俺。俺が王になる決心をした時に、初めて知らされたのである。
「アリアンナも立派に影を使いこなせますよ」
あの時、ヴォルテーラ公爵からそう聞いた時は、心底驚いてしまった。
「ここ数年、効き目の強い幻覚症状の出る薬が高値で取引されていたんです。しかし犯人がまるで見当がつかない。そもそも他の薬より効き目が強い薬をどうやって作っているのかすらわからなくてお手上げ状態だったんですよ。
それをアリーは生息地が今までの条件とは全く違う気候の所なのでは?そう考えて影たちに探させたのですよ。そうしたら、見事にペッキア男爵家に到達出来たわけです」
うちの子自慢をするヴォルテーラ公爵を、うちの姪自慢をするチェルコーネ公爵を見てあの時は正直引いた。
だが、自慢するのも当然だった。断罪の時の資料は、アリーが全て用意したものだった。
影を取りまとめている姿は凛々しく、時に悪い顔をする。それがまた美しかった。
因みにペッキア男爵家は取り潰しになった。男爵本人は処刑、仕事を手伝っていたファビオは北の辺境にある鉱山で労働を強いられることになった。夫人は最後までしらばっくれていたため、修道院ではなく、劣悪な環境下にある娼館に入れられた。ファブリツィアは北にある夏以外は雪で閉ざされている修道院へと送られた。
「ですから殿下。もしも浮気なんてしようものなら、アリーには全てバレてしまいますからご用心ください。ヴォルテーラの女性は皆、強いですよ」
そう黒い笑顔を見せた彼の顔を俺は絶対に忘れないだろう。
そして、そんな隠れた一面を知って尚、更にアリーを愛してしまった自分はかなりヤバいのかもしれない。だが、手放せない程に幸せなのだから仕方がないだろう。
時々悪魔にもなりうる天使を、俺は心の底から愛してしまっているのだから。
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